Amazon配達員ストライキの感想

私は消費者の味方であり労働者の敵でもある

先日、長崎市でAmazon配達員によるストライキが行われました。
日本ではストライキという行為自体が実行されることは珍しくなりました。
今や企業の労働組合というのは形骸化しており、労働者の代表というより企業の経営側に骨抜きにされその存在意義が薄れつつあるのではないでしょうか。
それに比べると「ユニオン」というのは会社外の労働組合であり、経営側に忖度せず労働者の不利益のために闘いしかも一人からでも加入できるため、最近では配達員等の個人事業主による集団的労使紛争の拠り所として全国各地で行動が目に付くようになってきました。

それなのにAmazon側は全国各地で交渉申し入れが起きているのに、とても誠意を持って対応しているようには思えません。
その背景には「外資系企業」という一つの壁が立ちはだかっているのか、それとも雇用ではなく業務委託というスタイルが交渉の義務を負う事項と捉えられていないのか。

文句も言わず、一番役に立つ業者・配達員を探しています。

ここで3月8日配信の毎日新聞の記事を紹介し、私が個人的に思ったことを解説してみたい。

「一方的に契約を切られるのは納得できない」。

通販大手「アマゾンジャパン」の商品を長崎市などで運んでいる配達員の労働組合「東京ユニオン・アマゾン配達員組合長崎支部」が8日、1次下請け業者(横浜市)に就業継続を求めてストライキをした。
配達員約20人が参加。配達員は長崎市で集会を開き、坂や階段が多い長崎で荷物を届けてきたのに、仕事を突然奪われることへの怒りを訴えた。配達員は個人事業主として2次下請け業者(埼玉県川口市)と業務委託契約を結び、長崎市や諫早市、長与町、時津町などでアマゾンの商品を個人宅や企業に運んでいる。

集会で長崎支部の大滝孝洋支部長(52)は「契約時に『1日100個くらい』と言われていた荷物量は増え、配達コースも広がり、自己負担のガソリン代の支払いも増えた。みんな生活に困窮している」と指摘。
30代の配達員の男性は「家族を守るために毎日必死に働いてきたのに、いきなり契約を切られる理由がわからない」と語気を強めた。
50代の配達員の男性は「荷物量が当初の倍以上ある。階段が多い長崎で配るのは本当に大変だが、ずっと我慢して働いてきた」と強調。
アマゾンの業務用アプリで配達ルートなどを指示されているとして、「AI(人工知能)に荷物の個数を増やされ、配達の範囲も広げられていく。私たちが築き上げたデータがごっそり持っていかれる。私たちの就労形態は『個人事業主』ではなく、『雇用』ではないか」と疑問を呈した。

別の50代の配達員の男性は「1次下請けに就労継続に向けた説明を求めているのに何も回答がない」と怒りをあらわにし、アマゾンジャパンについて「会社の中身が見えず、実態がつかめない」と語った。
配達員たちは「荷物を届けると『いつもありがとう』と言ってくださるお客さんがいる。アマゾンの利用者にはストで迷惑をかけて申し訳ない」と考え、ストに理解を求めるチラシを普段の配達地域などで配布した。

配達員を組織する東京ユニオンの関口達矢副執行委員長は「荷物を最終的に消費者に届ける『ラストワンマイル』と呼ばれる配達員の労働環境は過酷。『配送料無料』という言葉があふれているが、現実には『無料』はありえない。消費者にも理解してもらい、必要なコストを負担するという意識を持ってほしい」と呼び掛けた。

まるでAmazonが悪いみたいだな。誰のお陰でメシ食ってる?

この記事に対する多くの人々のコメントを要約すると、
どちらかというと同情する声より「文句があるなら辞めればいいのに」と実も蓋も無い。

「Amazon ってひどい!」

と喚いているのはドライバーばかり。周囲の方がAmazonの仕事を請けていることに「?」と思っている。
Amazon以外の選択肢はないのだろうか?

もうこんな働き方はこりごりだなぁ。他を探すか・・・

記事中、ピンク文字にしたところが15年個人事業主・軽貨物ドライバーを続けてきた私が気になった部分。

配達員は個人事業主として2次下請け業者(埼玉県川口市)と業務委託契約を結び
1次下請け業者(横浜市)に就業継続を求めてストライキをした。
中間搾取業者が2社も入っている条件の悪さを考えなかったのだろうか?

坂や階段が多い長崎で荷物を届けてきた
これはAmazonの都合ではなく配達する側がここでやると受け入れたこと。
横浜も同じような立地だけどこういう恩着せがましいことは誰も言わない。

「契約時に『1日100個くらい』と言われていた荷物量は増え、配達コースも広がり、自己負担のガソリン代の支払いも増えた。みんな生活に困窮している」と指摘。
最初の条件を変えてくるのはAmazonの常套手段であり覚悟できていたはず。
ガソリン代の高騰は想定外だったかもしれないが、生活に困窮しているのはどの業種も同じ。

「家族を守るために毎日必死に働いてきたのに、いきなり契約を切られる理由がわからない」
毎日必死に働いているのは誰もが一緒。いきなり契約を切られるのは個人事業主なら十分あり得る話。

「荷物量が当初の倍以上ある。階段が多い長崎で配るのは本当に大変だが、ずっと我慢して働いてきた」
大変なことを我慢して働いているのは個人の都合であり、逃げ道はあったはず。
仕事が継続されたなら荷物が3倍になっても続けるのだろうか?

アマゾンの業務用アプリで配達ルートなどを指示されている
私たちが築き上げたデータがごっそり持っていかれる。
この働き方こそそのうち人間は必要なくなる。遅かれ早かれ契約解除かな?

「会社の中身が見えず、実態がつかめない」
そういう会社と業務委託契約していることが不思議。

配達員の労働環境は過酷。
今に始まったことではないし承知の上で続けているなら文句は言えない。嫌なら辞めるべし。

そしてオレンジ色文字にした部分は、まさに前回のブログ記事でお伝えした内容そのもの。
私たちの就労形態は『個人事業主』ではなく、『雇用』ではないか」と疑問を呈した。
軽貨物ドライバー(特に宅配)の実情は「個人事業主ではない」というのは疑問ではなく現実そのものです。
事業ではなく雇用でもない。低単価で働かせ放題地獄にいることに早く気付き手を打ちましょう!

荷物は増える一方だが奴隷配達員もいっぱいいるから大丈夫!

私は個人事業主として約15年やってきました。
その間、当初週6日で稼働していたものが週5日に減らされ、最後には週4日になった。
契約先運送会社の一方的な待遇変更だが、こういうのは請負契約では珍しくない。
終身雇用ではないのだからいちいち文句ばかり言ってられない。
リスクヘッジしていない自分が悪いと覚悟して個人事業主をするべきでしょう。

私の場合、軽貨物運送業だけの収入では当初の2/3まで減ることになったが副業込みの総収入では逆に増えている。
本業に執着するだけが生きる道ではないと思う。
だから私は開業当初から副業で収入ネタを複数持つスタイルを貫いてきた。
収入ネタの1つを失っても生活への影響が少なく済むように。
いくら「家族のために」「お客様のために」頑張ってきたと綺麗事を言っても、肝心の自分自身が綱渡りしているような働き方してたんじゃ自業自得でしょ?

それでもAmazonの仕事を続けるの?個人事業主で頑張れる?

今回のAmazon配達員ストライキの記事を読んで、まだまだ個人事業主という働き方を甘く考えている人は多いのかなぁ?と思いました。
参入ハードルが低いというのは淘汰も激しいということ。
どんなに理不尽が横行していても辞めようとしない者がいる限りは使い捨て感覚が無くならない世界。
「こっちから辞めてやるよ!」という働き方ができていないと、搾取される人生で終わってしまいます。

以上、Amazon配達員のストライキの記事からの個人的な感想でした。
ちょっと厳しいこと言いましたけど、自分で選んだ働き方なのだから泣き言は恥ずかしい。
個人事業主として生きていくなら何が起きても自己責任!

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