運送業の将来に不安?
横浜エリアでは年末からずっと、ドライバー職にとってはありがたい好天が続いております。この時期の雨雪はアウトドア作業職にはホントに辛いですから。
しかし喜んでばかりもいられません。運送業・ドライバー職にとって少々将来が不安になる情報も飛び込んできております。
昨年、政府・与党は、2020年度以降の自動車に関する税制の抜本的な見直しの検討を始めています。その中でも私達ドライバーや運送業に深く関わるものが、走った距離や環境性能に応じて課税する、というもの。
その背景には、現在の車に関する税は「車を持っていること」や「ガソリンの量」などを基準に課税する仕組みであるが、カーシェアリングの普及で、自動車は「所有するもの」から「共有するもの」に変わってきていることと、電気自動車の普及で「ガソリンを使うもの」ではなくなりつつあることが要因となっている。つまりこれまでの課税対象では税金を取れなくなってきているため、露骨に税収欲しさのために見直そうということ。
これまでの車両やガソリン等の「モノ」に課税するのと違い、「走行距離」というものへの課税はどうチェックするのかというところに興味がありますけどね。申告制にしたら絶対ズルする人や企業が出るでしょうから、第三者機関による監視(GPS等?)になるのでしょうか?
若者の車離れが論じられていますが、車の維持費(税・車検・保険・駐車場代・メンテナンス)を考えると車を所有する必然性に疑問を持つのは若者だけではなくなっている。使いたい時に使えれば良いと考えるのはもはや当然、所有する人が減っていくのも避けられない時代の流れ。
さらに燃費のよい車が普及するようになって、車の燃料に関する税収は、この7年間で10%、金額にして4000億円減っている。今後は、電気自動車の普及などで、さらに減っていくことも予想される。国が慌て出したのもうなずける。が、少子高齢化もそうだが、国の対応はいつも後手後手でその尻拭いが国民に押し付けられる。
走った距離への課税ということで、燃費云々は関係ないらしい。せっかく燃費の良い車に買い替えた人にも税の恩恵はないなんて・・・ こりゃあ怒りますわな。しかも車が生活必需品・必要不可欠なローカルで暮らす方々やお年寄りにもその影響は計り知れない。
もっと影響が大きいのは運送業を始めとした自動車を使って商売をしている方々。トラック・バス・タクシーは規模が大きい会社ほど死活問題となる。長距離輸送専門の運送会社はただでさえギリギリの運賃でやっているのに、この税が正式決定してしまうと廃業したほうがマシ、ということにもなりかねない。
その他にも企業の営業車両や介護の送迎車両、さおだけ屋や石焼きいも、たこ焼き屋や出張弁当販売のような移動屋台で商売する車にも課税の影響がある。となると当然税の負担はサービス価格に上乗せされて、結局私達消費者が負担する構図となるのが目に見えている。単に車を使う人だけの負担では済まなくなる。
先日ちょこっと触れた「改正貨物自動車運送事業法」による個人事業主・委託契約の軽ドライバーにも労働関連法が適用されることと相まって、稼ぐためには距離を走る・長時間働くということが出来なくなる。距離を走れば運賃は増えるかもしれないが、確実に課税も増える。稼ぐための手段に制限がかかるということは、運送業を営むメリットが無くなるということ。これはフリーのドライバーに限らず社員ドライバーにも影響が出てくるかも。
運賃も上げられず税の負担が増えれば、強欲な運送経営者は従業員にその負担を強いてくる。減給・賞与カットは手っ取り早い。会社を存続させるためには労働者の待遇は二の次というのは運送業に限ったことではないが。委託請負契約でも請負料の減額とか稼働日数を減らすというような措置を講じてくるかも知れません。
以前から私が言っている「走らないドライバー」と言うコンセプトが、段々と現実味を帯びてきましたね。走れば走るほど稼げない仕事になりつつある。 チャランポランに軽ドライバーやっているようですが、誰よりも真剣に目の前の事に取り組んでいるから問題点に気付き対応を考える事が出来ています。先行き不透明な運送業に振り回されるのではなく、とことん利用してやろうと思っております。