解雇はチャンス?

終身雇用という「安心」が約束されなくなってきた時代、労働者にとって最も恐れる一言が「解雇」。

毎日決まった時間に出勤し当たり前のように貰えていたお給料が明日から失われるとなった時、人は何を思いどのような行動に走るのか?
まだ他人事でいられますか?

 

「解雇」のたった一言で、これまで何年何十年と築いて来た生活やキャリアが吹っ飛んでしまう虚しさ・恐ろしさ。今までの会社・仕事・働き方への依存度が高い人ほど、そのショック・影響は大きい。

大手企業による数千人規模の人員整理が日常茶飯事化している流れは、中小企業へも伝染している。「大手がやっているのなら、もっと経営が厳しいウチがコストカットをやるのは当然」と、もはや日本社会は右へ倣えで歯止めがかからなくなっている。

これまで世間体や株主・取引銀行等への影響を気にして、経営苦にも必死に体裁を繕ってファイティングポーズを取り続けてきたものがもう我慢の限界。見栄も外聞も捨て、社員より企業存続が第一という本音をさらけ出してきたから、サービス残業も厭わず会社に奉公してきた労働者にとっては裏切られたような思いでしょう。

 

普段から危機管理が出来ていた者は、修羅場になる前に危険を察知し脱出方法も用意していたことでしょう。準備・心構えが出来ていた者にとっては早期退職制度・割増退職金というのはまさに渡りに船。スムースに次のキャリアへと進んで行くことが出来る。

一方、危機管理もせず慢心し会社にしがみ付いていた者にとっては厳しい未来が待ち受けている。社内だけのステップアップしか頭になかったわけですから、外の世界に放り出されて通用するものを育て上げて来なかったのは完全に自己責任。「会社は酷い!」と文句を言っても惨めになるだけ。どこでも通用するような能力のない自分をこれまで養ってきてくれた会社には感謝しなければ。

 

大企業の大量人員整理は対岸の火事と高みの見物をしていたものが、その火の粉はあちこちに飛び交い直接・間接的に自分の立場にも迫って来ていると思うべし。
いつ自分の環境が炎上を始めてもおかしくないと有事を想定し対策を考えておくべし。自然災害における避難経路確保と同じです。自分は安全だという思い上がりは禁物です。

大企業から放り出された自分より優秀かもしれない人材が大量に市場に出て来るわけで、新卒採用に苦労している中小企業にとっては教育に時間がかからない出来上がった人材を安く買い叩けるチャンスとなる。

もし中小企業が優秀な人材を確保できるとなると、今度は安泰と思われていた自分の立場が危うくなってくる。同じ1馬力で自分より有能な人間が入ってくれば、誰が余剰人員になるかは明白ですね。
上流の人員整理が下流の人員整理に影響を及ぼしてくるのはこういうこと。
有能な選手を獲得できたチーム(会社)のポジションは一つ減る。
大量に人員整理している大手と同業の中小企業の労働者は要注意です。ライバルが押し寄せて来たら勝つ自信はありますか?

 

もし自分が人員整理の対象となりそう・なってしまった場合、まず何をしなければならないか。収入・生活の確保は最優先ですね。特に家族がいる場合には普段から万が一に備えての話をしておくと良いでしょう。
「嫁ブロック」という転職において最強の壁と言われるものを緊急事態においてどうするのか。緊急事態になってから行動したのでは、当然ながら仕事を選ぶ猶予などありません。嫁がいくら反対しようがその場しのぎのやりたくもないアルバイトも受け入れなければならなくなる。そんな屈辱的な状況に追い込まれないためにも、有事の対策は大事になる。

 

もし自分の会社の将来や自分の働き方に疑問・不安を抱えているのなら、早めにアクションを起こすべきだと思います。誰だって会社が倒産したり自分がリストラになる姿は想像することすら嫌でしょう。しかし自分がその当事者になってしまった時に慌てふためき悲惨な将来を迎えてしまう人の多くは、準備不足や遅れが原因。現実を受け入れることを拒否し続けた結果、災いが自分に降りかかっている。

 

ものは考えようで、解雇という不安をチャンスにする発想は出来ないだろうか?

 

転職を躊躇したり判断力が鈍い人は問題を先送りするタイプではなかろうか。
転職を考えるという事は今の仕事・職場に何か悩みがあるか、人員整理の対象として危険を感じているか、他にやりたい事があるか。
自分の環境を変えたい何かがあるはず。しかし自分から積極的に動けない、強い動機・キッカケがない、と燻っている人は結構多いと思う。

もし自分が解雇される可能性があるのであれば、肩を叩かれる前にアクションを起こせるはず。人間はキッカケがないと動こうとしない動物のようですから、解雇という恐怖は自分を動かす大きなキッカケになる。それでも動けず無抵抗のままに世の中に飲み込まれてしまうことだけは避けて欲しいなぁ。

 

人員整理や解雇がキッカケで動くというのも何か釈然としないかもしれませんが、とにかく自分を変えるターニングポイントであることは間違いないところ。自分の生き方を「他人に変えられてしまう」のか「自分の意思で変えていく」のかは後々にその違いがわかってくるでしょう。

「変えられた自分」と「変えた自分」。たぶんその差は年々開いていく。

早く動けば動くほど自分のペースに持っていくことが可能になる。
対応が遅れれば選択肢は非常に限られたものとなってしまいます。
世の中で起き始めている現実から目を背けず、ピンチをピンチにせず逆にチャンスと捉えて前へ進んで行くキッカケ・原動力にすることが出来れば、きっと新しい自分・景色に出会えますよ!

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