生活水準を下げるのは難しい?
日本人にもFIREというワードが一般的に使われるようになりました。
FIREとは「経済的自立」と「早期リタイア」を意味する「Financial Independence Retire Early」の頭文字を取った言葉なのですが、早くも令和の時代を象徴する社会現象の一つとなった感があります。
よく勘違いされる方がいらっしゃるようですが、昔よく使われていた「大金持ち」とか「億万長者」とは似て非なるものなんですね。
まあ確かに経済的自立・リタイヤできる人のイメージって「裕福」という言葉が当てはまりますもんね。
もちろん「裕福」な状態にあるほどFIREを実現できる可能性は高いのでしょうけれど、それが絶対条件であったとしたらここまでFIREというワードは浸透しなかったでしょう。
実はFIREは高所得でなくても実現は可能というところが多くの人々に気付きをもたらせた。
誰にでも可能性があるからこそ注目を浴びたと言えましょう。
日本では定年まで働き続けることが当たり前という風潮が未だに根強いですよね。
しかしここ数年の社会情勢では定年という概念が薄まりつつあり、定年とセットのように考えられていた年金制度も早期受給するほど支給額が低くなるなど、労働引退の目安=ゴールが見えなくなってきています。
いつまで働き続けなければいけないのか見通しが立たない不安と老後資金不足という現実にようやく気付いた日本人にとって、「経済的自立」と「早期リタイヤ」というワードが心に響かないわけがない。
ただ引退しようにも貯金も資産もない・・・
安月給に拘束されているため永遠に働き続けなければならない・・・
そんな絶望的な人生に一筋の光明をもたらしたのがFIRE。
これまで「経済的自立」という意味を履き違えていたことに気付かされたんです。
金持ちだけが経済的自立を可能にするのではないということを。
要は収入より支出が低ければ経済的自立の状態は作れるのだと。
例えば月収が20万円の人だって支出が12万円に収まっていれば毎月8万円の貯金もできるし、20年で老後資金の最低目安と言われている2,000万円の貯えが見えてくる。
収入が増えなければ暮らしは豊かになれないという勘違いが心のどこかにある間は、社畜で諦めた一生を終えることになる。
収入の多さを切望するのではなく、 収入>支出 の意味を理解することが大事。
FIREのもう一つのポイントである「早期リタイヤ」を実現させるにはどうするのか?
収入を労働に頼っている状況を解消しなければリタイヤはできませんね。
しかし現実的には働くことをやめるわけにはいかない。
そこで自分以外にお金に働いてもらおうと投資ブームが盛り上がっているのです。
ご存知のように銀行にお金を預けていても資産は増えません。むしろ銀行のためだけに存在している遊休資産となっている。
であればコツコツと積み立てるように投資を続けることでリスクを回避し、あのアインシュタイン博士に「人類最大の発明」と言わしめた複利の力を利用して資産構築のスピードを速めることをした方が、自分の労働収入を増やすことよりよっぽど効率的!(笑)
そして複利の力が発揮しだした数年後(投資元本が大きれば大きいほど複利の力を実感できる)、資産は成長し老後資金に希望が見えてきているかもしれません。
自分の労働収入だけでは考えられなかった状態を可能にするのが投資であり、それまで貯金が絶対と信じお金を遊ばせていた多くの人々が投資に目覚めたのは、必然の流れとも言えましょう。
ただ、ブームに乗っかれば上手くいくと安易に考える人は大やけどする。
投資銘柄、タイミング、投資金額などを誤れば危険です。それなりの準備や勉強は必要だし継続する根気と目標設定は大事です。
投資だけが早期リタイヤを可能にする手段ではありません。
労働収入だって昇給や賞与が好調であれば乗っかっていけばいいし、副業を取り入れることで収入を増やすことも考えるべきです。
稼げる時に稼ぎ、タネ銭をどう生かすか?
それもFIREという明確な目標があってこそ運用を考えることができるのです。
別にFIREできる状態になったって働きたければ働き続ければ良い。
金持ちとか裕福とかいうより、働こうが何しようが生活に困らない状態がFIRE。
いつリストラされても困らなければ卑屈に働かなくても良くなる。
気を付けたいのが「一時的に裕福になったのでリタイヤしてみたら、やっぱり生活が不安になった」というケース。
本当にリタイヤできる状態は先に述べたような 収入>支出 の仕組みが完成した場合。
貯えがあろうがなかろうが、働かなくても 収入>支出 になるならばリタイヤは可能なんです。
収入>支出 のために働く状態から抜け出すのです。
でもどうしても 収入=働く というイメージが拭えないですよね。
投資の結果、働かなくてもインカムゲイン・キャピタルゲインができている状態は理想的。
また、自宅でできる簡単な副業やブログやYouTubeのようにストック型で収入が発生するようなものも、リタイヤを可能にする要因に挙げることができるでしょう。
年金というベーシックインカムにあとどれぐらいの不労所得・簡易副業所得があれば支出を上回ることができるか?
いや、そもそも年金を受給する時点で早期リタイヤではない。
すぐにでも 資産>生涯支出 の状態を作るにはどうするか?を考える。
支出を減らすには生活水準を下げることが有効です。例えばテレワークが可能になった現代では生活支出を下げることの選択肢は増えてきたかと。
通勤や出社の制限がなければ家賃や物価の安い場所で暮らす。
酒・たばこはもちろん、ファッション等の見栄的な要素を排除できれば、支出は大幅に減らすことが可能でしょう。
どうしても利便性や嗜好品を捨てきれないのであれば収入を増やすしかない。しかし収入を上げれば支出も増えてしまうのが人間の弱さ。
結局は早期リタイヤと利便性・嗜好品の優先性を天秤にかけた結果がFIRE実現度となる。
「生活水準を下げる」という表現が何か自分が落ちぶれていく感じがするかもしれませんが、未来のための重要な戦略なのです。
決して無理して倹約志向を目出せ!ということではありません。
働かなくても 収入>支出 が可能ならば、経済的自立と早期リタイヤが実現します。
収入が少なくても支出の少ない生活水準を理解・実行することでFIREを可能にすることができる。
本気で老後を心配するなら貯えも大事でしょうけれど、 収入>支出 という当たり前で単純な理屈をどう発展させていくかも大事ですね。