想定内の想定外

皆様は学生時代に将来自分が今現在の仕事・働き方をしていると想像できたでしょうか?

昭和の時代にサラリーマンとして活躍されていた方々であれば、平成・令和もそのまま何とか一つの会社で逃げ切れるかもしれません。
しかし平成になって社会人となった方々は、すでに何度か履歴書を書き直しているのでは?

 

昭和の時代では初めて就職する時、リストラや転職を想像した人は少ないと思われます。
それだけ日本の社会経済は成長を続けており、イケイケドンドンでした。
多少忙しかろうと収入は右肩上がりを続けているので、少々の不満を吸収してくれました。

ところがその裏では1985年の先進5か国の為替レート安定化に関する「プラザ合意」が発表。
日本では1ドル240円前後だった為替相場がわずか1年ほどの間に1ドル150円台まで急伸。
今では考えられない為替の急変動で日本では円高不況が始まっていたのです。

極端な円高により輸出産業にダメージが広がり、日本の製造業が国外へ流出し日本の産業の空洞化が始まった頃でもあります。
円高になるのは想定内でしたがここまで短期間で円高が急伸するのは想定外。

慌てた日本政府は公定歩合引き下げ等の金融緩和政策を続け、景気拡大へ舵を切ったものの株や土地への投機を許したため、バブルを発生させる要因にもなりました。

 

稼げる仕事であった運送業・トラック野郎の雲行きが怪しくなり出したのも、国内産業の空洞化と政府の緩和政策の影響が大きい。
運送業界への参入障壁を低くして運送会社が雨後のタケノコのように乱立し、運賃の値下げ合戦が繰り広げられ自分たちの首を絞めていくことになり、いつしか運送業は稼げない仕事へと変わっていった・・・

競争が生まれることは想定内だったが、業界の運賃相場を大きく崩すような不健全な競争になることは想定外だったか。
この不健全な競争はいまだ燻っており、「荷主が神様」みたいな風潮を生み出している。
そのため金にならない付帯作業や積み降ろし待ちといった無駄な時間が増え、長時間労働・低賃金の原因になっている。

運送業は高学歴が必要ではなく転職先としても比較的容易な職種であるがために、雇用の受け皿という部分では存在価値があります。
しかしいかんせん労働環境と賃金形態が悪いため若者が目指す業種には程遠く、人手不足と高齢化は一向に改善される気配がない。

求人に応募が無い、人がどんどん辞めていく・・・と嘆く経営者の悩みは尽きないでしょうが、まさかこの状況を想定外と思っていたりしないですよねぇ?
他の業界から見れば自助努力を怠ってきた運送業界の想定内の姿ではないでしょうか?

そんな厳しい運送業界もここ2~3年の間に新たな波が押し寄せています。
そう、Amazonですね。宅配市場を支配していたと思われていたヤマト運輸と佐川急便を上から目線で牛耳ろうとしている黒船の来襲。
まさに「荷主が神様」を地でいくような相関関係が出来上がろうとしている。
しかも荷主が自分で配送システムを創り上げようとしているからさあ大変!

Amazonの売上げが急増すると時を同じくして軽貨物ブームも盛り上がりをみせています。
当初は大手運送会社の下に入って宅配をするのが当たり前のスタイルでしたが、Amazonの配送に特化したデリバリープロバイダーやAmazonと直接契約するAmazon Flex、更に面接無し・登録のみで好きな時に仕事ができるマッチングアプリ・ギグワークという、これまでの運送の仕事の悪い面を排除するような働き方に皆が飛びついてきた。

泥沼のような残業地獄とは無縁、それでいて自分の頑張りが収入に反映するという公平感。
これは軽貨物だけでなく、ウーバーイーツ等のフード系配送仕事にも共通する。

要は何するにも面接という面倒が無く時給1,000円前後の拘束労働に嫌気が刺していたフリーターを中心に、拘束感なくいつでも好きなだけ働けて、しかも時給換算で2,000円以上も可能な仕事というのは新鮮に映るでしょう。

 

これが一時の流行として軽貨物が人気商売(笑)になるという珍現象が昨年はありました。
しかしこれらのドライバーはフリーの個人事業主がほとんど。
労働人口調査において雇用形態でカウントされにくいため、軽ドライバーは激増しているがドライバー人口の正しい調査数字にはほぼ反映されていない。
運送会社にとっても委託・請負の関係では真の戦力という信用はしていないでしょう。

まあ好きな時だけ働いている者をどう労働人口にカウントするの? ですよね。
しかもAmazon Flexとウーバーを兼業する者も多いため、今は運送業の労働人口というのは非常に把握し辛くなっている。

軽ドライバーが急増するのはこれまでの運送業のイメージから言えば想定外かな。
ただにわかドライバーが増えることにより配送やマナーの質が落ちるのは想定内でしょう。
ウーバーイーツの配送員による事故が多発し、マナーの悪い者が目立ちだしているのもウーバーの先行きが怪しい感じがする。

評判が悪ければ利用する人も減る。同業他社のライバルも増え、配送員が増えることによる競争で稼ぎ辛くなっていくのも想定内。
コロナ禍のテレワークや外出自粛という追い風はいつまでも続くわけではない。

自分の目の前の事象の何が想定内で何が想定外になりうるのか?

ここを上手く見極めながら進んでいかないと厄介なことになる。
地震が起きるというのは日本人の想定内ですが、今日大地震が起きるというのは想定外に暮らしていませんか?
転職するのは想定内でも転職先がブラックだったとか収入が激減したなんていう想定外にならないように!

リスクは常に想定内として織り込むべし!
想定外はあくまでも良い方に転んだ時に使いたいものですね。

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