大事なこと
過去最大級の台風が広い範囲にその爪跡を残して去っていきました。
どんなに準備・対策をしていたつもりでも、自然災害は私達の想像を上回る破壊力で築き上げて来た生活をメチャクチャにしてしまいます。
台風と地震が避けられない日本。山林や河川が大半を占める地形の中でも災害の可能性が極力少ない場所に住むということは簡単なことではありません。そういう恵まれた場所は当然に不動産価値が高くなるので誰もが手に入れることができるというわけにはいきません。
しかし災害の度に思うのは、「やっぱり住む場所はしっかり考えないとダメだよなぁ」。
先祖代々住み続けている場所から離れるというのはなかなか簡単にはいかないようですね。他人にはわからないしがらみや伝統みたいなものがあると、閉鎖的な環境にいれば尚更難しい。
親元から離れるキッカケとしては、大学進学、就職、結婚というのが多いのかな?
結婚した時に住んだエリア・住居と、子供が生まれたこと等が転機となり更に転居・家を買おうという時のエリアは割と近いことが多いようです。住み慣れの他にも子供が既に幼稚園や小学校に通っていれば尚更動きづらくなる。
進学や就職という単身で住む場合は、学校や職場へのアクセス・利便性と予算有りきで選択肢も限られることからあまり深く考えずに決めますよね。一生そこに住むことを想定していないし、土地勘が無くても近くにコンビニがあれば大抵はOKしちゃうでしょう。
問題は所帯を持って購入・所有する時です。ここがその後の災害による不幸の分岐点になる。
よく「家は一生の買い物だから」と言って時間をかけて検討しているつもりで、結局はダラダラと物件ばかり見て回る人がいます。モデルルームマニアとも呼ばれるタイプですが、たぶん当初考えていたグレードから許容のハードルがどんどん上がってしまっているはずです。
良いものを見続けていると基準が良い方良い方へと移っていく。さっき見た物はもう物足りなくなってしまうんですね。売れない不動産営業マンがやってしまう案内方法がこれ。買えない客にしてしまうんです。
こういうお客さんはあまり災害時のことが頭にない。エリアに絶対のこだわりはなくそこそこ利便性が良ければどこでもOKみたいな雰囲気に感じます。実際最終的に決めるのはちょっとプライドをくすぐるようなトレンドが入っている物件。最新設備や人気エリアみたいな。
もちろん当人達が気に入っているのだし買える範囲であれば他人が口を挟むことではない。ただし販売側の会社や不動産営業マンは物件の裏に隠れているデメリットをしっかり説明するべきです。
今回の台風災害において、「ダム」「ハザードマップ」「計画運休」というキーワードが多数出現していたことに気付きましたでしょうか?
あまりの雨量に河川の氾濫があちこちで起き、その上流で頑張っていたダムも決壊の危険性が高くなったとして放流の予告が相次ぎました。これまでの豪雨とか台風ではダム決壊とか放流による2次災害の危険性なんて聞かなかったと思います。
幸いダムからの放流は最適なタイミングで行われ下流での2次災害は起きなかったようですが、もし放流のタイミングを誤ったりダムが決壊していたら河川周辺には甚大な被害が出ていたはずです。堤防があるから大丈夫なんていうのは今回の台風でいかに危険な考えかおわかりになったと思います。
今回以上の台風が来たら・・・ ゾッとしますね。
引っ越しや家を買うことを思い立ったら、まず転居先のエリアの災害ハザードマップを確認しましょう。今はネット上で市・区役所等の行政のサイトから確認できるはずです。ちゃんとした不動産会社ならプリント媒体で持っていると思います。(ちなみに私が不動産・ハウスメーカーに勤務していた時は担当エリアのハザードマップは行政のコーナーで入手しました)
同じ町内でも道一つ違えば危険性が全然違うなんて場所はいくらでもあります。駅近で便利でも武蔵小杉みたいなこともある。「タワーマンションだから家が浸水する心配ないもんね~」と言っても電気設備に水がかかれば停電・断水したりします。タワマンで停電してエレベーター止まって断水したら地獄です。千葉の被害地のように1週間以上停電したら高層階の住民は徒歩で階段を昇り降り・・・
「だったらウーバーイーツで注文しちゃうもんね~」と思い付いちゃうのでしょうか? ^^;
たぶん賢いドライバーは停電しているタワマンの高層階の配達はスルーしますよ(笑)
今回、人的被害が割と少なくて済んだのは「計画運休」というスタイルが世間の支持を得て、各公共交通機関を始め、店舗や企業に浸透してきたというのも大きかったと思います。
電車も止まり会社やお店がお休みであれば無理に外出する必要がなくなります。暴風雨の中、外に出れば危険なのは当たり前。
自分の人生・生活において、何が本当に大事なことかを考えてみる機会になったのでは?
安心して長く暮らせる場所、長く働ける仕事。それを見つけるにはどうするか?
目の前にぶら下がっている待遇やステータスに惑わされず、本質を見抜く目を養っていきましょう!