健康と年齢、そして「2024年問題」のその先

時代は次々と変わってゆく。あなたはどこかで止まってませんか?

開業時の自分と現在の自分。
明らかに違っている部分、変わってしまった部分、ありますか?

人間関係に疲れ、嫌で嫌でしかたがなかった前の職場から解放され、いくら頑張っても評価されなかった働き方からやればやっただけ稼げると意気込んでいた開業時。
不安よりも期待に満ちていたことを覚えていますか?
5年前10年前の気力・体力はまだ満ち溢れていますか?
当初のイメージ通りの働き方・稼ぎ方はできていますか?

配達系ユーチューバーの情報を信じ、会社員を辞め車両を用意し、「決められた場所に荷物を届けるだけ」で会社員より稼げると仕事を舐めていた。
確かに仕事自体は難しくない。中高年には端末の操作の方がよっぽど苦労する。
しかし現実は甘くない。体中が痛い。数をこなせない。配達時間を守れない・・・

よほどの土地勘がなければ最初は思うように配達はできない。
毎日のように発生する不在持ち戻り再配達が心を削ってゆく。
そして多くの人が見落としている支出の負担。

車がこんなに金食い虫だと、配達仕事をして初めて気が付く人も多い。
稼ぐためにお金を払うという矛盾にようやく気付く。
特に最近の世界の戦争・紛争によるガソリンの高騰や物価の高騰が、急速にやる気と自信を奪っていく。

今回は時間軸による環境の変化、心境の変化、体力・健康の変化が仕事に及ぼす影響を考えてみたいと思います。

1. 鏡の中の自分は、もう「プロ」の動きをしていない

会社員時代より老け込み方が速い。顔色も悪くなってきたなぁ

朝、洗面所の鏡を見て、自分の顔に刻まれた疲れの深さに驚くことはありませんか。
「まだやれる」「昔に比べればこれくらい」……
そんな自己暗示は、現場では通用しません。
自覚がなかろうと、私たちの身体機能は10年前とは決定的に違っています。

夜間走行で見えづらくなったセンターライン、一瞬遅れるブレーキペダルへの踏み替え、そして荷室から12キロの水のケースを持ち上げた時に走る腰の鈍い痛み。
これらは単なる「加齢」ではありません。
この過酷な業界において、それは「致命的な欠陥」と同義です。
物流の最前線は、コンマ数秒の判断ミスが他人の命を奪い、自分の人生を終わらせる戦場なのです。

「自分だけは大丈夫」という根拠のない自信が、ニュースで報じられる「高齢ドライバーによる逆走や踏み間違い」の予備軍であることを、私たちは今一度、冷徹に認識すべきです。

2. 急増する事故と、一発退場の「包囲網」

ちょっとでも接触したら仕事どころか人生が終わるリスクすらある

ここ数年、トラックや軽貨物車両など物流関係による交通事故のニュースが後を絶ちません。
参入者の増加もありますが、何より現場の「余裕のなさ」が限界を超えています。
強まる時間指定のプレッシャー、AIが弾き出す人間離れした配送ルート。
それに追いつこうと必死になる衰えた肉体。その歪みが、悲惨な事故となって表れています。

そして、今の社会は驚くほど不寛容です。
ドライブレコーダーはあなたの味方ではなく、あなたの過失を証明する「証拠品」として常に監視しています。
たった一度の重大事故、あるいは繰り返される交通違反。それであなたの事業は終わります。
いや、下手すれば人生が終わります。家族を道連れにして。
行政処分や安全管理の厳格化は、もはや「教育」の域を超え、能力の落ちた人間を「排除」するための仕組みとして機能し始めているのです。

3. 「2024年問題」がもたらした残酷な選別

穴の開いたバケツで水をくむ仕事をしているようなもの

物流の「2024年問題」が叫ばれ、運賃交渉や環境改善が期待されました。
しかし、その恩恵を預かったのは、果たして我々のような「末端の軽貨物個人事業主」だったでしょうか。

現実は逆です。
大手運送会社や荷主は、コスト増を抑えるために、さらに効率を追求しています。
「無理なら他のドライバーに回すだけ」 という冷徹な選別。
運賃の微々たる上昇など、急騰するガソリン代とインボイスによる増税分で、跡形もなく消え去りました。
私たちが直面しているのは、「働いても働いても豊かになれない」という構造的な蟻地獄です。
この業界に「長く居続けること」自体が、もはや最大のリスクになりつつあるのです。

4. 70歳の自分に、このハンドルは握れるか?

無理すれば身体を壊すが無理しないと生きていけない働き方

想像してみてください。5年後、10年後の自分を。
今よりもさらに視力は落ち、反射神経は鈍り、体力は衰えているはずです。
その時、この異常なまでに過熱した「ラストワンマイル」の現場で、あなたは今と同じように荷物を運び続けることができるでしょうか?

真冬の凍てつく早朝にハンドルを握り、真夏の酷暑の中で階段を駆け上がる。
そんな生活を60歳70歳になっても続けたいですか?
あるいは、動かなくなった体に鞭打ち、深夜のサービスエリアで孤独にハンドルに突っ伏して眠る日々が、あなたの望んだ「定年後の自由」だったのでしょうか?

この問いに「YES」と即答できないのであれば、あなたは今、猛烈なスピードで崖っぷちに向かってアクセルを踏み続けていることになります。

5. 「明るい未来」など、誰も用意してくれない

時代は次々と変わってゆく。あなたはどこかで止まってませんか?

運送業界に自動運転やドローン配送の波が押し寄せていると言われます。
しかし、それが実現した時、真っ先に不要とされるのは、コストのかかる「人間」、とりわけ効率の落ちた中高年ドライバーです。

「いつか良くなる」「国が何とかしてくれる」 そんな甘い幻想は、この現場の排気ガスと一緒に吹き飛ばしてやりましょう。
報酬は上がらず、支出は増え、体は壊れ、ルールだけが厳しくなる。
これが、2026年の今、私たちの目の前に突きつけられている現実です。


決して絶望を煽っているのではありません。
ただ、目を背けてはいけないと言っているのです。
皆様が個人事業主として軽貨物運送業を始めるキッカケにもなったYouTubeからの情報。
しかしやがて軽貨物よりフードデリバリーの方にシフトする者が増え、YouTubeの配信も軽貨物の情報がすっかり減りフードデリバリーを称賛することが増え、そして今はそのフードデリバリーさえも否定する内容が増えてきた。

時代は繰り返すではないけれど、次々とトレンドは変わってゆく。
数年前に「これ最高!」と思っていたことが、あっさり変わってしまう時代のスピード感に振り回される人々。
軽貨物もフードデリバリーも、まさにその岐路を迎えている。

そして今のYouTubeでの主役は、AIを活用した稼ぎ方にシフトしている。
いや、今こんなことを書いている時点でもう下火なのかもしれない。

配達仕事で「まだ走れる」という執着を捨てる勇気。
「これしかできない」という思い込みを破壊する覚悟。

逃げ遅れるか、ワークシフトするか。

5年後、いや、3年後・1年後を見据えて働き方を考えないと、人生に落ちこぼれるぞ?

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