運送業に初めて足を踏み入れた時に感じる違和感こそ大事

昨年あたりから急に注目されるようになってきた軽貨物運送業。
老若男女ができる仕事として何が変わったわけではない。

これまでの運送業にお決まりの「長時間労働」「稼げない」「キツイ」といったマイナスイメージを超えて、なぜ軽ドライバーの参入者が急増したのでしょうか?

 

何と言っても Amazon Flex や PickGo といったマッチングアプリによるギグワークの台頭が挙げられるでしょう。
これは軽貨物だからこその仕事であり、ウーバーイーツのような軽貨物の隙間時間にできる仕事を組み合わせることで収入の補填が可能になることも見逃せません。

運送業にありがちな朝から晩まで拘束されるような働き方ではなく、自分の都合の良い時間にエントリーできやりたくない時はやらなくてもよいという自由さが、社畜的な日本人の働き方に一つの突破口を開いたと言えましょう。

しかし自由な分、稼げるとは限りません。
配達仕事のセンスや段取り術、営業力が求められるし、自己管理力・忍耐力が無い人は続けることはできません。
自分を律し続けるのは意外に難しいものです。

ひと昔前の転職とは最近はだいぶ働き方自体が変わってきているので、これからするお話は軽ドライバーをギグワークで始める方にはさほど関係ないかもしれません。

独立して軽貨物を始める方の多くは異業種からの参入・転職だと思います。
私もその一人ですが、運送業に足を踏み入れた時に何かこれまでいた業界とは異なる違和感がありました。

 

他業種では感じられなかったその違和感が何なのか?
日々仕事をこなしながらその正体を探っていくと・・・思い当たりました。

ずばり、コンプライアンス の問題です。

 

運送業界の代表的なイメージである「長時間労働」「稼げない」「キツイ」。
なぜドライバーの多くがこれを感じてしまうのか?

もちろん定時などあってないような仕事ですから、拘束時間が長くなるのは日常茶飯事。
稼げないと感じるのは、拘束時間に対する実報酬の低さ。労働対価として納得できない。
キツイのを承知でやっているわけですが、キツさと収入が見合わない。

定時に皆が一斉に業務終了できる仕事ではなく残業の概念が希薄であるため、労働超過に対する残業未払いや休日・有給未消化等の不満の温床となっている。
もちろんこれらは労働法違反であるがこの業界では多くの会社で黙認され、驚いたことに従業員が法に疎く勉強もしていないような状況で、会社側にやりたい放題働かせ放題されていることが不思議で仕方なかった。

 

ぶっちゃけ高収入が得られるなら「長時間労働」も「キツイ」のも納得できる。
昔は実際稼げたし労働法の問題もうるさくなかった。学歴関係なく腕一本で活躍できる花形商売でした。
その良い時代に活躍していた方々が、50代60代となった今でも走ってくださっているおかげで何とか日本の物流は機能している。

 

元々この業界にいる方々にとっては、稼げなくなってきている事実は昨日今日突然起きた事象ではなく、日々の小さな変化の連続の結果が今に至っているということで、危機感を感じにくい部分はあるのでしょう。

しかしこの状態はまさに「ゆでガエル」

転職や独立で他業種を経験してきた者が運送業の世界に飛び込んできてもすぐに辞め去っていくのは、すでにお湯が煮立っている中に足を踏み入れた瞬間に作動する危険察知本能?

 

確かに運送業は美味しいところだけを切り取ってみれば、荷物を指定の場所に運ぶだけ。出発すれば車内はうるさい上司もいない一人だけの世界。
特別難しい仕事ではなく、特に前職でノルマや人間関係に疲れていた人にとっては興味を惹くでしょう。
「稼げます!」「月収50万以上も可能!」という求人コピーに背中を押されるかもしれません。

しかし他業種における慣例やコンプライアンスが身に染み付いている者にとっては、運送業は少々独特な世界。
応募して来る者の足元を見透かし、無理難題が平気で飛び交っている。

稼ぎたければたくさん運べ! ⇒ 過積載・労働時間超過
稼ぎたければ速く運べ! ⇒ 速度超過・定時前出勤
稼ぎたければ休まず運べ! ⇒ 休憩・休日の搾取・労働法違反

 

 

法律より会社・上司命令が優先されるような業界。
その根底にあるのは法を犯さないと会社として回せないようなビジネスモデルで成り立っているから。

しかしそれは決して運送会社だけに問題があるのではなく、無理な運賃・無理な運航予定を強いてくる荷主の責任も大きい。
そして規制緩和で無駄に運送会社を増やしてしまい過当競争・価格競争を引き起こした国の問題も忘れてはならない。

 

運送業界の外の世界を知らないとこういう問題には鈍感になるのかもしれません。
しかし外から運送業界に来た者には、こうしたコンプライアンスの部分がすぐに目につきます。

その問題は労働対価の部分に如実に表れる。
拘束時間が長く収入は少ない。運送業界では当たり前のようなことは他の業種では通用しない。

そこに気付かず社畜の延長のように軽貨物を始めてしまう者は泥沼にのめり込んでいく。
自由も得られず収入も増やせない。独立した満足度は一向に高まらない。

ギグワークで運送業を始める人間にはまずこうした最初の壁を感じることはない。
働く時間と収入は自己責任と割り切れるから。逆に時間の使い方が上手くなるメリットがある。

会社員のような働き方、仕事と収入を期待する者が、どうしてもギグワークではない軽運送業を始めるのであれば、最低限の労働法の知識を得て、コンプライアンスに迎合することは避けましょう。

運送業で肌で感じた違和感を分析し、悪いと感じた部分・嫌だと思ったことは我慢すべきではない。
逆にそこを理解・改善できないなら、この先軽運送業で苦労することになります。

 

収入・労働時間・仕事内容 のバランスをいかに上手く取るか。

軽貨物だけで無理に収入を作らなくても、やり方はいくらでもあることを忘れないでください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です