軽貨物ドライバーのスランプ

小さいことにくよくよしないで気楽に行こうぜ!先は長いぞ
ずいぶん前に流行った「バイオリズム」を覚えていますでしょうか?
人には心身の状態を3種類の波(身体、感情、知性)で表すことができ、それが周期的なパターンで訪れるのだと。
その波が高い位置にあるか低い位置にあるかで心身や体調のコンディションを知ることができると、皆がこぞって自分のバイオリズムを調べたりしていましたね。
しかしバイオリズムは科学的に実証されていない仮説にすぎないとみなされたため、ブームもいつの間にか過ぎ去りました。
不思議なものでバイオリズムが流行っている時は、多くの人が自分の周期に自分の出来事を重ね合わせるようにいろいろとこじつけてバイオリズムを成立させていたような気がします。
ところが科学的に実証されていないんだよぉ~!っとなった途端に好不調の波とバイオリズムが合わなくなる。
来年は水玉のデザインが流行ると洗脳されると、好きでもないのに猫も杓子も水玉に飛びついてくるみたいな。
流行から外れまいとする行動心理は今も昔もこれからも変わらないんだろうなぁ・・・

上手く行かないのは自分に原因があるのかそれとも・・・
同じ仕事を何年も続けていると、何をやっても上手くいくような絶好調の時とそれとは逆に何をやっても上手くいかない時があると思います。
もしそれが周期的に繰り返して訪れるようであれば、もしかしたらバイオリズムが関係あるのかもしれません。
ただ例えば季節的に売り上げが伸びる時期としんどい時期が決まっているような商売であれば、絶好調と絶不調が周期的に訪れることはあるでしょう。
漁業や農業などは天候が大きく影響するでしょうし、運送業では繁忙期と閑散期がハッキリしている。
小売り業もイベントの有る無しで売り上げは変わるし、日本のアパレル業界では四季の気候に振り回される。
職業的にどうしても逃れられないものというのは、季節や天候に起因することが多いようです。
ただ、ある程度原因がわかっているものとは別に、労働者個人としてどうにも調子の良い・悪いというケースを経験したことはありませんか?

人それぞれ違うのは、スランプの原因はどこにある?
不調はスランプと呼べるのか?
労働者個人が調子が悪いというケース
- 単に体調が悪く仕事に集中できなかったり頭が回らなかったりする時
- いつもと同じことをしているのに極端に成績が悪い時がある
- 行動に予期せぬ制約がかかったりする時(予算、渋滞、日程変更等)
プロのスポーツ選手などではどんなに優秀な選手でも一時的に成績が落ち込む時がある。
それを一般的には「スランプ」と呼ぶのですが、その原因がわからない場合も多いですね。
いつもと同じ練習・量・質をしているのに突然それはやってくる。
また、「スランプ」の期間が長い時と短い時もある。
本人も原因がわからず練習の量や質を変えてみたり、生活のルーチンを変えてみたりすることもある。
コーチが変わったり夜の試合が昼の試合になることであっさり解決することもある。
何がキッカケで「スランプ」になったり回復したりするのか、原因が技術的なこと以外ではなかなか解明するのは難しいのかも。

あーでもないこーでもないと考えれば考えるほど泥沼に
スランプは個人が数字を求められる職業に多いと思う。
上記のプロのスポーツ選手もそうだし、一般的には営業マンなんかもそうではなかろうか?
常に数字を出すことが求められているため、原因不明の低迷が長引けば「スランプ」という言葉を用いたくなるでしょう。
一方、複数人で動く職ではあまり「スランプ」という言葉は使われない。
「あの部署、ちょっとスランプじゃない?」なんてあまり聞かないですよね。
部署単位やチームでする仕事では一人が不調でも周囲がカバーするため、「スランプ」という表現は出てこないのかな。
それでは個人事業主として働く者には「スランプ」はあり得るのだろうか?

収入を増やすのに作業量を増やすことしか思いつかないの?
個人が数字を求められる仕事
軽貨物ドライバーは基本的には個々が主体でやる仕事ですから、一挙手一投足が数字となって表れる。
しかし常に全力投球できるとは限らない。
自分ではどうにもできない状況が訪れることもあるでしょう。
上手く行かないことが続いた時、それを「スランプ」と呼べるのかどうか?
宅配ドライバーで1日200個を配達している者がいるとします。
ある日から1日150個も配達できない日が続いたとする。
その原因が自分にあるのか自分以外になるのかで「スランプ」か否かに分かれる。
ただし提供される配達量は変わらないものとします。
原因が自分にある場合
- 体調が悪い
- 労働時間を短くした
- やる気がおきない
原因が他にある場合
- 配達エリアが不運続き(タワマンが多い、渋滞が多い)
- 配達先に問題あり(不在が多い、再配達が多い)
- 天候不順続きで作業が捗らない(暴風雨、大雪、濃霧等)

効率を上げることばかり考えていると仕事は楽しくなくなる
どんな仕事をしていてもそうですが、同じ仕事を長くやっていると心身がエアポケットに入ったような状態になることがありませんか?
私も15年ほど軽貨物をメインでやってきましたが、時には繁忙期を意図的に休んでみたり複業の方の時間を優先したりしたことがありました。
たぶん勤続疲労みたいな感じだったのでしょう。
もしその時に宅配の仕事なんかやっていたとしたら通常の配達数はできなかったと思います。
何か仕事に身が入らないというか全身が倦怠感に包まれていたというか・・・
仕事に没入できない、まさに「スランプ」と言える状態だったのでしょう。
幸い私には複業という気分転換というか収入的な逃げ道があったので、一時軽貨物から少し距離を置くことができたため1~2ヵ月でリフレッシュして本業に復帰できました。
もし自分の収入を軽貨物に全依存していたらかなり苦しい働き方になっていたのだろうなと。
だってその仕事から逃げられないじゃないですか。自分の弱さがスランプを生み出すのだと気付きました。

なぜ負担が増えることばかりになっていくのか考えよう
時間に縛られ数字に縛られた働き方は必ず「スランプ」が訪れる。
雨天続きだったりタワマンや不在が増えたりすれば、それまでの数字を落とすのは仕方がない。
数字を落とす原因が自分以外にあったとしても、数字の変化が無用のプレッシャーとなって襲ってくる。
でもその数字の変化は「スランプ」とは違う。
数字の変化を気にするあまり、それが心身の不調となり「やる気」や「集中力欠如」となって行動力に影響が出てきた時、それが「スランプ」と呼べるのではなかろうか?
軽貨物を始めてから日が浅く、日に日に数字が伸びていく時は楽しい。収入も増えていくし。
しかし長くやっていると数字はやがて頭打ちで横ばいになり、現状を維持することが辛く感じたりする時がくる。
その状態を続けていくこと、軽貨物を生涯の仕事として受け入れることができるかどうか。

軽貨物を辞めたくなるリスクは他の仕事より多いのか?
軽貨物を続けて行くことに疑問を感じることは何度も出てくると思います。
ガソリンが高騰したりインボイスみたいな税改正があったり配達数の無茶振りされたり。
ドライバー人口が減り続け、ライバルが減ったと喜ぶのか残ったドライバーの負担に苦しむのか。
軽貨物ドライバーの仕事に不安を感じた時に、貴方の心に「スランプ」の卵が宿るのです。
数字に踊らされない働き方をしていけば、「スランプ」など関係ねぇ~し!