なぜ運送系の仕事は労使トラブルが多いのか?

社員や退職者からの告発に、また引越し事業者に労使間のトラブル発生です。
(ヤフーニュースより)
引越し業は運送業の中の一つの業種でもあります。
なぜ運送業界にはこうもトラブルが絶えないのでしょうか?

この業界に足を踏み入れてから何度も報告して参りましたが、騙し体質の経営側と情弱な労働者のミスマッチは昔も今もさほど変わっていない?

 

昨日は本業と複業の配送仕事に加えワクチン接種(2回目)もあり、台風の影響次第ではかなりシビアなスケジュールとなりそうでした。
しかし想像していたほど風雨は強くなく、仕事上にはほとんど影響は出ず幸いでございました。

ただちょっと腹が立ったのは、予め10月1日は台風が接近するのがわかっているのに1日の配達指定してくるお客さん。
こういうお客さんに限って「配達が遅い」とか「荷物が濡れた」とかのクレームをしてきたりする。
まあ今回は月またぎで決済・棚卸の都合があったのかもしれませんが。

それでも昨日は1日配達指定の荷物のうち不在で連絡もつかない法人が1件、休業中の店舗が1件。しかもその2件の荷物が昨日の荷物サイズの№1と№2。
更にこの持ち戻りの荷物を積んだまま複業の配送に向かうという展開。
通常は違う請負の荷物を混載することはしないのですが、悪天候でもあり効率重視です。
幸い(稼ぎ的には幸いではない)複業の荷物はさほど多くなく、何とか1回戦で全て終了することができました。

個人で複数の請負を同時進行するような場合はこの程度のアクシデントは想定・処理しなければなりません。
軽貨物に限らずフリーランス全般に言えることですが、複数の仕事・案件をいかに効率よく進めることが出来るかで収入に影響してきます。
安い賃金で荷物を大量に運ばされる単なる「労働力」扱いされがちな運送の世界。
フリーな立場を上手く利用すれば個人の裁量で収入も働き方もコントロールできる。

これが雇われの状態だと仕事の進行も収入も全てが他人の支配下に置かれてしまう。
どんな悪天候でも体調不良でも身の危険を感じていても、「やれ!」と言われれば従わざるを得ない。もしくは辞めるか。

世の中にはこういう労働環境下では足元を見られて不利な条件で働かされているケースが往々にしてありますよね。
そして何故かそこから脱出できない。運送系の仕事もその一つ。

 

単純労働は老若男女に門戸が開かれ、敷居が低い分、他に行きどころが無い人々が集まってくる。
産業構造的にも弱者のセーフティとしても非常に重要な役割なのですが、低賃金なのでどうしても長時間労働しないと収入に繋がらない。
それでも年齢やスキルの足元を見られ悪条件で働かされ、やがてはトラブルへと発展していく。
そのケースが単純労働に多いのです。

労働契約する上で注意すべき点とは?

注意したいのは基本給が低く、手当・歩合・インセンティブの比率が高いという働き方。
これが運送業界や不動産・保険営業に多く見られます。
ただし全てが悪いとは限らない。運送業は歩合で稼ぐのは難しいですが、不動産や保険の営業はバリバリ契約取れる人は逆に歩合制を好みます。
私の生涯最高月収182万円は完全歩合制の不動産営業やっていた時ですが、月収0円の時もありました。
普通に働いていたらちょっと無理な世界です。

基本給が低いということは当然ボーナスにも影響するし、将来の退職金・年金にも影響してきます。
例えばドライバーの求人で「月収30万、賞与年2回、前年は各1.5ヶ月分の実績」などと謳われていると、フラフラっと魅力を感じたりします。

しかし月収を鵜呑みにしてはいけない。
30万円の中身が「基本給12万、家族手当・乗務手当・無遅刻皆勤手当・荷量インセンティブやその他もろもろ合わせて30万円」なんて契約は運送業にはザラにある。
「毎月30万とボーナス2回あるなら御の字」とか、面接時に詳細を詰めずに焦って契約してしまうドライバーは結構多い。

月収30万、ボーナス2回で各45万なんてイメージしてると痛い目に遭う。
労働時間は長いのに残業はみなしで固定の残業手当に含まれてるとか、働き出してしまったら後の祭り。

ボーナスはあくまでも前年実績で今年も同じとは限らない。しかも基本給×1.5ヶ月なら額面で18万。
これなら2~3ヶ月も副業すれば稼げる額です。こんな「ボーナス」という響きのために我慢して悪待遇から抜け出せないなんて・・・
もっと自分の働き方・待遇を俯瞰して見た方が良い。

手当の割合が多い月収はマイナス評価制だからドンドン削られていくだけ。大型連休や年末年始等があると稼働日数が減るので乗務手当も当然減る。ちょっと車擦ったりしても数日間の乗務停止とかよくある話。
病気して休もうものなら皆勤手当ても付かず家族持ちなら生活は一気に苦しくなるでしょう。
加えて商品・物損等の事故を起こせばドライバー責任で弁償させられることもある。
(私は昔ワイン破損して7,000円ほど弁償させられました)

もし退職金があったとしても基本給ベースでの算出であり、年金も同じく一般的な会社員より低くなる。
まあ退職金貰えるまで残るドライバーも少ないから、全ては経営側の人件費を抑える戦術にハマっているということ。
中には社会保険すら完備してない会社もあるし、「手取りが増えるなら社会保険いらねぇ」と承知で働くドライバーもいるような世界。
収入増やしたいからって邪道しかないのはちょっとねぇ・・・

これじゃあ後々トラブルが起きるのも当たり前か。
こんな内容で働かせる方も働かせる方だが、働く方も働く方です。
いつまで経ってもブラック要素は変わらない。
しかし先に述べたように単純労働の産業構造とセーフティの役割から、国も見て見ないフリをしている。

労使で互いに黙認・納得している関係であればトラブルは起こり難いのですが、どちらか一方に問題があれば一気に訴訟へと発展します。
例えば残業未払いや労働超過、他社からの引き抜き等による一方的な退職とか。

以前は労働者側が泣き寝入りしていたケースがほとんどでしたが、最近はユニオン立ち上げたり訴訟を起こせばほぼ労働者側が勝つので「士業」が旨味を感じて入れ知恵して美味しい商売としている。

 

他業界の商売ネタにもなっている運送業の労使の問題。
原因は間違いなく労働者の契約時の認識の甘さと、悪さしないと成り立たないビジネスを承知で運営する経営者。
特にドライバーには労働法に関する知識が薄い人が多いと感じます。
面談時には相手のペースに惑わされないことも大事かと。

これまでの雇われ感覚は捨て、これからは新しい時代の働き方を目指すべきです。
そうしないといつまでも経営側の食い物で終わってしまいますよ!

 

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