日々、百聞は一見に如かず
自分で確かめることもせず、周囲からの雑音の中から自分に都合の良い情報だけ抜き出して、さもそれが正解と振る舞うことがある。
匿名のネット社会ではやたらマウントを取りたがり、いたずらに他人を誹謗中傷・攻撃するようなコメントが溢れていますよね。
特にコロナ禍で外出する機会を奪われたストレスがあらぬ方向に拡散していることは、人類の未来を予見しているようで怖い。
有名な諺に「百聞は一見に如かず」というものがある。
誰もが一度は聞いたことがあると思いますが、同時に納得できる経験をしたこともあるでしょう。
「食わず嫌い」という言葉もどこか「百聞は一見に如かず」に通じるところがある。
要は自分で確かめてもいないくせに勝手に決めつけている状態ですな。
これって自分の可能性を著しく狭めていますよね。
例え実際に確かめた結果が百聞や決めつけていたことと同じだったとしても、それは経験値として確実に自分の糧となる。
ただその経験を今後に活かすかどうか。
「やはり噂通りだな」「見た目通りだな」「試すだけ損だ」と食わず嫌い路線を継承してしまうのか、それともそこにビジネスのヒントを見い出すのか。
ヒット商品のキーワードの一つに「意外性」というものがあります。
「いかにも不味そうなものがとても美味しかった」「見るからにブサイクなんだけど不思議とカワイイ」「機能が無さ過ぎて不安だったけど逆に使い勝手が良い」・・・
実はウケるウケないは紙一重だったりするんですよね。
こんなの絶対売れねぇだろ!と思うものをヒットさせることができるのは、何かが敬遠される理由・要素を実際に肌で感じて認識することができているから。
そこで初めて逆手に取れることが見えてくる。
100人中99人がこんなのダメだよねっていうようなものが逆にチャンスだったりする。
思い込みが強いものほど、逆の結果に手のひら返しが起こる=ヒット商品に?
学生時代、いませんでした?
不良っぽい強面クンで皆に距離おかれていたけど実は気の優しい青年だったとか。
社会人でもゴッツイ体で声のデカいパワーの塊みたいな人が実は酒が飲めないとか。
この見た目のギャップ・意外性がそれまでの評価を一変させる。
私は軽貨物運送で独立して14年目ですが、14~15年前の軽貨物の仕事のイメージってそれはそれは酷いものでした。
「車を買わされても大した仕事は紹介されない」「低単価長時間労働の見本」とか、「誰がこんな仕事やるの?」みたいな書き込みでネット上は溢れていましたし、「軽貨物ってどうよ?」みたいな質問も多かった。
自分で説明会に行ってみるなりしないで、遠くから探りの質問してたって本質などわかるわけがない。
で結局興味を持っていた者も軽貨物をやらないとなった途端に「軽貨物なんてやらない方がいい」と酷評する側に回る。
経験もせず何を言ってるんだか。
そういう声を鵜呑みにしてまた食わず嫌いが増えていく・・・
幸い私は数社の説明会に行きおおよその軽貨物に関する噂の真偽を確認することができた。
確かに車を買わせることを商売にしている会社もあったし、仕事量を確約してくれる会社もあった。
巷に溢れる噂の向こう側を知ることができたし、選択を間違えなければ働き方としては十分アリだと確認できたからこその今日がある。
知ることができたのは軽貨物のことだけではない。
運送業という業界全般についての問題点も嫌というほどわかってきた。
これ、最初から運送の世界にしか携わっていない人には見えないと思う。
「運送業ってこういうものだ」という思い込みが植え付けられてしまい、世間ズレしている部分に意識が向かない。
それが低賃金・長時間労働・人手不足・コンプライアンスが改善されないことに繋がっている。
軽貨物ドライバーの多くは他業種を経験したことがある。
他業種と運送業の違いを明確に感じることができる。だからすぐに辞めてしまう人も多いのですが・・・
例えば朝礼やミーティングの多さ・長さは1分1秒でも時間が大事な仕事なのに、朝の積込み作業を一時中断して毎日ダラダラと長い話など実に効率が悪い。
それでいて「焦るな」とか「1件でも多く配達しよう」とか、上司は支離滅裂なことを言う。
もちろん全ての運送会社に当てはまることではないかもしれません。
ただ運送業の現場を実際に経験してみて、「稼げないビジネスモデルなのに会社も儲からないことをしているなぁ」と強く感じました。
でも社員ドライバーはそこをおかしいと考えないのでしょうか?いや、意見を言うだけ無駄と諦めているのか?
自分の収入や働き方に関わることなのに改善を考えない時点で将来は期待できない。
そんなこんなで軽貨物ドライバーは多くが複業を持っている。
運送業だけで食っていくことに不安を感じてますから。
私も軽ドライバーという働き方は大変好きですが、運送業にどっぷり浸かろうとは思わない。
それはやはり「百聞は一見に如かず」を運送業に見ることが出来たから。
百聞にほぼ近い世界だったんですけど、それを逆手にとることをしています。
ただ何となく運送の仕事ばかりしていたらヤバいと感じたのは他業種を経験していたおかげ。
メディアで報じられている通り、他業種より収入が2割低く労働時間が2割長いというのは嘘ではない。
軽貨物運送業だからといって運送の仕事に特化するというのはちょっと危険。
私は低単価長時間労働とは距離を置いた働き方を模索し取り入れていますけど、そういうことが出来るのが軽ドライバーの働き方の良い部分だし、今では大変満足しています。
もうすぐ62歳になりますが、収入も安定してストレス少なく働けていることに感謝です。
14年前にもし食わず嫌いで百聞を鵜呑みにしていたら今の私は無いしこのブログもなかった。
自分で百聞を確かめに行って1見に価値を見い出すことができたから今がある。
中途半端にどこかの社員として働いていたらものすごくつまらない人生を送っていたと思うのです。
「こんなの絶対ダメだろ」と言われていたものが私にとっての大ヒットとなった。
どこで運命が変わるかわかりませんね。
私の大好きな投資の世界の格言に「人の行く裏に道あり花の山」があります。
人と同じ考え方や行動をしていても結果は平凡。人と違うところにチャンスが転がっていたりする。
本当に自分を変えたければ、「百聞は一見に如かず」を体感し活かしてみることです。
その他大勢に流されて過ごしていては、大事な何かを見つけられない・・・