ダイハツと軽貨物

1つの不祥事の後ろには数えきれない怒りと賠償が待っている
いろいろお騒がせな自動車業界にまたとんでもない不祥事が起きていました。
ダイハツ工業株式会社の認証申請における不正行為(25の試験項目において、174個の不正行為)という、自動車メーカーとして信じられない悪質な問題が確認されました。
「認証」とは、安心してクルマに乗るための様々な基準を満たしているかを予め国に審査・確認してもらうものであり、ここに不正を働くのは品質を誤魔化してまで審査を通さなければならないメーカー都合の理由が存在していたということ。
不正を犯した理由の如何に関わらず到底許されることではありませんが、ビッグモーターの件もそうですが何故に事業を行うための最低限のルールを守ろうとしないのか?
いや、不正することが事業を継続するための必然的な行為になってしまっているのだろうか?
ダイハツと言えば日本国内の軽自動車販売シェアランキングにおいては、平成18年度から令和4年度まで17年連続1位を誇っており、令和5年度も秋口までは快調にトップの座を死守している(軽四輪乗用車+軽四輪貨物)。
おそらく今年一杯は販売シェアトップを確保しそうだが、先日すべての車種の出荷停止を発表した影響で来年以降は大きく数字を落とすだろう。

小さいけど走行性は想像以上!吹き上げ感が気持ち良い!
ダイハツの軽四輪乗用車としては「タント」「ミラ」「ムーヴ」などが良く知られているところ。
しかし軽貨物運送業を営んでいるドライバーにおいては何と言ってもダイハツ=「ハイゼットカーゴ」でしょう。
そういう私も昨年から「ハイゼットカーゴ」に乗り換えております。
特にダイハツ車が好きだった訳ではありませんが、あいにく買い替えのタイミングで程度の良い中古車で紹介されたのがハイゼットカーゴだったという理由。
そもそも皆様が軽貨物の仕事をする上で車両に拘りを持って探しましたか?
恐らく中古車を購入して始められたパターンが一番多いと思われますが、メーカーや車種の拘りというよりたまたま値段が安かったとかユーチューバーが推薦していたとかかな?
私は「スズキエブリィ」「三菱ミニキャブ」「日産クリッパー」「ダイハツハイゼットカーゴ」と乗り継いできましたが(代車でスバルサンバーも)、それぞれに微妙に特徴が違います。
エブリィは縦に長くミニキャブ・クリッパーは幅が広い。ハイゼットカーゴは縦が短く足元が狭い。サンバーは運転席がフロントサスペンションの真上なので衝撃を感じる。
個人的にはミニキャブ・クリッパーが好きなのだが、今はOEMにスズキまで加わってきてサイズ等の個性が無くなっているかもしれませんが。

乗り比べて比較しても使い始めればあまり気にならない
今回の騒動で一気にダイハツ車への不信感が募っているようですが、まあ当然ですよね。
販売を急ぐあまりに不正をしてまで認証を通した車両など、どんなに気に入ったデザインや装備だったとしても躊躇するのが普通でしょう。
いや躊躇も何も緊急の出荷停止宣言となったため、買いたくても買えない状況になってしまったのは悩む必要もなく不幸中の幸い?
すでに契約して納車待ちという人は複雑だよなぁ。何も気にしないという人ならともかく、これはメーカー都合によるキャンセル扱いにできないと更に問題が大きくなりそうだが。
その場合も契約不履行によるメーカーからの賠償が発生するのだろうか。
購入する寸前でキャンセルできたならまだしも、既に乗っている消費者に対する対応はどうなるのだろう?
上で紹介したように軽自動車におけるシェアトップを17年も続けているメーカーの車種ですから、相当な数が出回っていると思われる。
街中でよく見かける軽貨物の車両でも「ハイゼットカーゴ」の率はかなり高い。
神経質なドライバーなら不正車両という不安を抱えながら走らなければならない。
特に走行距離が長い人は不具合の確率も高くなりそうだし、それがメーカーの不正行為が原因で起きる不具合なのか単なる消耗・劣化によるものなのかの線引きで揉めそう?
おそらく当たり屋みたいな故意の不具合を起こして賠償をふっかけてくる輩も出て来そう。

お金払っちゃったよ!納車キャンセルしてもいいよね?
私はつい最近働き方を変えたので月に1回ぐらいの給油しかしない車の使い方になったため、あまり不具合に対しての不安がなくなっているので今回の騒動もさほど神経尖らして注目してはいない。
もし月に2千~3千㎞走るような仕事をしていたらやはり不正行為した車両に乗っているのは気持ち悪いと思うだろうなぁ。
巷では「ビッグモーターで購入したダイハツの車」というのがパワーワードになっている。
たぶん該当する人って少なくないと思いますが、これに更に「ビッグモーターで車検」とか加えたら最強!(笑)
ついでにENEOSの会員カードで給油・洗車とか、ある意味呪われているとしか言いようがない。
エネオスの社長さんも解任されるほど凄いことやらかしましたからねぇ。
幸いなことに私はダイハツハイゼットカーゴに1年半ほど乗っていますが、車自体はこれまで乗ってきたどの車両よりも調子が良い。
歴代の愛車たちに比べてあまり負荷かけていないということもありますが、ダイハツ車両で毎日過積載するほど負荷かけて仕事しているドライバーさんにとっては、やはり嫌なニュースだったでしょう。
まあ1度でも車検を通しているならまず大丈夫でしょうが、新車や新古車みたいな車両ほど不気味ですな。
気になる補償についてですが、まず出荷停止に伴う休業で工場等の従業員に対しては労働組合が給与の9割補償を会社に求めていると。
月収30万の人なら休業中(ただし清掃や機材・部品整理等の作業を行う)は27万支給されるので、もし会社側がこの条件を飲むのであれば殆どの正規従業員は渋々でも従うでしょう。残業代や賞与については不明ですが。
アルバイトや期間工についてはどうなるのでしょう?先行きが見えないので解雇扱いになるのか?

当たり前の仕事が無くなる不安は補償の有る無しで決まる!
取引先関係は8,000社以上になるらしく、自動車業界はメーカーと一蓮托生の関係で成り立っている下請けが複雑に絡み合っている構造が特徴であり、親亀がこけたら皆こける。
再開後のこともあり無下に扱うことはできないため、個別に何らかの補償をして関係は続けておかないとそれこそメーカーとしての将来は無くなるでしょう。
いや、このままでは自動車メーカーを支えてきた町工場などは壊滅し、その影響はダイハツに留まらない。
しかし従業員や取引先にまともに補償をしていけば企業として存続はできないほどのダメージを追うことになる。
親亀がこけるのが先か、子亀孫亀がこけるのが先かという究極の未来しかないのか?
親会社のトヨタがどう動くかに注目が集まりますよね。
一説によればダイハツが不正をするほど追い込まれたのはトヨタの圧力とも言われているから。
結局は利益優先で弱者を追い込むという悪いビジネススキームが蔓延しているため、どの業界にもこうした歪みが出てきてしまうのではなかろうか?
運送業界もそう。請負契約という弱者に不利な働き方をさせて利を貪る。

車両購入価格ではない。それが将来生む価値を考えよう!
もし軽貨物に適した車両を量産するダイハツが消滅したら・・・
軽貨物ドライバーにはどのような影響があるでしょう?
不正車両所有者に対しては補償なし。
不具合が起きた時はその原因を不正に結び付けて立証できるのかどうか。しかし肝心のメーカーが消滅したらその怒りの矛先はどこへ?
一応怪しい不具合が起きた時の各自の仕事への影響と損害をシミュレーションしてみましょう。
何気なく使っている軽車両ですが、その存在感に気付くのではないでしょうか?
車両購入価格が問題なのではない。これからいくら稼いでくれるかが補償の対象にすべきです。