迷走? or 進化?
軽運送業を10年以上続けている人って、辞めたいとか他のことをしたいとか思ったことはないのだろうか?
私の場合、軽運送業を辞めたいと思ったことはないのですが、他のことをしたいと思ったことは多々あります。というかやりたいと思ったことを同時にやっちゃってますけどね ^^;
もし私が軽運送業をとことん追求し極めようと一途に取り組んでいたら今頃どうなっていたかなぁ? と考えてみたりする。たぶん多くの軽ドライバーはこっち側の考えではなかろうか?
ただ一途に取り組むと言っても何をすれば良いのだろう?ひたすら配達スキルを磨き最終的には一番稼げると言われる宅配で一心不乱に走りまくるか、それとも営業しまくって元請けとなり手配師のように人を使う側になるか。
開業当初は元請けを目指す人は多いと思うのです。自分は働かずに他人に働かせて中間搾取して稼ぐという、ある種の不労所得者となるわけで憧れますわなぁ(笑)
ただ実際に何人かの元請けを間近に見ていて、結構大変なことも多いと知ることができたのは収穫でした。
元請けの何が大変かというと、荷主もしくは仕事の請け先に対して、自分が使っている軽ドライバーの全ての責任を負っているところ。
下請けの軽ドライバーが誤配や荷物事故等やらかせば、当人と一緒に相手先に詫びに行かなければならず、下請けが車の故障や病気等で稼働できなくなれば代替えのドライバーを手配する羽目になる。大抵そういう時は前日の夜とか当日の朝に下請けが騒ぐという緊急事態ですから、代替えのドライバーなど簡単に見つかりません。そこでスポットやチャーターで待機しているようなフリーの軽ドライバーに依頼することが多いのですが、彼らへの委託料はそこそこ料金が高いのが普通です。依頼するとほぼ利益は無くなるか、下手すれば赤字になることもあるのですが、荷主や請け先に迷惑をかけるわけにはいかないので、背に腹は代えられずに使うことになる。
私も病院の検査等で元請けに何度も迷惑をかけたことがある(一応余裕を持って休む日を伝えてます)のでそういう事情に詳しくなりましたが、人を使うということは上手くいっている時はいいけど出来れば避けたいですな。他人の責任を被ってまで中間搾取するビジネスはやりたいと思わなくなりました。私は経営者タイプではないのかも知れませんね。きっとプレーヤーとして好き勝手やっている方が合っているのでしょう。
まずこうして人を使う元請けになる道は無くなりました。では宅配で我武者羅にやる方向はどうなのかと言うと、一般的な配達単価と希望収入に到達するための配達個数や労働時間を冷静に考えたらそれもないなと。
まずせっかく社畜の世界から解放されたのに何でまた朝早くから労働三昧しなければならないのか?という自分の中の拒絶反応が強かった。その割には開業当初の売上最低ラインを月収40万円としていたわけで、それをクリアするために空き時間に副業するという、結局は労働三昧になっているという矛盾。この辺は生活を安定させるために考え方と働き方が手探り状態というか迷走していた時期でしたね。
ただこの迷走時期にとても大事なことに気付きました。
それは時間を生み出すことが何より働き方の可能性を高めることが出来るということ。
宅配をいくら必死にやっても収入は配達個数×単価の延長にしかならない。しかしもっと労働対価の高い・もしくはやって楽しいことに時間を投下できれば、少なくても労働三昧という社畜的な働き方は回避できるだろうと。
幸い私がベースにしていた軽運送業の仕事は商業貨物便というジャンルでほぼ不在がないので再配達もない。当日の分担量をこなせばそこで業務終了となる。スキルアップがそのまま時間を生み出すことに繋がるため、繁忙期でなければ大抵は午後早めに終われる。日収制のため月の稼働日数に限りがあり収入の上限もあるのですが、その分生み出した時間でいろいろなことが出来る。
ただしこの生み出した時間を有効に使わない・使えない者もいる。もちろんお金が全てではないし人によって何しようが余計なお世話な部分ですけど、私が独立して一番鍛えられたと思うのが時間の使い方。とにかく24時間を精一杯使うことばかり考えるようになって半ば病気ではないのか?と自分を疑ったりする。
そんな変化が自分に起きたおかげで、今は複業で1日が埋め尽くされている。労働時間もそれなりに多いのですが、とにかく仕事間の移動距離&時間が短いため肉体的なストレスも軽いし、移動がほどよく気分転換にもなっている。自分のやりたいようにやっているので精神的なストレスも感じない。寝る前に空調の効いたインドアでストレッチしているような感じにリラックスして働いてます。来年還暦を迎える老体が週に7日働いていても全然苦にならないのも不思議ですけど、収入もちゃんとついてきているからでしょう。
働き方と稼ぎ方のコツをつかんだというか、ライフワークバランスがとても良い状態になっているのだと思います。
せっかく軽運送業で開業しても、収入や働き方を安定させるべく試行錯誤・迷走している期間に脱落・辞めてしまう人は多いようです。
迷走の先に道は開けるはずです。迷走している期間は実は自分が進化している時間です。幼虫が成虫になる前の蛹(さなぎ)の状態です。この時にそれまでの苦労や経験が整理されステップアップしていくための悟りを得る我慢の時。ここを乗り越えられればその先は視界はクリアになっているはず。自分がやりたい事・進むべき方向が見えてきたらしめたもの。
迷走を恐れず進化していきましょう!