軽貨物運送業今昔物語

イマドキの軽貨物からすれば、十数年前はこんなのどかなイメージ?
私が個人事業主として軽貨物運送業の世界に足を踏み入れたのは、今から約18年前。
廃業してから早いもので3年目を迎えます。
18年前と今では、世の中の景色も、法の内容も、
かつて、軽貨物のハンドルを握ることは「自由への切符」でした。
ネット上の購買数は年々増加の一途。そして物量・配達量の増加にドライバーの数が追い付かなくなっています。
個人の軽貨物ドライバーが仕事を獲得するプラットホームも、大手運送会社にぶら下がっている一次受け(今でいうデリプロみたいなもの)の求人に応募する形から、スポット的なギグワークをネットで完結するようになったり、中間搾取業者を挟まずに直接Amazonのような荷主とダイレクトに契約するパターンが主流になろうとしている。
荷主と直接繋がったからと言って待遇や報酬がよくなったわけではないのがAmazon仕事の厳しいところですが・・・
今回はまだAmazonの姿がなかった15年ほど前の軽貨物運送業の世界と、イマドキの軽貨物運送業の環境の違いを改めて確認しながら、現場で長年ハンドルを握り続けてきたベテランたちの痛切な叫びと
計算機が叩き出す「絶望」と、消えた「自由」の代償
1. 「15年前」という、今はなき桃源郷

未来は希望しか見えていなかった。このイメージは危険すぎる
今から10数年前、この業界にはまだ「夢」がありました。
当時は、
自分の頭で地図を叩き込み、
だからドライバー個々のセンスや力量に差があり、稼ぎや労働時間にバラつきがありましたが頑張ればお金になることがモチベーションだったと思います。
運賃単価も今よりずっと安定していました。
消費税も低く、
道交法や労働法も良い意味でさほど厳しくなく、まだ「自由」という雰囲気が残っていた。
「個人事業主=
一生懸命に汗を流せば、
しかし、あの頃の「旨味」は、
2. 押し寄せる「コスト」という名の濁流

損切りができなければ、負債はどんどん膨らんでいく・・・
現在の状況はどうでしょうか。
中東での紛争も終わりが見えず、自腹で捻出するリッターあたり一時期は200円に迫る勢いの燃料費は、我々軽貨物ドライバーにとって「
さらに追い打ちをかけるのが、
軽貨物運送業のメリットの一つだった免税扱い(ほとんどの個人軽貨物ドライバーは年収1千万に満たないから)にメスが入りました。
免税事業者として細々と、
「昔は良かった」と嘆くベテランの言葉は、
それは、
一般的な職種と違って、「稼ぐために支出する」という身を切る働き方だからです。
3. 法改正と道交法強化が奪った「現場の余裕」

罰金で1日の稼ぎが飛ぶという働く上であり得ないリスク
「2024年問題」を経て、
安全管理の強化、長時間労働の是正。言葉は立派ですが、
真面目に仕事しているのに罰金と減点が容赦なく襲ってきます。
黒ナンバーの車両が停車しているだけで、
「自由な働き方」を求めてこの世界に入ったはずなのに、
昔のように自分で街を知りつくし、ルートを組み立てるというスキルアップの楽しみはAIに奪われ、AIの下僕としてロボットのように無感情に走り回らされるという恐怖の近未来の働き方が見えている。
そして、このような労働者は本当のロボットに代替えされるまでの繋ぎでしかない。
4. 新人たちへの警告:YouTubeの「稼げる」は本当か?

公道上で駐停車して撮影してたら警察官が寄ってくるかもよ
ここで、これから軽貨物を始めようとしている方々、
SNSやYouTubeで流れてくる「月収100万円達成!」「
それらは、
昔の軽貨物ドライバーの求人にも同様の煽りコピーが多数ありました。
当時は軽貨物を目指す者にしか刺さらなかった求人広告ですが、SNSやYouTubeなどの発信で不特定多数が目にすることによって安易に参入してくることで、ドライバーの質の低下や無用なクレームに繋がっている。
AmazonFlexが始まった頃は、「配達系ユーチューバー」として一気に軽貨物運送業を始める者が増えた時期でした。
YouTubeのネタとして軽貨物ドライバーが相性が良かったようですが、ここ1~2年ですっかり下火となり、ごーしんさん以外は多くの配達系ユーチューバーはどちらの収入も激減していなくなりましたね。
そして今はフードデリバリーユーチューバーが同じ道を辿っている。
今の軽貨物運送業は、車両代、保険代、燃料費、
ましてや前述のガソリン代高騰や物価高の影響もあって、車両の維持だけでも軽貨物という仕事の旨味を消しています。
15年前のような「
5. ベテランたちの嘆き:情熱の枯渇

「昔は良かった」というより「昔は今よりマシだった」が正解
長年この仕事を愛してきたベテランほど、
「荷物を届けて感謝される」という喜びよりも、「
かつては仲間と休憩所で缶コーヒーを飲みながら、「
しかし今は、
冷静に考えれば普通にフルタイムのバイトでも手元に残るお金は変わらない。
いや、個人事業主の国民年金と雇用労働者の厚生年金の将来的な年金額の違いを考慮したら、今手元に残るお金が変わらないならバイトに大きく軍配が上がる。
仕事の「面白さ」とは、適正な報酬と、
「これが自分がやりたかった働き方なのか?」と。
ハンドルを握る手は、まだ動く。
しかし、心の中で「いつまでこれを続けるのか?」という問いが、


