介護職はメンタルが破壊される
前回の記事では積荷オヤジが向かう次のお仕事「介護職」について、そのメリット的な部分をお話させていただきました。
メリットとは言っても誰もが魅力に感じるとは限らないし、まだ実践の場にも立っていない新人の分際で「知ったような口きくな!」とお叱りを受けそうですね。
実際に現場に立てばもっと魅力に感じる部分があるのかもしれないし、いやいや評判通りに厳しいお仕事だと先行き暗くなってしまうかもしれません。
まあどんなお仕事にも良い部分悪い部分はありますけどね。
今回は介護職のデメリットの部分に触れていきたいと思います。
周知のように介護職は一般的に敬遠される部類のお仕事だと認識されていますよね。
先日まで本業として携わっていた運送業もしかり、建設・建築関連のお仕事もしかり。
共通するのは「キツイ」「安い」「(労働時間が)長い」というイメージが原因か?
こうした業界は例えば「飲食」や「サービス」にも一部当てはまるし、挙げていけばキリがない。
情報が簡単に入手できる現在では良いとこ悪いとこが独り歩きして、何故かネガティブな部分だけは急速に拡散していく。
まあ憶測だけではなく実際にブラック要素のある仕事は叩かれやすいし、なんでわざわざそんな環境で働かなきゃいけないの?と思うのはごもっとも。
しかし現実はキツクて安くて長時間労働に多くの人が従事している。
そのおかげで日本の経済はかろうじて回っているとも言えますけど。
介護職が「キツイ」というイメージなのは、恐らく人体介助の部分だと思われます。
特に仕事に代表される「排泄介助」と「入浴介助」というのは誰もが容易に想像ができるため、人手不足が解消されない大きなハードルになっているのでしょう。
それでも報酬が他の仕事よりも圧倒的に魅力的であれば、多少辛くても人は流れて来るとは思うのです。
しかし日本の現実は厳しいというかおかしい。
世の中で必要とされる仕事ほど賃金は安くハードという傾向にある。
しかも低賃金ゆえ収入を得るために労働時間も長くなる。
この稼ぐために必要な長時間労働を規制するのが物流・運送の2024年問題。
ハードで低賃金で働く時間を制限されるなら、皆他の仕事に行きますよね?
肝心なその部分を無視して「トラックの最高速度を上げればいいじゃん」「連結トラックを増やせばいいじゃん」「荷主に積み降ろし待ち時間解消を指導すればいいじゃん」と、とにかくたくさん運べば解決するだろうという能天気なアイデアしか出てこない。
ただでさえ人手不足な部分を解決しなければいけないのに、これじゃあ人は逃げるし寄ってこない。
介護職も似たような部分はある。というか根底には「低賃金」という問題が敬遠されがちなどの職種にもある。
介護職の求人を見ると正社員としてはおおよそ月収25万~27万というのが相場だろうか?
ただしよくよく話を聞いてみると25万~27万の中には夜勤(15時間前後の連続労働)が月に何回か含まれていたりする。
それでもこれとは別に賞与が加わるので、年収としては350万~400万という感じか。
う~ん、確かに割が合うとは言えないかなぁ。
正社員以外の募集だと資格・経験の有る無しで結構待遇が変わる。しかも募集先で結構金額が違う。
一応8月までの求人(旧最低時給)として見ると、
●資格・経験無しで首都圏エリアで時給1,100~1,300円
●入門レベルの「介護職員初任者研修(ヘルパー2級)」で1,300円~1,500円
●資格取得難易度が上がる「介護福祉士」で1,700円~2,000円
という感じでしょうか。
もちろん資格だけ持っていればよいのではなく、施設や経験値で報酬は上下する。
また訪問介護なのかデイサービスなのか老人ホーム(24時間見守り介護)なのかによっても報酬は変わる。
大雑把に紹介しましたけど、資格・経験が直接基本報酬に結びつく業界ではあります。
ただ資格と報酬と仕事内容が納得いくかどうかは、業界が人手不足になっている現状から想像がつきそうです。
皆様が思う一般的なアルバイトの時給相場に比べてどう感じましたか?
実際に何社か面接してみてわかったのですが、同じような募集内容でも求人先やタイミングによって仕事の内容は違います。
敬遠しがちな排泄や入浴等の人体介助は、資格・経験無しの募集においては職務から外れているケースが結構ある。
まあ未経験でいきなり排泄や入浴のお世話をやってみぃと言われたってそりゃぁ無理がある。
介助される方だってド素人に任せたら不安になるのはわかりますよね?
政府は介護職の人手不足解消の一案として、外国人の活用を提案している。
実際東南アジアから多くの実習生が学びに来ているし、日本の現場でも採用される人が出てきている。
何せ日本人には低収入仕事でもまだまだ東南アジアでは高収入な部類らしい。
これと似たような話だとオーストラリアで美容師で働くと月収80万ぐらいは普通に稼げるらしい。
まあ為替の問題もあるし物価も日本より高いからそれで楽勝で暮らせるというわけではないみたいですけど。
で、もし自分が介助される立場なら、その辺にいるド素人に自分のお尻を任せたいと思いますか?
それともちゃんと資格を取得した外国人にならOKかな?
下手すれば施設の評判にも傷が付くので、今のところは介助作業は場慣れしたスタッフが担当しているようですが。
もし仕事の手始めで介助行為無し、シーツ交換や清掃、洗濯、その他雑用という仕事で最低時給以上貰えるなら、ちょっと介護の仕事も選択肢に入りませんか?
イメージとしてはホテル業の裏方さんみたいな感じ。
コンビニやスーパーのレジ仕事に比べても作業的にストレスは少ないのでは?
慣れてきて実際に段取りや手順を学べば介助も出来そうに思えるのかも。
時給がいきなり数百円UPするなんて普通のアルバイトではなかなか難しい。
それに介助する相手も要介護度や状態によって千差万別。排泄や入浴を自力でできる利用者さんもいるし運やタイミングが良ければ恐れていたほどキツくはないのかもしれない
とは言っても終業時間中はほぼ高齢者と接する時間。
同じ話に何度も付き合わねばならないし、無茶な要望をふっかけられる時もあるそうだ。
マインド的に相当なストレスを感じると思う。しかも一番の問題は利用者ではなくその家族にあるらしい。
ちょっとでも施設側に落ち度があったり、先方との考え方の行き違いがあったりすると途端にモンスター家族に豹変する。
「高いお金払ってるのにこの程度のサービスしかできないの?」とか、好き放題に言われたらたまったものではない。
普段はちっとも面会にも来ないのでスタッフがどんな苦労をしているか、利用者本人がどう過ごしているかなどわかっちゃいない。
こういう理不尽なクレームにも対処しければならないのも、人相手の商売の難しさですな。
そしてもう一つ敬遠したくなる要素がある。
それは「看取り」。
途中、病院に入院してそこで亡くなるケースもあるが、介護施設で亡くなるケースもある。
どうしても人生末期の人を相手にする仕事。
自分が担当する利用者が施設で亡くなることは決して珍しくない。
その場面に遭遇する確率は高いし、休日であっても呼び出されることもあるでしょう。
こういうのも仕事として「キツイ」と敬遠される部分なのでしょうね。
冷静に考えるといくら人体介助があるとはいえ、就業時間中そればかりやっているわけではなく体力的には軽貨物ドライバーより相当に楽だと思う。1年中雨風関係なく空調の効いた環境だし。
ただし大きな問題は上で紹介したような様々な精神的苦痛が、続かない・辞めてしまうに繋がるのだと思う。
そんな仕事絶対無理だ嫌だという食わず嫌いの現代人にはまあ魅力に感じない仕事でしょう。
私だって早々にメンタルをやられるかもしれない。
そんな近未来の働き方も紹介していければと思っております。
人体介助というより人体実験ですな(-_-;)