オリンピックの広告費用対効果について

回を追うごとに問題提議されることが増えてきたようなオリンピック。
冬季北京ではついに選手の立場からも不満が噴出していた。
ルール、採点、運営、人権、予算・・・
純粋に競技を楽しむ以前に、何か裏で蠢く利権・政治的なしがらみが表面化してきた感があって興醒めしている自分がいる。

 

軽貨物で独立してから15年近くテレビを見なくなったということもオリンピックに興味が無くなった理由の一つか。
広告代理店時代の自分からはテレビが無いなんて想像も出来なかった生活です。
当時は仕事柄、やたらザッピングしてCMをメインに見まくっていましたから。

今は情報はネット上から得られるし、スポーツなどはすぐにダイジェスト等で動画配信されてくるので、テレビの前で時間を奪われることが無くなったことは私の進歩(笑)
もちろんリアルタイムで臨場感を味わうことが嫌いなわけではありません。
競技場やパブリックビューイング等で皆と盛り上がることも好きです。

ちなみに個人的な北京大会MVPは女子ビッグエアの岩淵麗楽さん。
メダルには惜しくも届きませんでしたが、メダルより大事なものがあると思い知らされましたね。
予選で手の甲を骨折してしまったにもかかわらず、誰もやったことがない大技に最後に果敢に挑戦するスピリットにはオジサンはちと涙しました。

くたびれた中高年や転職すらビビッて人生を棒に振ろうとしている方々には、このような刺激は大事なんです。
失敗しないことより挑戦することが評価される社会であって欲しいですね。

そういえば元広告マンとして感じたのは、今回の冬季オリンピックって広告が少なくなかったですか?

テレビを見ていないので競技中・前後のCMとかどんな感じだったのかわからないのですが、動画配信で見ている限りは会場や競技場、インタビュー場所において企業広告の印象が全く残っておりません。
いつもこんな感じでしたっけ?それとも動画配信の映像レイアウトの問題?

昨年のTOKYOの時は開催までのゴタゴタで、協賛するスポンサー商品の不買運動に発展しかかってましたので、広告が逆効果になると企業がビビったのかもしれませんでしたが。
まあ無人観客・人数制限とかで会場・競技場に広告を出す効果が薄れたということもあったのでしょうけれど、今回の北京の場合も映像を見る限りでは企業広告が目立っていない。

開催国の事情なのか?それとも映像上の規制があったのか?
いずれにせよ高額な協賛費を出しているスポンサーとしては、コロナ禍の中のオリンピックは費用対効果は薄いと言わざるを得ませんね。
いや、もうオリンピックに協賛する価値は金額に見合っていないのかも・・・

一応協賛にもランク分けがあって、出来る活動と協賛費が違ってきます。
このブログでも過去にオリンピックのオフィシャル契約について解説していますので、ご興味があればご参照ください。

流石にオリンピックに協賛を続ける常連は各業界のトップ企業であり、先進的技術にも相当なものがある。
大きなイベントに協賛する意味はその業界での絶対的な地位と製品やサービスのアピールを狙うわけで、いくつかある広告チャネルの中でも広告効果は大きいとされます。
だから大金を注ぎ込むわけですが。

単純に協賛額だけ見ると巨額過ぎて小市民は呆れてしまうばかりですが、コロナの前までは協賛することのステータスを誇示する意味合いもあって協賛希望が多かった。
ただコロナにより企業の経営状態・見通しにも大きな変化が出てきたため、今後の大会協賛については不透明な要素も出てきた。

過去の好意的だったオリンピックイメージも最近は問題が噴出してきており、協賛することが企業にとってどれぐらいのメリットがあるのか。
強気だった協賛費設定や協賛ルールもハードルを下げざるを得なくなるのではないだろうか。
世界的な協賛企業が撤退したら、オリンピックという絶対無二な大会も存続が危うくなるかもしれません。

 

最近のオリンピックではメダル争いよりも、ヒューマンドラマ的なものにスポットが当たるようになってきたのは良い傾向。
運営や採点の醜聞を誤魔化すためと言っては言い過ぎですが、先に述べた女子ビッグエアの岩淵麗楽さんの時しかり、特にスノボ系競技において多く見られていました。

選手はメダル以上にパフォーマンスの完成度を求めているかのよう。
スノーボードハーフパイプの平野歩夢選手は、淡々と自分の最高を求め続けたことで疑惑の採点に動揺することもなく結果として金メダルだったという感じがしました。

自分のやるべきことをやったという達成感をクールに語る。金メダルはそのオマケみたいな感じ。若い伝道師のようでカッコいいですな。
私ならはしゃぎ回って放送事故を起こしていたかもしれません。

これまでのオリンピックとは明らかに風向きが変わっているように思えます。
国の威信をかけて悲壮感漂わせながら少々汚いことをしてまでもメダルに固執するような大会に、協賛する価値はあるのだろうか?
皆様が企業の経営者であれば、今のオリンピックに協賛したいと思いますか?

企業という規模ではなく、例えば個人事業主として何に先行投資すれば自分の未来に繋がるか?と例えた方がわかりやすいか。

身近にちょっとした費用をかけてでもやりたい事ってありますか?
いくらまで拠出できますか?短期で効果・結果が得られなくても出資できますか?
未来を信じて託せる何かがありますか?

軽貨物始めたいから車を買うというのも先行投資の一つですね。
資格を取りたいから専門の学校に通うなんていうのもそうでしょう。
身銭を切ってでもやりたいことがあるというのは幸せなこと。

逆に結果を恐れれば先行投資すらしようとしなくなる。
転職できないというのは自分の未来に何も託すことができないということ?

ちょっとオリンピックの協賛の話から離れかけてしまいましたが、要は自分の未来を託すために「何に」「どんな価値」を見い出すか。
そしてただお金を出せば良いというものではなく、値付けが価値に見合っているかどうかを自分の目で確かめることが重要です。

今までが○○だったから、これからも○○で!
というのがオリンピックの協賛。基本は大会ごとの契約だが10年契約なんていうのもある。
未来永劫オリンピックの価値が変わらないならまだしも、ここ最近の危なっかしい内容ではいつまでも契約内容が変わらないことの方がおかしい。

私達の周りにもそんな契約、いっぱいありますよね?
仕事量が増えても時給や給料が変わらないとか、企業は儲かっているのに安くならない携帯料金とか(最近はちょっと変わってきましたけどまだまだ高い!)。

私達がお金を払う一つ一つを契約だと思えば良い。
自分がお金を払う価値があると思えば払えば良いし、これはアカン!と思えば払わない・利用しないという選択肢があるのです。
でも自分が納得していないものにお金を払う、契約してしまうというケースは驚くほど多いのですよ。NHK受信料なんてその最たるものでは?

既に決まっている値段に何も考えずに従ってしまうことを改めましょう。
自分の価値基準を精査していけば、搾取されずにもう少し豊かに暮らせるはずなのです。
企業も一方的なオリンピックの価値で協賛するという姿勢を改めて行けば、強欲なIOC会長の私腹の肥やしにならずに済むのですけどね・・・

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