法人成りする価値
軽運送業を始める過程において、会社員辞めての独立、無職・フリーターからの脱却、学卒即開業、副業として・・・ といろいろなパターンがあるわけですが、スタートのハードルが低い分、最終的にどこを目指しているのかという点においては不透明な方が多いと思います。そこに継続していく上での落とし穴が潜んでいる。
とりあえず食い繋ぐための手段として始めた方は、よほど居心地が良い仕事に当たらないとモチベーションを持続させるのに苦労する。ドライバー仕事に対して愛着を持っているわけではないのと、とりあえずという腰掛け的な動機が根底にあるのでまあ無理もない。
学卒即とかわざわざ会社員を辞めてまで軽運送業をやりたいという方はほとんどいないはず(笑)ですが、ちょっと違った路線で参入してくる方もいらっしゃる。法人設立が目的というもの。軽貨物運送業は法人でも車両1台からの届け出で開業可能ですから(一般貨物運送業は最低車両5台とかいろいろと制約が出てくる)、手っ取り早く法人立ち上げて仕事を始めるのは容易な部類です。
自分の会社を持ってみたいという夢を抱いている方はそこそこいらっしゃる。ただ法人・会社を興すにも何の看板を立てたら良いかで悩むこともあるでしょう。どうしても取り急ぎ法人成りしたいという方にとって、軽貨物運送業という看板はツブシが利く業態である。現に本業の傍らで軽運送業をやっている法人や会社・お店はいくらでもあるし、その反対もある。軽貨物運送業で法人成りしたら軽運送業だけしかやってはいけないということではないですから(職種によっては改めて届け出が必要なものもある)、一応軽貨物運送で何らかの仕事を始めながら、本当にやりたい仕事にシフトしていくことも出来る。私の屋号も先を見越して運送業のイメージではないものにしています。
法人にするメリットは、取引先への信用という部分が大きい。軽運送業の世界でも荷主と直取引をする上で、下請けは法人条件としている場合が多いですから。銀行の融資とかにも影響があるかもしれませんし、税金上のメリット(法人にするデメリットもある)を享受するための手段とも考えられる。
個人事業主の「なんちゃって社長」とは違って、規模とか業種に関係なく会社設立すれば一応本当の社長を名乗ることができるので、ちょっとタバコ我慢して浮かせた金ですぐにでも株式会社設立できる時代ですから、名声欲を満たしたいならやってみてはいかがですか?せどり社長とか転売社長として成り上がるのもまた一興。社長名刺を持っていれば飲み屋でモテる?(笑) 社畜として終えていく人生よりも刺激があって面白いかも。
軽運送業・軽ドライバーというのは副業と相性が良いということはいつもお伝えしておりますが、法人にすることはまた別の話です。大して売り上げも無いのに法人にするのは税の観点からもメリットを感じません。経費の部分で法人としての旨味を見い出したり、取引上の必要性を迫られてからでも良いとは思います。ただ将来に向けての明確なビジョンがあるのであれば、最初から法人として勝負をかけていくのは有りだと思うし、不退転の決意表明として法人・会社設立するのは何よりも説得力がある。
会社から会社への転職は、結局は相手先にルールも時間も報酬も決められてしまうのですが、独立して法人・会社設立する場合はルールも時間も報酬も自分で決めることができる。オリジナルな働き方を自分だけでなくそこに集まってきてくれた従業員にも提供できるわけですから、働くことの満足度を高めることができれば、ある意味大きな社会貢献になるかもしれません。企業の価値として社会貢献度というのは結構インパクトありますので、法人成りの価値が自分の価値を高めることに跳ね返ってくるのならば、是非やってみたいものですね。