軽ドライバーの考え方の変化と未来展望

今の稼ぎがこのまま続いていくと考えるのは危険だなぁ・・・
運送仕事の大繁忙期となりました。
Amazonの「ブラックフライデー」がようやく終わったと思ったら、一息つく暇もなく「ヤフービッグボーナス」「楽天スーパーセール」と大商戦が襲いかかり、更に一般的なボーナス商戦、クリスマス商戦、年末商戦へと続いていきます。
私が軽貨物運送業に参戦した15年ほど前はまだAmazonの影響はありませんでしたが、早く帰れる商業貨物便の世界でも軽ドライバーの荷物は溢れかえり、1日6回戦とか納品先の法人や工場の営業時間内に配送ができず未配でクレームが出るような有様。
当時は私もギリギリ40代。気力体力もあり運送業はこういうものだと思い込んでいたので、愚痴1つ言わずに(?)日々奮闘しておりました。
軽貨物開業当時から夜間の副業もしており、軽貨物の仕事を終えてから横浜市外まで走って深夜まで24時間スーパーの品出しをするとか、休日には前職からの繋がりで時々不動産系の副業などもやるほど元気だったのが懐かしい。
本業複業の合計で月額50万円以上の収入がありましたが、それでも生活は楽ではなかった。

副業をするメリットは金額の大小以上に働き方を充実させる
まず開業のために親類に借金して車を購入したり、開業当時はガソリン代がリッター160円超えるなど今とさほど変わらず、開業のハードルよりも個人事業主を継続していくハードルの方がよっぽど高かった。
少し生活が回るようになったのは1年ほど耐え忍んで車の借金を返済し終えてから。
幸いにもガソリン代も年々落ち着いていき、軽配送の仕事に慣れ副業の時間が確保できるようになればしめたもの。
収入が増えなくても支出が減ることの重要さを知ったのもこの頃。
まず副業として市外への通勤を辞め近隣の仕事に切り替えたことでガソリン代がずいぶん減らせた。
開業当時は夕方以降からOKというアルバイトが飲食関連以外に少なく、車通勤OKとなるとかなり絞られたためやむを得ず市外の24時間スーパーまで足を運んでいた。
軽貨物と相性の良い副業は何か?というのは別ブログでずいぶん話をしてきましたが、当時と比べると今はフーデリもあるしネット系の副業も星の数ほどあるので恵まれているのではないだろうか?

本業のみ?ダブルワーク?パラレルワーク?何でもアリ?
貴方はどのタイプ?どのステージ?
軽貨物の稼ぎ方にはいろいろあって、
- 社畜型・・・長時間労働も厭わず本業にどっぷり浸かってひたすら足し算の収入を追求する。
- 工夫型・・・効率を重視し無駄を徹底的に排除し、副業を上手く組み合わせて収入を作る。
- 逆転型・・・副業収入が軽貨物収入を上回るなど、経費が減り時間を生みだし心地よい働き方に気付く。
- 近未来型・・・軽貨物が本業という概念を捨て去り、収入・生活の柱は他職でも構わない。
軽貨物を続けて行くと多くの人が上記のような流れを経験していくのではないだろうか?
最初は当然ながら慣れていないので、労働時間が長いのに収入は期待していたほど上がらない。
体力的なキツさも相まってここで脱落する人が結構いらっしゃる。特にAmazon系は配達数とアカバンの恐怖に心が潰される。
配達し放題地獄はやりきれるなら稼げるということでもあるが、何が自分にとって大事かを考えさせられる。
仕事に慣れ、少し時間や気持ちに余裕が出てくると「副業」を組み合わせることでも収入を作れることに気付く。
単調な配達仕事に長時間拘束されるのと、配達仕事はそこそこに他の仕事を取り入れて上手く気分転換を図りながらやるのとでは大きく収入に違いは出ないし、精神的・肉体的なハードさが緩和されたりする。

隙間仕事としては面白いけど、これ1本で生きていける?
ドライバーには副業としてフードデリバリーをする人が多い。少し前はフーデリがずいぶん稼げたので、他業種からも軽貨物を飛び越してフーデリに参入してきた者がかなりいた。
軽貨物の副業としては非常に相性が良かったのですが・・・
ここで先読みもせずにフーデリ1本で食っていけると思い込み軽貨物を辞める者もいた。
まあ長時間拘束労働の軽貨物のコスパと労働時間を自分で選べるフーデリのコスパが逆転してしまえば、フーデリバブル期は「フーデリだけでよくね?」と思うのも仕方ないか。
素人配送で月収50万70万が当たり前みたいな、そのフーデリバブルコスパが未来永劫続くならね。
こうして拘束・働かされるイメージの強い軽貨物から自由に働けるフーデリへと関心が高まっていく。
しかし配達参入者が増えすぎコロナ禍も落ち着いてフーデリ需要が急激に落ち込んでくると、仕事が取れない・配達単価は下がるという悪循環に陥ってくる。
最初はフーデリという働き方に心地良さを覚え自分の将来はこれでOKと思えたのも束の間、世の中そうは甘くない。
稼げなくなるとやはり本業にするのは厳しいと気付くし、一度楽な働き方に味を占めてしまった者はそこで途方に暮れてしまう。
軽貨物から脱出しかかっていた者はまた社畜の働き方に逆戻りするしかないのか・・・?

軽貨物ってもっとシンプルで誰でも稼げたんじゃなかったか?
このままただ軽貨物ドライバーを続けて良いものか?
- 収入と労働時間のバランスに不満はあるし、ヤマトで露呈した簡単に切られる弱者の契約は何より不安だ。
- 2024年問題がクローズアップされているように、旧態依然の働き方が今後も続くことには疑問だ。
- 収入は増えず、燃料費高騰やインボイス等で支出に振り回されることが多くなってきた。
- 今は少し稼げても、国民年金・国民健康保険 VS 厚生年金・社会保険という将来の比較においてどうなの?
まだ記憶に新しいヤマトの大量解雇の問題は、改めて個人事業主という立場がいかに「弱者」であるかを再認識させましたね。
事業主とは名ばかりで結局は足元を見られて仕事を乞う不安定な働き方が軽貨物の殆どのドライバーに当てはまる。
運送業界の多層構造の末端にいる限りは、旧態依然の業界の体質に支配され続ける。
2024年問題なんて5年前に指摘されていたことが未だに何も解決されていないなんて・・・
こんな業界だから末端ドライバーはしわ寄せこそあれど賃金なんて増えるわけがない。
オマケに高止まりしている燃料費等の経費は全て自腹だし、インボイスの面倒な経理作業や更なる増税でますます労働対価・コストパフォーマンスは低下していくばかり。

社会保険か否かは保険料負担もメリットも大きく違うのだ!
そして多くのドライバーが認識不足なのが将来のベーシックインカムである年金におけるリターンの部分。
殆どの個人事業主は国民年金・国民健康保険ということになると思いますが、社会保険との違いにどれだけの差が出るかも含めて今後の働き方を考えてみるのは大事かと。
まず健康保険(社会保険)との大きな違いでいけば、保険料が折半され被扶養者の保険料納付は不要というメリットがない。特に家族がいる方には保険料だけで毎月数万円の納付負担差が出ている。
また補償の部分でも病気やケガで働けなくなったときの傷病手当金制度があるかないかの違いがある。
軽貨物ドライバーという肉体仕事でケガの確率も高いのに、国民健康保険では傷病手当金は出ない。
同じく厚生年金(社会保険)との違いでも年金保険料が事業主との折半で済むメリットがない。
大雑把に言えば国民年金が月に5万払っているなら厚生年金は月に2万5千円で済む。
そして何より年金を受給する時に恩恵の差がよくわかる。
国民年金なら月額にして6万5千円ぐらいのイメージだが、厚生年金者はその倍額以上と考えそれが生涯続いていく。

こんな年金じゃあ生きていけん!個人事業主は先を考えんと!
例え今は軽貨物で会社員より少々稼げたとしても、引退してからは月額7万円ぐらいの年金受給差が生涯続くと考えると悩ましい。
65歳以降25年生きるとしたら、単純に受給差総額は2,100万円にもなる。
軽貨物引退する前に社会保険の働き方してる連中より2,000万円以上余計に稼ぐミッションは遂行できそうですか?
年金差だけで老後2,000万円問題が解決できる(-_-;)アホか と考えたら、早めに社会保険に加入できる働き方を考えるのもありかなと。
老後のプラス年金7万円という数字(もちろん年収や保険料の納付金額・期間で変わってきますけど)、心のどこかに留めておいてください。
それでも個人事業主でやり通すというなら、それは貴方の人生です。
家族は納得しているでしょうか?