シルク・ドゥ・ソレイユにみる解雇のあり方と労働者の備え

驚きのニュースが飛び込んで来ました!

世界的に有名なカナダのサーカス劇団「シルク・ドゥ・ソレイユ」が、新型コロナウイルスの感染問題で公演が次々と中止になったことを受けて、ダンサーを含むスタッフの95%(約4,700人)を解雇すると発表しました。

 

組織のスタッフの95%を解雇って、一般企業で言うなら役員以外全員解雇みたいな感じですよね。
事業存続のために先のことには構っていられないということでしょうか。

しかしこういう動きはもう決して対岸の火事ではなくなってきています。
多くの業種で今月は活動が自粛となり未だに解除の予定が立たずにいる。
プロ野球の開幕すら当初の開幕予定日になってもゴールデンウィークまでに実施できるのか?というぐらい先が見えていません。

これまでは国家の一大事ということで3月中旬までの2週間ほど(それでも経営的には痛手ですが)は、幅広い職種で業務縮小・自粛で皆が我慢・協力の方向で動いていました。

しかし一向にウイルス騒動が解消しないどころか、世界的にパンデミックとなり今は企業の「協力」というより「強制・圧力」という感が強くなっています。
あの景気に関係なく値上げばかりするディズニーリゾートでさえ閉園期間を4月上旬まで(今のところ)延長を余儀なくされていますから。

普通の会社やお店が1ヵ月以上営業が出来なければどうなるか?
この状況で売上げの無い月のお給料を支給する会社やお店って逆におかしいですよね?
しかも1ヵ月限定の自粛ではなくこの先も不透明な状況なら尚更です。

 

自分の会社には関係ないな、と思っていても経済はどこかで繋がっているもの。巡り巡って実は密かに経営を蝕み始めていたりする。取引先が倒れれば連鎖して足元が揺らいでくるのです。
どんなに取引状況を睨んで危機管理しているつもりでも、今回のような新型コロナウイルスという想定外な事態が起きると培ってきた経営ノウハウが全く役に立たなかったりする。

 

テレワーク・在宅ワークに切り替えができた会社は危機管理が最小限機能したということ。雇用や仕事を維持することができた。
しかし職種によってはテレワークが無理な仕事もあり、結局はそれが働き方のリスクとして表面化してしまいましたね。

現在学生で学費や生活費をバイトで補っている人も多くいらっしゃると思いますが、アルバイト的な仕事は今、シフトを大幅に削られているケースが多い。いつまで自粛や規制が続くかわからない状況では、サラリーマンだけでなく学生にも被害が及んでいる。

就活においては今回のウイルス騒動でテレワーク・在宅ワークが可能な企業の人気が高まってきていると聞きます。
まあ当然ですよね。

「硬直化した仕事」「融通の利かない働き方」は労働者にとって逃げ場がない。
いかに会社が脆弱であるか、従業員ファーストではないということを知ったうえで就活に臨めば、自分がこれまで描いていた企業ブランド志向みたいなものが危険だと気付くでしょう。
例え見せかけの待遇が良くても、会社存続のために従業員を切ることが第一選択肢になっているような会社に勤めたいとは思わないですよね?
今まで優良企業と思っていたような会社ほど、40代になればリストラの対象とされるのがスタンダードな時代になっちゃってますから、少し長い目でよく考えないと。

雇用されるということは社会・経済が安定している状況においては信用・信頼できる働き方かもしれません。
自分に特別な能力がなくとも取りあえず会社の懐に居られるのですから。

これが自分がスペシャリスト的な特技や能力を持っているのであれば、雇用されようが独立自営だろうがあまり関係ないのかもしれません。
今回のシルク・ドゥ・ソレイユの解雇の件で解雇された側からは悲痛な声があまり聞こえてこないのも、スタッフは皆スペシャリストであり一芸で食っていけるスキルがあることが理由なのだと思います。

 

おそらくウイルス騒動が収まり状況が元に戻ればシルク・ドゥ・ソレイユ側からまたオファーをするという取り交わしができているのでしょう。
替えの効かないような凄い能力の持ち主達を黙って手放すはずがないし、揺らぎない能力を持ち合わせている者は取り乱すことも無く平然と生きていけるのです。
何か「大人の取引」のような余裕さえ感じさせる解雇に思えるのですが・・・

 

これが日本の一般企業で同様な解雇が行われればもう能力の有る無しは関係なく修羅場と化すでしょう。
ただ冷静に考えればそこで無理に雇用を維持しようとすれば結局は会社は傾く状況なんです。どちらにせよその会社で生きて行くことはできない。
多くの人がこんな綱渡りの状況で働いていることを自覚しておくべきなのです。
思っているほど会社は信用できないのです。

今回の騒動で学生達は授業で学ぶこと以上の社会勉強をしたと思ってほしい。
親の仕送りは当たり前、バイトで稼いだ金を浪費していた生活が一転し、「バイト先が休業状態になった」「生活必需品が買い占められて売ってない」「店が開いていない不便さ」など、滅多に経験できることではないですから。
そして親が自分以上に苦労していることを知る良い機会でもあります。

 

働くということはバランスが大事なのです。
収入・労働時間・やりがい・将来性・拡張性・・・
どれかが欠けるとストレスは膨らんでくる。

全てを欲張るのは無理としても、自分の優先順位を把握せずに就職先や働き方を決めると窮屈な人生を送ることになる。
だから社会人になる前の「己を知る」ための行動や努力は貴重な財産になる。

 

今、やりたいことができず出かけることもままならない状況の人が多いと思います。
こんな時こそ生きて行くための強いスキルを見つけて磨いてほしい。
読書でもオンラインのセミナーでも、学ぶ方法やできることは無数にあるはず。

不便さを嘆くより不便な状況を逆手にとって利用してやりましょう。
それが近未来に必ずライバルとの差となって表れてくるはず。

解雇に怯える働き方より、何事にもびくともしない強い働き方を身に付けてほしいなぁ。

「雇用されるより起業してやる!」ぐらいの気構えが貴方を強くすると思います。

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