軽貨物ドライバーの出口戦略
ここ例年に比べて遅咲きだった感のある桜の開花。
ようやく見頃を迎えたと思いきや明日は東海・関東沿岸部では警報級の大雨予報だと。
桜の開花は毎年春を告げ、私たちに希望と勇気を与えてくれるのも束の間すぐに潔く散ることでより印象的。
日本人の心に「諸行無常」という言葉が妙に深く刻まれるのも、桜の存在が大きいのだと思う。
形あるものはいつか壊れ、命あるものはいつか朽ちる
これは法人や個人事業にも言えること。
例えば「企業」という少々スケールの大きい組織的なものになると、代々経営者を受け継いでいくことによって「企業」の看板は残すことは可能です。
ただし創業者の想いというのは伝言ゲームと同様に代を重ねるごとに微妙に壊れていきやすい。
実質的に初代の形をそのまま繋いでいくのは至難の業なのかもしれません。
しかし「個人事業」となると脈々と受け継いでいくことは珍しく、大概は1代限りで消えていく。
組織として機能することなく単体であるがゆえにどこかで終焉を迎えるケースがほとんど。
その最後の姿をイメージすることなく開業し、事業というより社畜的な労働をしているため労働寿命を全うする前に望まない形で終焉を迎えるケースの何と多いことか。
軽貨物系のYouTubeやブログを見るとわかる通り、まず開業して最初に発信するのが「開業初日の感想」や「開業1ヵ月目の売上報告」。
まあ軽貨物に興味があったり既に開業済みの者が自分との比較をする上で気になる情報ではある。
ただ「事業」としてどう考えどう発展させどうなりたいか?という経営者的な発信をしてくる者はほぼ皆無と言ってよいかと。
「1日200個配った」「月に70万売り上げた」とか、第三者の目線では物流の最下層で競わされている姿がもはや滑稽にすら見えていたりする。
長期的経営というものが伝わってこないのです。
毎日のように軽貨物に新規参入した者がYouTubeで発信して来ますが、再生回数や登録者数は5~6年前の新参者達に比べて1桁~2桁少ない。
すでに軽貨物のブームは終わっていると考えるか、同じような情報が溢れかえり飽きられているというか。
YouTubeの発信で本業以上に稼いでいるのであれば、軽貨物をネタに番組を続けるのも一つの事業と言えるでしょう。
しかし皆が同じような仕事を同じようにして同じように発信しているだけでは新鮮味に欠けるのは仕方がない。
「AI副業」というジャンルの配信も日々凄い数が発信されていますが、軽貨物の将来性や可能性との比較という意味においては圧倒的な違いを感じます。
方や肉体労働で経費自腹の2次元的足し算型収入、方や時間や場所を選ばずストック型3次元的掛け算型収入。
これから注目すべき情報は「軽貨物の数字」か?「AI副業の可能性」か?
再生回数だけで見ても軍配は一目瞭然。これからの働き方・稼ぎ方として皆が注目している。
個人事業主は今の働き方を続けても確実に終焉を迎えることになる。
となるとこれから終焉に向けてどうしたら良いのだろうか?
それは終焉があることをしっかり受け止めている者だけが抱える悩みとも言えましょう。
大半の軽貨物ドライバーはそんな先のことなど気にしている余裕などなく、目の前の荷物をいかに片付けるかに集中するのみ。
それを毎日繰り返すことが精一杯。私も開業して2~3年はそんな感じでしたし。
ドライバーが終焉を迎える要因
軽貨物ドライバーが廃業・引退するのはどんな時か?
- 年齢的・体力的な限界を感じた時
- 収入や事業としての限界を悟った時
- 車両の買い替えを迫られた時
- 事故や違反等で運転が怖くなった時
- 他に魅力的な仕事を見つけた時
…etc
年齢的・体力的な限界というのは個人差があるので、60歳になったからとか腰痛が我慢できなくなったとかは誰にでも当てはまるものではない。
30代だって腰痛に苦しむ者もいるし70歳過ぎても元気にドライバーを続ける者もいるため一概に一定の線引きはできませんね。
自分を長持ちさせるにはどうするか?賃金良くても短命で終わるなら意味がない。
収入や事業の限界も個人差がありそうです。
贅沢できないカツカツな収入でも許容できる者と、理想を下回ることすら我慢できない者では限界点は大きく違ってくる。
もともと低空飛行しているのか右肩下がりを続けているのかによっても判断が変わってくる。
上がり目が無いことが確実ならダラダラ続けず潔く撤退して次に行った方が良いことも多い。
車両の買い替えを迫られる状況。これは悩む。
50代ならまだ10年ほどは体力的にもドライバーを続けられる可能性を感じられていると思うので、あと何年やるという構想がハッキリしているのであれば新車にするのか中古にするのかを考えればよい。
引退後も軽の1BOXで乗り潰すのか、引退後は違う車に乗りたいのかにもよります。
私なら(お金に余裕があるなら)早めに引退して余生(免許返上まで?)は好きな車に乗りたいかな。
事故や違反は精神的にショックでしょう。たぶん高齢になればなるほど自信を失い運転自体が危ない行為になりかねない。
それなりの事故をしてしまえば当然車両の修理もしくは買い替えに多額の出費も伴うので、そこまでしてドライバー仕事を続けるかどうか結論を迫られる。
50代後半以降ぐらいの年齢であれば事故や違反は引退のキッカケに直結する可能性が高い。
軽貨物も長くやっていれば様々な誘惑に駆られる時もある。
副業をやっていればコスパや自分との相性などで本業と副業を逆転したくなることも不思議ではないし、配送先でそこの求人に引っ掛かることもある。
軽貨物より魅力的な仕事への転職というチャンスに遭遇した時、皆様なら即断することができるでしょうか?
せっかく車両買ったから、軽貨物稼げそうだから、自由だから・・・ いろいろな言い訳が脳裏を駆け巡るでしょう。
何が正解かわかりませんが、一つの廃業のタイミングであることは覚えておきたいものです。
私は現在63歳。
ちょうど先月末で最後に残っていた副業での配送仕事の契約が終了し、事実上の引退状態になりました。
これから軽貨物の仕事をしようという気持ちにもならないし、そこまでするメリットも見当たらない。
1つは体力的な問題がありますし、インボイスというおバカな制度も引退の背中を押しました。
また、ガソリン代の高止まり等経費と収入のバランスがよろしくない。コスパが悪い働き方になってしまったからねぇ。
脱サラして個人事業主になるというのは一つの生き方ではあるのですが、軽貨物を引退するタイミング、年齢、そして老後への準備 = 出口戦略は早くから構想・準備しておくべき。
個人事業主としての国民年金は満額でも月額なら手取りで6万数千円。家賃にすらならない。
フリーランスを貫くなら国民年金基金やiDeCoを活用して少しでも早く老後資産を増やすことを考えるべし。
アルバイトでも厚生年金に加入できる条件は低くなっているので、そちらを狙うというのも将来に向けた働き方の一つ。
生涯こんな年金で暮らすのかぁ!と後悔しないためにも軽貨物という働き方に固執しないことも検討に値する。
例え軽貨物の収入が月に5万円減っても年金の差でそれ以上のリターンが得られると考える。しかもそれが生涯続くなら・・・
目の前の景色だけでなく、いずれ訪れる引退 = 軽貨物からの出口という風景を想像しながら足場を固めて行きましょう!
私自身の後悔・反省を込めての未来(出口)からのアドバイスでございます。