日本がAIビジネスの有望国に?

1年前は多くの人が知らない存在だった・・・

今週初めにビッグニュースがありましたね。
今をときめくというか時代の寵児というか、見聞きしない日は無いというChatGPTを開発したOpen AI社のサム・アルトマンCEOが緊急来日し、4月10日に首相官邸で岸田総理と面会。
続いて自民党の「AIの進化と実装に関するプロジェクトチーム」にも参加し、AIに関する様々な提案や日本に事務所・研究開発の拠点を設立する意向を示したという。
停滞する日本経済に大きな刺激となることは間違いなさそうですね。

何で世界の最先端を行くようなテクノロジー会社が日本を訪れたのか?
しかもOpen AI社・CEOがChatGPTを発表してから海外を訪問して要人に会うのは初めてなのだと。
お世辞にもテクノロジーが進んでいるとは思えない弱った経済国を真っ先に訪問したというのは驚きでしかないですよね。

もはや生活の一部になろうとしている普及度は反発も生む

その背景には様々な憶測が乱れ飛んでいる。
その1つが日本がAI展開を進める上で他国に比べてやりやすそうだということ。
あまりに急速なAIの進化で人工知能の反乱みたいな恐怖感が特に欧米諸国で根強いみたいですね。
欧州では規制運動も起きており、開発側としてはマーケットの大きさは魅力的だがなかなか展開が進まないだろうし今あえて刺激するのは得策ではないと考えたか。

そこに比べると日本は割とAIに肯定的というか、古くは鉄腕アトム、今はドラえもんに代表されるようなロボットや未来のテクノロジーに子供の頃から触れており、「便利」というイメージを持つ国民性がAI開発側からすれば有望国と見ているのかもしれません。
また、AIが学習のために著作物を使用するにあたっての許容度が他国よりハードルが低いという見方もある。

もう一つの憶測が、日本を単に様々な実験の場として考えているのではないか?というネガティブ的意見。
そこそこに経済は発展しているし知的文化もある。国民は真面目で学ぶ姿勢・教育的土壌はまあ問題なさそう。
現にChatGPTはアッという間に老若男女に広がり、子供や専業主婦も喜んで使っている。
我々を喜んで受け入れてくれるだろうという下心があるのでは?

専業主務も夢中にさせるAIの魅力を世界に正しく認識させたい!

日本でも多少の危機感を持つ者も当然いるが、概ね便利さを受け入れている。
後はモラルや法整備という環境を整えるには国家レベルの協力は必須で、そこで岸田総理と会ったり自民党のAI関連のプロジェクト会合に参加したりして積極的・前向きな提案を餌に存在アピールをしたというのは十分頷ける。

もう一つ加えるなら、今回5月に開催されるG7サミット(主要7カ国首脳会議)の議長国が日本であり、先だって4月末に開催されるG7デジタル・技術相会合でも日本がリーダーシップを取ってAIの普及促進を各国へ提案することを期待していると思われる。
日本を優先的に支援することで日本のAI熱を高め、各国への橋渡し的な役割を望んでいるのだろうか。

世界的なAI普及と疑念払拭の役割を日本に期待するには手ぶらで来日するわけにはいかない。
バーター的取引の手土産として、Open AI社は目を疑うような好条件を提示してきました。
経済弱者への道を歩み始めている日本にとって、世界的テクノロジートップ企業の思わぬ提案はまさに渡りに船か。

主に次の図のような7つの提案が示されました。

この内容って普通なら日本側がお願いする立場でしょ?

  • 日本関連の学習データのウエート引き上げ
    AIが学習するデータの日本関連の比重を引き上げる = 日本人及び日本語での検索がより使いやすくなる?
  • 政府の公開データなどの分析提供等
    日本政府の持つ公開データを第三者目線での分析を加え、精度と公平性を強化する。
  • LLMを用いた学習方法や留意点についてのノウハウ提供
    LLMとはChatGPTのような大規模言語モデルのこと。開発者のノウハウ提供は心強い。
  • GPT-4の画像解析などの先行機能の提供
    他国に先行して機能が提供されるなんて夢のような提案。ビジネスでも優位に立てるはず。
  • 機微データの国内保全のための仕組みの検討
    プライバシーや国家機密等の慎重に扱われるべきデータの流失を防ぐのは最重要課題でもある。
  • 日本におけるOpen AI社のプレゼンス(存在感・影響力)強化
    Open AI社の日本オフィスや研究拠点を設立するなど、WIN-WINな関係を構築する。
  • 日本の若い研究者や学生などへの研修・教育提供
    世界から遅れ気味の日本のテクノロジー分野を刺激し、若い人材の発掘・育成に協力する。

こんなテクノロジーを先行して機能提供してもらえるって・・・

突然の来日でそこまで提案してもらって、本当にいいの? 見返りは求めないの?

という恐縮する内容。
見返りというよりAIの発展・理解の普及を進めることが結果的にOpen AI社の利益になるということでしょう。
そのために日本はビジネスパートナーとして関係を築きやすいと判断されたのだと。

Open AI社は本社はアメリカのシリコンバレーにあるが、まだ海外のオフィスは無いのだそうだ。
それが海外オフィス・研究開発拠点の第一号として日本を指定したことの意義は大きい。

聞くところによるとサム・アルトマンCEOは大の日本好きということらしい。
Open AI社の社員にも日本贔屓の者が何人もいると。有難いことです。

日本は刺々しく他国に突っかかることもしない。
世界的なスポーツ大会でも選手はおろか応援団の振る舞いもすこぶる好印象。
普段からの何気ない所作が、思わぬところで還元される。
これは人としてビジネスとして肝に銘じておきたい部分ですな。

教育の在り方を見直し、教師の負担軽減と役割を考える。

これだけの提案を世界の最先端企業から持ちかけられて、もはや後には引けないでしょう。
これを機にテクノロジーや経済が回りださなければ、それこそ日本は世界からバカにされ見放される。
財務省にいいように牛耳られ国民生活がズタボロにされても涼しい顔をしてきた政治家たちも、この千載一遇とも言えるチャンスには積極的に動いてもらわないと。

いや、もう官民足並み揃えてアイデアを出していかないと。
生産性の低い国・国民というレッテルを貼られて我慢しているだけではいかんのですよ。

とにかく世界水準でのスピード感が欠如しているんだよなぁ。
それはいつも引き合いに出す運送業界の2024年問題も同じ。
5年の猶予があったのに1年前になってもグダグダしているっていったい何なのだ?
まるで夏休みの宿題を8月最後の週に慌ててやりだしたようなもの。
これだったら猶予なんて2年ぐらいでよかったのに。

なんでオイラはAIを味方にしようと努力しなかったんだろう?

AIの進化はもう止められない。シンギュラリティの流れに入っている。
必ずしも良いことばかりではないかもしれないけれど、どうせなら振り回される側になるよりもコントロールする側になっておきたい。
それは国も個人も同じ。

もしOpen AI社とタッグを組んでChatGPTを始めとしたAIテクノロジー分野で世界の第一線に立つことが出来たなら、30年以上もパッとしない日本経済や日本人の心にも光明が見えてくる。
失った光、将来に期待が持てる暮らしを取り戻すのが日本再生への道筋。

AIをいかに国策の一つに定着させるのか?
AIをいかに自分の武器の一部にできるか?

個人レベルで使いこなすことが可能な時代なわけですから、使える人・使えない人の格差はいろいろなところで出てくるでしょう。
しかし使えないことを誰かのせいにはできません。
使おうとしない・使えないは危機感の欠如、努力怠慢の結果とみなされても仕方がない。

便利だが厳しい時代はこれから本番を迎えるのです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です