ドライバー職の未来は明るい!・・・とは言えないなぁ

一昨日、帝国データバンクが「2020年の景気見通しに対する企業の意識調査」を発表しました。

調査結果によると、運輸・倉庫業の37.9%が2020年の景気見通しを「悪化」すると見込んでいます。
オリンピック特需が終わる反動がどの業界にも懸念されているようです。

 

全業種中では「小売り」の40.7%、「不動産」の40.1%に次ぐ高い数字。

小売りは消費税増税の影響がしばらく尾を引くだろうし、不動産もマンションの過剰供給ですでに売れ残りが出始めており、オリンピック後の価格下落も見えているから容易に想像できます。

まあここ十数年、景気見通しの悪い業種として常に表彰台に立っている運送業も定位置ですから今更驚くほどの調査結果ではないのですが、それでも前年の調査(31.9%)より6%も悪化しています。

運輸・倉庫業が更に深刻に思えるのが、景気悪化が顕著に予想できるAI導入が進みリストラの加速が止まらない金融業界(33.3%)やオリンピック関連・マンション建設特需が終わる建設業界(36.1%)より高い数字であること。

他の業種に比べて特別目立った外的マイナス要因も見られないのに、悪化傾向が高く続いている業界ってさすがにヤバくない?

 

その大きな原因が深刻な人手不足が一向に解消しないこと。

高齢化だけは他業種より進んでいるが人が入って来ない。むしろ流出している。
法改正により長時間労働問題に少しだけ改善の傾向が見られるも、労働時間減少が収入減とリンクする業態であるがゆえに、ただでさえ安い賃金なのに更に稼げなくなるのであればわざわざその職を目指そうという者が増えるわけがない。

 

「ドライバーの代わりはいくらでもいる」という無能な経営が蔓延って放置されたままですから自業自得とはいえ、業界も国も見て見ぬふりしてきた罪は重い。

 

私がお世話になっている運送会社でも中途採用で入ってきた中高年(40歳以下は最近見たことがない)が定着せず名前を覚える間もなく毎年顔触れが変わっていく。

一応上場している企業ですから福利厚生目当てに応募してくるのだろうけど、賃金はとても上場企業のそれではない。しかも試用期間中の数か月は昼間到着するホーム上の荷物やパレットの片付けとトイレ掃除に1日明け暮れる。その苦渋に満ちた数か月を経てようやくハンドルを握れる(同乗研修が数週間続く)ようになっても基本給は15万円ほど。

試用期間中は乗務手当も何もないですからアルバイト以下の収入で耐えることになる。そりゃあ辞めるでしょう。無事に正社員になれたとしても同世代の給与水準の60%ぐらいになれば御の字。

こういう部分を改善せず「人手不足だぁ」と嘆いているオメデタイ業界です。

まあドライバーの人件費すら満足に捻出できない運送業のビジネスモデルについては、私も過去の別ブログで何度も指摘してきましたし、改善できないのは会社の問題だけではないこともわかる。だから余計に厄介なんですけどね。

 

最近になってようやく「荷主は神様」みたいな風潮に変化が見られるようになってきてはいるが、まだまだ道のりは遠いし未だに本気で改革しようという姿勢も見えてこない。

こういう環境がずっと変わらないから景気見通しの数字も良くならない。
改善に向けた劇薬は「ドライバーがいなくなること」でしょうか。

こういう環境下で耐えてしまう者、応募してくる者がいる限りは経営者も本気で何とかしようとしないでしょう。
日本の物流危機を叫ぶのであれば末端の待遇から改善していかないと。

ドライバー職を本気で目指す人以外は、こんな劣悪な条件で働く前にもっと別の世界も見て欲しいと思います。

運送会社に転職してくる中高年に共通して感じる印象は「覇気が無い」「自信がない」「世の中を見ていない」

突然のリストラに遭ったなら取り急ぎ収入を求めるのは当然だし、極端に採用のハードルが低い運送業に応募してしまうのも気持ちはわからないでもない。

ただ上で紹介したように中途採用でまともな(?)収入になるまでには数か月を要するのです。最初から求人に出ている収入が貰えると勘違いしている者が多すぎます。そもそも運送業の求人・月収なんて薄っぺらい基本給の数字を無理やり重ねた手当てで隠してますから、入ってからこんなはずじゃあ・・・と更に人生転落していく。
その無駄にした時間が本当にもったいない。

 

運送業の良い部分ももちろんあります。
ただ多くのドライバーはその良い部分の恩恵以上に悪い部分に飲み込まれてしまっている。長時間労働が仕方ないと思っていないだろうか?この程度の給料が当たり前と思っていないだろうか?

そこから脱却するには雇用という偽装安定神話から逃れることです。

軽ドライバーというのは基本的に雇用契約ではない(雇用されている人もいます)ため、時間と収入は自分で工夫できる大きなメリットがあります。中にはそのメリットを行使せず、時間と収入を相手に決められてしまう働き方をしている人もいます。

トラックドライバーは逆に雇用契約がほとんどで中には自前のトラックを所有し自由に請負う者もいます。会社ごと大きな企業にぶら下がっている場合もあります。

自分が働く上で何が一番メリットがあるか?みせかけの求人内容に隠されたデメリットを見抜けるか?
労働者個々がそういう意識をしっかり持って転職なり就職に臨むなら、有耶無耶に存在する業界ごとの問題点も解消に向けたスピードは速まっていくはず。

ドライバーの未来は他人任せにしてはいけない。
個々の意識がドライバーの地位向上に繋がっていくと思うのです。

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