転職とプロスペクト理論

リスクと損失を合理的に判断して未来を手に入れよう!
今週後半は関東平野部でも雪予報が出ていて、物流や建築関連の屋外系の仕事に影響が出るかもしれません。
横浜でも2月は雪が降る年が多いイメージがありますが、さてさて今回はどうなることでしょう?
寒暖の差を繰り返しながら春が訪れることがわかっているから皆は我慢し頑張れるのであって、これがどこかの国のようないつ終わるかわからない戦時中のような状況下で一般市民が頑張り抜けるか?というと相当に厳しいことは想像に難くない。
「春」を待ち望むのは「冬」の厳しさを知っているから。
四季のある日本だからわかりやすいが、季節の移り変わりのない国なら「春」の有難さを知る由もない。
いつまでも厳しい状況下でいることを望む人なんて、よほどのストイックなアスリートぐらいでは?
いや、ストイックなアスリートだって「理想の結果」 = 「春」を目指せるから厳しいトレーニングや節制を頑張っているのであって、絶対に「春」が来ないとわかっていたらモチベーションは続かないでしょう。
「冬」だから売上げが立つ商売をされている方も同様で、売上が立たないとわかればわざわざ「冬」に商売をする気概は失せてしまうのではなかろうか?
「春」は気候だけでなく多くの生物に息吹をもたらします。
植物は芽を出し冬眠していた動物たちは活動を始めます。
日本では3月4月で年度が替わるという特殊事情がある。(年末と年度末については過去の記事「ドライバーの再現性」で触れています)
学生は進級・卒業・就職と次のステップへと移り、社会人も人事異動や出向等で環境が変わることも多い。
引っ越しシーズンでもありライフステージの変化が起きやすいのも「春」の特徴か。
そして変化と言えば「転職」も決して他人ごとではない身近な話。
そこで表題にもある「プロスペクト理論」が絡んでくる。

ここなら楽勝で受かるから!余裕、余裕だしぃ!
「プロスペクト理論」とはなんぞや?
あまり聞き馴染みのない難しそうなワード。
理論アレルギーのある方はもうここでブログを読むのを止めてしまうかもしれませんが、もう少しお付き合いくださいね。
プロスペクトというのは「予想、見通し、見込み、期待」という意味があり、(そう遠くない)将来に具体的に起きる事象についてどちらかと言えば自分に都合の良い方向に考えること。
昔は「努力すれば報われる だから頑張る」みたいな行動の先に結果があるという風潮が当たり前でしたが、複雑な現代社会においては結果を先に考えてそこから行動が発生するのではないか?と。
「合理的な行動を取る」のが人間の常と通説とされてきた経済学において、真逆の「合理的な行動を取らない」ということを前提に考えることが現代社会においてマッチするとして注目されてきました。
つまり現代社会のような正解のない不確実な状況において、人間はどのように意思決定して行動するのか?を突き詰めたのが「プロスペクト理論」。
う~ん、人に説明するのは難しいなぁ(-_-;)

確率1/2の勝負をすることの合理性は?
ざっくり言うなら、「人はどちらの可能性に賭けるか」を心理学的に説明するのが「プロスペクト理論」。
A「必ず10万円貰える」
B「サイコロを振って偶数がでたら30万円貰えるが奇数なら何も貰えない」
この場合、皆様ならどちらを選択しますか?
このケースでは多くの人がAを選択するとされている。
ただBは偶数が出る確率は1/2の確率であり貰える期待値は15万円となるため、Aよりは5万円多い利益を得る期待値があることをどう考えるか?
しかもこのケースではどちらを選択しても自分が損をすることはない。
このような何も貰えないということをリスクと考え回避するためにAを選択するような心理が一つあります。

選ばせてあげるわよぅ!
次の例えは恐い人に因縁つけられて選択を迫られたとしましょう。
A「10万円払えば無事に解放される」
B「サイコロを振って偶数が出たら30万円を払う。奇数なら支払いなく解放してもらえる」
さあ、皆様ならどっち? 警察の介入とか期待できない状況ですよ!
このケースではBを選択する人が多いのだとか。
今度は貰えるのではなく損失の期待値ということになりますが、先のケースと同様にBの偶数が出る確率は1/2であり損失の期待値も15万まで下がるとはいえAよりは5万円高い。
それでも今度は「上手くいけば損失0で切り抜けられる」という心理が働き10万円の損失が確定することを避けようとするのだと。
要約すれば、「貰えないことを回避する」「損失を極力回避する」ということに心理が動く。
つまり人間は「貰えるのに貰えなかったり損をすること」は嫌なんですね。
でもギャンブルが好きな人が数多くいるということの説明に結びつかないのも面白いですけどね。

稼ぎたいんじゃない!馬を応援したいだけ!
例えば競馬の場合。
賭け方のタイプとしては「本命派」と「穴馬派」に大別されますよね。
「本命派」はリターンが少なくても当たる確率の高い方に賭ける。
「穴馬派」は当たる確率は低いが一攫千金のロマンを追う賭け方。
どちらも確実に勝てはしないしリスク回避も損失回避も出来てはいない。
結局最後は損失挽回とばかりに更に金額を増やして自分に都合の良い結果を求めてプロスペクトしていく。
ギャンブルは「勝つ」という結果を前提にやる人がほとんどですから、まさに「プロスペクト理論」を学び客観的に自分の心理行動を分析できれば被害も最小限に抑えられそう。
投資もギャンブル的な要素はありますけど、「利確」「損切」と戦略的な対処の仕方で「貰えるのに貰えなかったり損をすること」をコントロールすることはできる。
投資で稼いでいる人は「プロスペクト理論」をよく理解していると感じます。

トータルで勝てばいいんでしょ?あと1レースだけ待って!
もう一つ「プロスペクト理論」が当てはまりそうなのが「受験」「就職」「転職」ではないか?
なぜこの学校を受けるのか?なぜこの会社を受けるのか?なぜ転職を躊躇うのか?
皆様は過去を振り返って、どのような理由があって受験や就活を行っていたか思い出せますか?
落ちるのが嫌で確実さを優先に学校や会社を選んでいた?
可能性が低い方に賭けてチャレンジしてみることはしなかった?
受かることを前提に回避行動した結果が今の姿ですよね?
人は知らず知らずのうちに結果が前提になってしまうのは否定できないですよねぇ。

変化するという選択肢を積極的に活用していこう!
転職に動けないのは今と将来のどちらに可能性を感じるかを真剣に考えないから?
A「転職すれば確実に収入が増えホワイトな働き方になる」
B「転職すれば収入は確実に倍になるがブラックな働き方になる確率は1/2」
C「転職すれば働き方は確実にホワイトになるが収入が減る確率は1/2」
D「今を許容できれば転職しないことで見えないリスクや損失の心配がない」
つまり B や C の 負の可能性(それが「1/2」の確立であっても)を先に「結果」として考えてしまうから、リスクや損失として回避したいがために「転職」という行動を起こせない。
そこで D という結論から抜け出せなくなる。
よく「結果は後から付いてくる」という考え方がありますが、こと転職に関して言えば「プロスペクト理論」云々より「結果は自分次第」と割り切らないと前へ進むのは難しいように思います。
結果ばかり気にしていてもねぇ・・・

神戸(肉) 焼いてどうなるのか 捨てられぬ我が身がみじめになるだけ~
スーパーの閉店間際に食べたかった「肉」が半額になっていた。
色がいつもと違うように見えたのは気のせいか?
A「火を通せば大丈夫な確率は1/2」
B「それでもお腹が痛くなる確率は1/2」
C「後ろにいる客に買われてしまう確率1/2」
さあ!肉の将来は貴方に委ねられています!
どう行動しますか?