軽貨物運送事業にかかる個人事業税、申告していますか?
ほとんどが個人事業主として税務署に届け出て活動している軽貨物ドライバー。
何度か確定申告をされている方もいらっしゃると思いますが、所得税だけ申告すれば良いと思っていませんか?
インボイス登録してしまった人は消費税も新たな申告対象になりますけれど、実は一定の条件に当てはまる個人事業主には「個人事業税」が課せられます。
「そんなの知らなかったよぉ」とこれまで確定申告で個人事業税をスルーしてしまっていた方には、後日税務調査に入られる可能性があります。
今回は軽貨物ドライバーに関係する「税」について考えてみましょう。
目次
- 基本的な税金の仕組みを理解しよう
- 所得税
- 消費税
- 個人事業税
- 必要経費の計上ポイント
- 車両関連経費
- 購入費・リース料
- ガソリン代
- メンテナンス費用
- 通信費
- 保険料
- その他の経費
- 駐車場代
- 事務用品費
- 車両関連経費
- 見落としがちな節税テクニック
- 青色申告特別控除
- 小規模企業共済
- 経費の見直し
- 税理士の活用
- 税金対策の実践例
- 例1: ガソリン代の管理
- 例2: 通信費の見直し
- 例3: 保険料の最適化
- まとめ
1. 基本的な税金の仕組みを理解しよう
所得税
所得税は、年間の所得に対して課される税金です。軽貨物宅配ドライバーの場合、事業所得がこれにあたります。年間の収入から必要経費を差し引いた額が課税対象となります。
消費税
収入が1,000万円を超える場合、消費税の納税義務が発生します。開業後2年間は免税されることが多いですが、その後は注意が必要です。特にインボイス(適格請求書等保存方式)登録してしまった事業主は税制の変更等に気を使わなければなりません。
個人事業税
個人事業税は日本の地方税の一つで、個人で事業を営む人に課される税金です。
具体的には、個人事業税は、一定の業種に属する事業を営む個人が対象となり、その業種ごとに定められた税率に基づいて課税されます。
軽貨物宅配ドライバーの場合、年収が290万円を超えると課税されます。
以下に、軽貨物運送業に関連する情報を説明します。
課税対象者
軽貨物運送業を営む個人事業主は、個人事業税の課税対象者になります。ただし、以下の条件を満たす場合に限られます。
- 事業規模:年間の事業所得が290万円を超える場合。
- 事業内容:運送業として分類される事業を営んでいること。
課税対象となる所得
個人事業税の課税対象となる所得は、事業所得から必要経費や特定控除を差し引いた後の所得金額です。具体的には次のように計算されます:
- 事業所得 = 総収入金額 - 必要経費
- 課税所得 = 事業所得 - 特定控除(290万円)
特定控除は一律で290万円が適用されます。したがって、年間事業所得が290万円以下の場合は、個人事業税は課税されません。
宅配ドライバーで平均月収(売上)40万円を超えるような人は要注意です。
税率
軽貨物運送業は、「運送業」に該当し、その税率は通常5%です。具体的には、以下のように計算されます:
個人事業税額=(事業所得-290万円)×5%
例)事業所得が400万円の個人事業主は(400万-290万)×5%=5万5千円が納税額となる。
課税手続き
個人事業税の申告と納税は、以下の手続きを通じて行います:
- 確定申告:毎年3月15日までに、所得税の確定申告を行います。
- 通知書の受領:各都道府県税事務所から、個人事業税の納税通知書が送付されます。
- 納税:納税通知書に記載された期日までに、税金を納めます。
注意点
- 業種の確認:軽貨物運送業が該当する業種については、各都道府県の税務当局のホームページなどで確認できます。
- 経費の計上:必要経費として認められる範囲についても、適切に把握しておくことが重要です。例えば、車両の維持費や燃料費などが該当します。
個人事業税に関する詳細は、各都道府県の税務当局のウェブサイトや窓口で確認できます。
また、専門家に相談することで、適切な申告と納税を行うことができます。
2. 必要経費の計上ポイント
車両関連経費
購入費・リース料
軽貨物車両の購入費用やリース料は、大きな経費の一つです。
購入の場合は減価償却費として数年間に分けて計上します。リースの場合は毎月のリース料が経費として認められます。
ガソリン代
ガソリン代は日々の配送業務に欠かせない経費です。
領収書をしっかり保管し、記録をつけることで、正確に経費計上ができます。
メンテナンス費用
車検費用、タイヤ交換、オイル交換などのメンテナンス費用も経費に含まれます。これらも領収書を忘れずに保管しましょう。
個人商店等で仕入れた場合は相手がインボイス発行事業者かどうかを確認する必要があります。
通信費
仕事で使用するスマートフォンやタブレットの通信費も経費として計上可能です。
特に配送アプリの使用が必須な場合、通信費は重要な経費となります。
通信費を経費にする場合は私的使用の分と事業分が明確に証明できる必要があります。
保険料
自動車保険や貨物保険、そして自身の健康保険や国民年金なども経費として計上できます。
健康保険や年金は見落としがちなポイントですので、忘れずに計上しましょう。
その他の経費
駐車場代
配達中に使用する駐車場代も経費となります。領収書等をしっかり保管しておきましょう。
車両の私的使用分と事業使用分で按分することができます。
事務用品費
仕事で使用するノート、ペン、プリンターインクなどの事務用品も経費に計上できます。
細かい出費ですが、積み重ねると大きな額になります。
3. 見落としがちな節税テクニック
青色申告特別控除
青色申告を行うことで、65万円の特別控除が受けられます。これには複式簿記の導入が必要ですが、税理士や会計ソフトの助けを借りることで実現可能です。
この控除は物凄く大きいので、いろいろ制約あり面倒ですが青色申告承認申請は忘れずにしておきましょう。
小規模企業共済
小規模企業共済に加入することで、掛金が全額所得控除されます。将来の退職金や事業資金としても活用できるため、一石二鳥の節税対策です。
これも所得控除のメリットが大きく検討しておきたい一つです。
経費の見直し
定期的に経費を見直すことで、無駄な出費を削減し、節税効果を高めることができます。例えば、保険の見直しや通信費のプラン変更などが考えられます。
売上を増やすことと経費を減らすことはセットで考えましょう。
税理士の活用
税理士に相談することで、自分では気づかない節税ポイントを見つけることができます。
特に所得が増えると税務処理も複雑になるため、専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。
当然費用はかかりますが、税務調査対策として考えるとメリットが大きいです。
4. 税金対策の実践例
例1: ガソリン代の管理
燃料費高騰が収束を見込めない現代社会においてガソリン代は月々の大きな出費です。
全ての領収書を保管し、エクセルなどで管理することで、確実に経費計上が可能となります。
さらに、長期的には燃費の良い車に乗り換えることでガソリン代を削減し、経費削減につなげることもできます。
例2: 通信費の見直し
仕事に使用する通信費を経費として計上するために、業務用とプライベート用のスマートフォンを分ける方法があります。これにより、業務用の通信費を正確に経費計上することができます。
プランの検討は一考の余地がありそうです。
例3: 保険料の最適化
自動車保険や貨物保険の見直しを定期的に行うことで、保険料を節約しつつ、適切な保障を維持することができます。
また、健康保険や国民年金の経費計上も忘れずに行いましょう。
まとめ
軽貨物宅配ドライバーとして働く上で、税金対策と節税テクニックを理解し、実践することは非常に重要です。
必要経費を正確に計上し、節税テクニックを駆使することで、手元に残る収入を最大化できます。
定期的に経費を見直し、税理士の助けを借りることも重要です。
いつも申し上げているように、目先の売上だけ見ていても手元にお金は残りません。
経費・支出を削ることで経営が安定してきます。それこそ事業主としての経営者です。
ガソリン垂れ流して走りまくって見た目の売上増やしても、個人事業税払って、インボイスで消費税払って・・・
経費が多く税金ばかり増やして、そんな働き方でいいのだろうか?
経費減らして税金減らせば、ダラダラ低単価長時間労働するより労働対価は高くなる。
ぜひ本記事の内容を参考に、効率的な税金対策を行ってください。