軽運送業、この働き方は避けたい?

毎週のようにどこかで災害レベルの悪天候に見舞われる日本列島。

まるでレフェリーのいない無法地帯のリングで、ダウンして戦意喪失しているボクサーに更に馬乗りになって殴り続ける荒くれ者が支配する狂気の沙汰の様相を呈している。

 

思わぬところで河川が氾濫しいたるところで道路が冠水、逃げ道を失った車で大渋滞が発生と、もはやナビすら役に立たない状況が珍しくなくなってしまいました。
とりわけ時間に追われる物流関係のトラックや軽貨物車等には大きな影響が出てしまいます。こんな状況が当たり前のように起きるようになれば、今までの働き方を考え直さねばならない人も出てくるのではないでしょうか?

 

先週末、今月から軽運送業デビューした知人と偶然会う機会があり、ほんの10分ほどの時間しかお話しできませんでしたが、どんな働き方をしているのか聞かせていただきました。

彼は横浜市内在住なのですが、朝6時からのお弁当配達仕事でスタートし最後は都内(23区外)のネットスーパー仕事までやって、1日計3件の職場を回って18時頃に業務終了しそこから帰宅するという生活。
軽運送初心者ですから普通にどこかの運送会社の下請けとしてデビューしたのかと思いきや、どれが本業なのかはわかりませんが私も知らないような求人を3つ見つけてきてマルチワークしていると。

3件の軽運送の仕事をハシゴして1日どれぐらい稼げるのか?

スタート時点で平日と日曜の半日は稼働、土曜日のみ完全休日とのこと。
平日で1日おおよそ13,000~18,000円の間の収入になるようです。まあ彼は30代半ばで体力は普通の人以上にあるタイプですから、何かアクシデントがない限りはしばらくは大丈夫だと思います。宅配で朝7時半~夜21時半のような働き方と稼ぎとしてはいい勝負でしょうか。いや、スタート時点では固定報酬部分があるだけ宅配初心者より稼げていますね。

 

ここからは私の個人的な意見になりますのでご了承ください。

働き方は人それぞれですから納得して決めてきた仕事なら第三者が何も口出しする必要はありません。ただ彼の働き方の中身で私なら敬遠する部分があります。

まず移動を含めた労働時間の長さが気になります。朝6時スタートということは職場が近くても5時前には起床しているはずです。そして移動移動して最後は多摩の方で18時過ぎまで仕事してから帰ってくるとなると帰宅は20時前後となりますでしょうか。5時半に家を出て19時半に帰宅したとして、正味14時間を仕事に捧げる日々。平均日収が15,000円で移動を含めた労働時間が14時間以上。時給換算にして1,071円。神奈川県の最低時給を下回ります。

 

そしてここが最大のネックなのですが、1日の走行距離がおおよそ200km前後らしい。
今ガソリンはレギュラーでリッター140円~142円ぐらいでしょうか。燃費が10km/ℓとして、3,000円近いガソリン代が毎日の経費になる。日収15,000円で毎日3,000円のガソリン代を消費すると、毎朝5時起きして都内まで走ってする仕事としては労働対価としては・・・ う~ん(-_-;)
日収12,000円の14時間労働だと時給換算で857円。北海道の最低賃金すら下回ることになる。実際は経費はガソリン代だけではありませんから、それ以下の賃金水準の仕事ということになる。

この考え方は宅配も含めた軽運送業すべての仕事において意識しておかねばなりません。
15,000円の仕事だ!わ~い!と喜んでいる場合ではありません。経費を差し引いて最後に手元にいくら残るのか?私が常々申し上げてる見た目の売上・報酬に惑わされてはいけないという部分がこういうことです。

 

長距離移動する仕事はアクシデント要因が多い。最近の台風や大雨でイメージはだいぶ浸透したと思いますが、土地勘のないところではどこで河川の影響があるのか?どこで冠水してどの有料道路が通行止めになるとどこを通れば良いのか?そして渋滞のリスク。労働時間の何分の1かを路上で缶詰状態で過ごすことの馬鹿らしさ。渋滞は社会的損失であり自分にとってもお金にならない無駄な時間です。

いや、雨だけではなく雪の影響も家の近所と遠方の配達エリアでは状況が大きく変わってくる。今回の例だと横浜と多摩の方の雪の降り方積もり方は全然違うでしょう。移動することすら困難になり仕事どころではなくなります。
遠くまで出向いて仕事をするリスクは時間をコントロールできないという怖さがありますので、私は極力コンパクトな行動範囲に留めております。

 

経費やリスクを全て飲み込んで、それでも利益や充実感が残るのであればその仕事を大切にすれば良い。
しかし一見良さげな報酬の仕事が経費やリスクを精査したらグデグデになってしまうのなら、普通にアルバイトしていた方が結局は時間もお金も手にすることができたりします。そこの見極めをしないままズルズル稼げない状態を引きずっている軽ドライバーさんはいます。
早起きしても稼げないことしてたら3文の得どころではありませんね。

近未来的軽ドライバーは無駄に走ることはしないのです。

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