この条件では・・・
先日、レンタカーの回送の仕事についてちょこっと触れました。
今週、神奈川県エリアでの説明会がありましたので参加しようと思っていたのですが、直前に報酬に関する情報を入手し、それを見てしまった結果、参加することを止めました。
まず整理すると今まであったレンタカーの求人というのは、どこかの営業所に所属して基本は時給スタイルで数時間の拘束を伴う内容でした。業務内容としてはレンタカーの回送がメインで他に洗車や電話対応、書類整理等のいろいろな仕事をする形。
しかし今回の求人については回送員として事前登録だけしておく。どこの営業所にも属さず各営業所から出ているリアルタイムのレンタカー回送案件の中からアプリを使って自分の都合に合った場所・時間で仕事を選択することができる。やりたい時だけやれば良いので都合の悪い時にでも無理して出勤し雑用もしなければならないシフト時給制の求人とは違うのです。
ウーバーイーツやアマゾンフレックスのように、登録制でやりたい時だけ出来るような仕組みを持ちこんだ働き方ということで私も興味を抱いたのです。まあ登録するだけならタダだし隙間を埋めるような働き方は複業している者にとっては持っていて損はない。
しかし肝心の報酬金額例を見てガッカリしました。
時給制とは違い、案件によって手にする金額が違うというのはまあアリです。やるやらないの選択権が労働者側にあるのですから、労働対価も案件によって違うのは選択肢があって良いと思うのです。
ただしあくまでも魅力を感じる選択肢でなければ人は集まらない。
ではいったいどんな報酬例が示されたのでしょうか?
仕事は営業所間の回送。AT限定免許でもOK。
出発地までと回送完了地からの移動に関する費用は自腹。
案件は任意に選ぶことが出来、やらない自由もある。
以上の条件を納得した上で、報酬は営業所間のパターンでいろいろ決まっているようです。
東京駅 ~ 横浜駅 ・・・ 2000円
宇都宮駅 ~ 横浜駅 ・・・ 4000円
八王子駅 ~ 西船橋駅・・・ 2500円
名古屋駅 ~ 大阪駅 ・・・ 4500円
博多駅 ~ 熊本駅 ・・・ 4000円
仙台駅 ~ 盛岡駅 ・・・ 5500円
ガソリン代は会社負担。本州~四国等、必要最低限の有料道路代のみ会社負担。
どうですか?報酬例からおおよそのメリットデメリットは感じられましたか?
正直、安いですよね!下手したら時給換算で最低賃金以下になることも有り得ます。
例えば東京駅~横浜駅が2000円という案件。
単純に駅間距離で約29km。首都高も使用せず下道での回送だと順調に業務遂行出来たとしても片道約1時間でしょう。これに自宅から東京駅&横浜駅から自宅までの移動にかかる時間を加味するとまあトータルで2時間以上はかかることになる。もし自宅が中間地点の川崎辺りという好条件であってもやはり1案件こなすには2時間はかかるでしょう。そこに鉄道等の移動料金を加えれば実質賃金は時給1000円を大きく下回ることになる。
更に宇都宮駅~横浜駅で4000円となると、これはもう仕事でも何でもないのでは?
単純な駅間距離で約140km近くある。下道で回送するなら片道3時間はみるでしょう。これに宇都宮から自宅&横浜駅から自宅という移動時間と料金を加えたら実質的な時給は300~400円程度になる?
仕事のためにかける時間と手元に残るお金を冷静に考えたらこのビジネスは有り得ない。確かに営業所間の距離に応じて報酬も増えますが、逆に距離が増えるほど手元に残るお金は少なくなる。実際に説明会に出ていないのでオープンになった報酬例でしかコメント出来ませんけど、オープンにしていることからまあこの報酬金額はこんなものなんでしょう。せめて往復の通勤代を負担してくれるのであれば実質最低賃金はクリアできなくもないのですけどね。
以上を踏まえた上で、果たして何人が説明会に参加し何人が納得して登録されたのでしょう。それはそれで興味があります。このビジネスのどこに商機を見い出したのだろうか?自宅を中心に最低限の移動で済む営業所間の仕事を見つけたのであろうか?
せっかく面白いコンセプトで求人してるのに正体がバレてしまったら誰もやらないでしょう。レンタカー会社の中で企画が十分に練れていないまま見せかけの報酬だけが先走ってしまっているように思えるのです。これまでの回送仕事の募集は他の仕事とチャンポンになって目立っていなかったのかも知れませんけど、こうして割の合わない仕事の部分だけで人を集めようというのはちと無理があるなぁ。
もし実際の説明会で私が感じているのとは全く違う内容の説明があり、移動費が自腹でも実質賃金が最低賃金を上回るビジネスモデルであることが証明されているのだとしたらお詫び申し上げます。
今後全国各地で説明会が順次予定されているようなので、「この仕事、本当はどうなの?」という書き込みもたくさん出て来るでしょう。ちょっと楽しみに注目しておきます。