季節は楽しむもの
令和元年の8月ももう終わろうとしています。
季節の中で終わりゆくことを寂しく感じるのは夏が一番だと思うのは私だけでしょうか?
とは言ってもまだまだ暑さは続きそうですし蝉の鳴き声もお盆前より騒がしいくらいです。あともう少しの辛抱で爽やかな秋が訪れる・・・ といいですね。
最近の気象は昭和の頃と随分と違うように感じます。
暑さもそうですが、特に雨の降り方は”異常”を通り越して恐怖さえ感じます。外仕事をされている方にとってはこの気象の変化は健康面にも収入にも影響を与えたりするので深刻な問題になることもある。豪雨が何日も続けば外構や外壁塗装の職人さん達はその分仕事が出来なくなるため、日給制なら下手すれば月収が通常月の半分以下になることも。特に今年は西日本方面で大雨の日が多いので、収入に影響が出ている職業の方は少なくないでしょう。いや、仕事どころではなく日常すらままならない避難生活を余儀なくされている。
日本中のどこでも気温35℃以上になることが不思議ではなくなってきた昨今、脱水・熱中症で誰もが死に追いやられる可能性がある暮らしって地味に怖いですよね。お年寄りが家の中で熱中症で亡くなる報道が年々増えているのも日本社会の高齢化問題の一つ。
もし自分が年老いて独り身になった時、家の中で具合が悪くなったらどのようにS・O・Sを発信するだろうか?手足が麻痺したりして自力で歩けなかったり、携帯やスマホの操作さえままならない状況は健常者にはとても想像できないかもしれませんが、以前、個人宅宛の配達でそのような状況を目の当たりにしたことがあります。
もともと高齢の方だったのですが、定期刊行物を注文されていて毎月配達でお伺いしておりました。最初の頃はご自身で玄関まで受取に出ていらっしゃったのですが、ある時、玄関が開いたままになっていてお邪魔してみると部屋の中からか細い声で「ハンコは下駄箱の上にあるから荷物は置いてって」と指示がありました。心配になったのでお声かけしてみると、数日前から起きていられなくなり今はヘルパーさんに通ってもらっているのだと。
ちょうどそのやり取りをしている時にヘルパーさんが戻って来られて、いろいろ事情を聞かせていただきました。こちらも定期的に配達する品を今後どうするのかも確認しておかねばならないので。
それ以降は配達の機会がなくなったのでヘルパーさんの計らいで定期刊行物の契約を止めたのだと思います。書籍を読むことすらままならないぐらいに衰弱してしまったのでしょうか?
泥棒に入られても困ることはないので、親類やヘルパーさん、配達員の方のために玄関は施錠をしないということでした。自分がもし施設にも入れず自宅で要介護の状態になった時、安否確認や救護・介護のために施錠をせず暮らせるだろうか?エアコンが無かったらどうなっちゃうんだろう?
いろいろと考えさせられます。
であれば身体が動く今の自分はとても幸せだということ。暑いだなんだと文句を言えるうちはまだ幸せなんですね。水分を取ろうと思えば好きにできるだろうし、少しでも涼しいところに移動することだってできる。しかしそんな最低限のことすらも許されないような労働環境にいるならば、それはもはや「仕事」ではなく「死事」である。
災害現場の中で消防活動や救護活動をされている消防士やレスキュー隊、自衛隊の方々などはまさに「仕事」を超えた世界で働かれている。季節や時間に関係なく暑い寒いとか眠いだるいが許されずに「知らない誰か」のために命を懸けてただひたすらに目の前の難題と闘っている。そういう職業に比べたら自分や会社のために「仕事」をしている一般的なサラリーマンは、個々に苦労はあるにせよ幸せですよね。
暑さと引き換えのようにこれからは本格的な台風シーズンとなります。
大雨の爪痕も残っている地域では更なる緊張を強いられる。しかも最近の台風は勢力が強く大きな被害をもたらす傾向にある。毎年のように日本のどこかで土砂災害が起きるし、安心してのどかに暮らせる場所は日本には無くなってしまったのだろうか?
日本の良さは美しい四季があること と思っている人は、年代が上になるほど多いと思われます。それだけ昔は自然を楽しむ心のゆとりと風情が日本人にはあった。気象も今ほど荒れてはいなかったのではないか?
いつからか日本人は心のゆとりを失い、それに合わせるように気象もおかしくなり、季節を楽しむことなど出来なくなってしまっている。
夏は入道雲とか蝉の声、プールから聞こえる子供達の歓声、浜辺のビーチパラソルや海の家なんていうのは定番だったし私の心の中には今でもハッキリと刻まれている風景です。
しかし今では入道雲はゲリラ豪雨の暗雲に代わり、蝉が数年間暮らす土の上はアスファルトで覆われ地上に出てくることもままならず、ようやく地上に出てきてもそこはビルとマンションだらけ。そして豪雨に流される・・・
子供達は熱中症対策のため外で遊ぶことも出来ない。大人も紫外線や放射線に過敏になり海を避け、ドライブという余暇の過ごし方まで車離れで変わってきている。昔は海に何軒も立っていた海の家は採算の合わない事業になりつつあり、スイカも家族構成の変化や冷蔵庫事情もあってイマドキの子供達にはカットフルーツというイメージが強い。むしろ夏のフルーツはマンゴーと答えるかもしれませんね。
今は夏の風物詩と言えば高校野球ぐらいでしょうか?
日常の喧騒をシャットアウトして爽やかな風が吹き抜ける畳の上で昼寝を楽しむ・・・
そんな贅沢な時間の使い方は現代人には無理なんだろうなぁ
横になってもスマホをいじくっちゃうだろうし、まず畳がない家が増えている(笑)
マンションに囲まれて爽やかな風など入ってこないし、窓開けてれば覗かれる(笑)
仕事中は昼間でも睡魔に襲われるのに家では家族の目に緊張して眠くならない(笑)
夏だけではなく季節の移り変わりを楽しむ生活を取り戻したい。
もしかしたら「働き方改革」というのは、そういうことなのではないか?
日本人には日本人の働き方・生活様式がある(あった)。
季節を感じ味わう余裕を取り戻すために自分に何が出来るか?それともそんな感傷にふけることを良しとしないのが自分のライフスタイルなのか?
ちょこっと自分の暮らしをチェックしてみるのもたまにはいいかも!