中国社会のデジャブ=日本の近未来

今度は何しよう?フレキシブルワーカー生活も楽じゃない

今朝、ちょっと気になった記事を見つけました。
日本ではインバウンド景気を支えているイメージのある中国からの大量の来訪者による爆買い騒動。
これまでの彼らの活発な消費行動を見ていると「景気が良いのか?」と思わずにはいられなかったが、どうも実情は違うようですね。中国政府が発表する経済指標的な数字は信用し難いものがありますが、現在の中国の困窮層の増大にようやく政府も危機感を持ちいくつかの対策を打ち出したという。
まるでどこかの国にも当てはまるような展開ですな。

以下、毎日新聞による記事から抜粋したものを掲載いたします。

中国政府も24年末、低所得者の新たな認定基準を定めて全国各地の実態を把握し、生活困窮世帯への支援を強化する方針を打ち出した。  
その背景には、経済減速による若者の就職難、リストラや企業倒産の増加によって、都市部を中心に、新たな貧困層が出現することへの危機感があるとみられる。 

◇安全網なき社会の転落リスク  

政府発表の失業率は5%程度で推移するが、若年層は10%台後半で高止まりしている。
また、統計上は失業とみなされなくとも、安定した仕事に就けない働き手が相当数に上る可能性が高い。
実際、配達員やライドシェアの運転手、ネット販売員など「フレキシブルワーカー」と呼ばれる労働者が既に2億人を超え、就労人口全体の約3割を占める。今後10年あまりでその規模が倍増するとの試算がある。  

「フレキシブル(柔軟)な働き方」と言えば聞こえは良いが、その多くが非正規雇用であり、「失業者を体よく言い換えたに過ぎない」との冷ややかな声も少なくない。  
さらに、非正規雇用の若者らの間で公的な年金や医療保険の未加入が増えているとして社会問題になっている。国内のSNS(ネット交流サービス)には「1カ月1000元(約2万2000円)以上の社会保険料はとても負担できない」「年金をやめて医療保険だけ支払うことにした」などの投稿があった。目先の生活に精いっぱいで、将来に備える余裕などないのだろう。

中国の社会保障制度は、ただでさえ少子高齢化や地方財政の逼迫(ひっぱく)によって財源が悪化しており、保険料未納が広がれば、その土台が揺らぎかねない。  社会のセーフティーネットが機能不全に陥れば、失業や病気、老いを契機に一気に底辺の生活に転落するリスクが高まってしまう。

貧困ビジネスへの登竜門がフレキシブルワーカーなのか?

どうでしょう。
記事内の「中国」や「人口数」「通貨単位」を伏せて読んだら、日本の現状と思ってしまいませんか?
円安の今、日本人がわざわざ海外で大量に消費行動するという状況ではありませんが、円安でなくても海外に行く余力、大量消費行動する元気など、高齢化も手伝って失われつつあるように感じます(オイラだけか?)。

特に記事内で共感した部分は、「統計上は失業とみなされなくとも、安定した仕事に就けない働き手が相当数に上る可能性が高い」という部分。
まさにここ最近日本のメディアで見ない日は無いというぐらい、タイミーなどのギグワーク関連の報道が急増している。
働き方改革の派生的分野というか、今はまだ副業的な要素が多いので深刻化まではいっていないかもしれないが、就職難の若者だけでなく大手企業などによる大量リストラや早期退職制度で道を誤った中高年が労働市場に溢れ出てくる気配は十分に感じている人も多いでしょう。
そうなるとますます正規雇用で働ける人は絞られていき、身体は元気なのに働く意欲は失せ手っ取り早くタイミーなどにすがるようになる。
ただでさえ人口減少が顕著なのに、国の無策により働き盛りの労働力をも失う国に未来はない。

今じゃYouTubeすら見てくれない働き方に成り下がった・・・

記事内では具体的に「配達員」がフレキシブルワーカーの代表格のように紹介されていますが、日本でもフードデリバリー配達員が容易に想像できてしまいます。
たった数年で街中で見かけるようになったフーデリ配達員ですが、ハードルが低すぎるあまり安易に始める人が多すぎる問題がいろいろと出始めている。
「フレキシブルワーカーは就労人口全体の約3割を占める。今後10年あまりでその規模が倍増するとの試算がある」という報道は現在における中国での話ではあるが、数字的には日本にも十分当てはまるのではないだろうか?

国の就労統計においては「フレキシブルワーカー」という括りは、専業・副業も含めてカウントされるようなので(現実的に専業と副業に分けて正確にカウントするのは難しい)、副業が公に認められ誰もが気軽にいろいろな仕事ができる現在においては、逆に「就労人口の3割」では少ないようにも思えます。

「フレキシブル(柔軟)な働き方」と言えば聞こえは良いが、その多くが非正規雇用であり、「失業者を体よく言い換えたに過ぎない」との冷ややかな声も少なくない。
という部分はまさにその通りかもしれません。
失業者と呼ばれることには反論の声も上がるでしょうが、タイミーのような働き方しか選択肢を持とうとしないのは積極的非正規者というジャンルに属するわけですから。

60代にして早くも生活が破綻する。長生きという地獄が待つ

自分の意思で好き好んでフレキシブルな働き方を受け入れている分には問題ない。
それで誰に迷惑をかけるわけでもなく生活が出来、納税や社会保険料の納付も問題ないのであれば逆に羨ましい限りです。
しかし現実はそう甘くなく、税や社会保険料は右肩上がりだし、社会保障や年金などのリターンの部分は右肩下がりを続けて行く可能性が非常に高い。

身近なところでは物価の高騰は目に余るし、配達員に大きく関係するガソリン代の高騰高止まりはドライバー職を直撃しているし、全てのサービスにも影響を与えている。
税や保険料未納がポチポチと広がり始めれば国や地方の財政は逼迫し、先日起きて未だに終決できない埼玉の道路陥没事故などが全国で起き始めれば、国民生活は維持できるわけがない。

フレキシブルな働き方と賃金はバーターの関係で釣り合っている。
大して稼げないかわりに楽さを享受できているならまだいい。
しかし多くの仕事で賃金は現状維持どころか報酬システムはすぐに変えられ、長くは続けられなくなる。
フーデリの現状を見ればよくわかる。
それでも彼らがそこから抜け出さないのはYouTubeをやりたいから。
YouTubeと劣悪な労働環境がバーターとして釣り合って(?)しまっている。
いや、フレキシブルワーカーとしてYouTubeで収益を上げている者がどれだけいる?

大災害が起きれば正規も非正規も無い。どうやって生きる?

フレキシブルワーカーというのは当の本人は良いかもしれないが、こういう働き方が増えすぎると結局は国が衰退していく要因の一つになりそう。
楽して稼ぐことは悪いこととは思わないが、現状では国家としては所得税収は絶対的に減るだろうし社会保障的なセーフティネットの予算も組めずに機能不全に陥れば、高齢化社会存続は壊滅的になるでしょう。

生活に必要な年金を受給することが出来ない者が大多数になれば「生活保護」も受けられず、街中はホームレスだらけ?
移民も増え治安は悪化し怪しい商売が横行する・・・
そんな近未来はすぐそこまでやってきているのかもしれません。

南海トラフ大地震や富士山大噴火が引き金になるなら、一億総フレキシブルワーカーとなったりして。

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