長い目で先を読む

軽運送業で独立・スタートするのは、会社員を経験された中高年の方が圧倒的に多いと思います。新卒で即始めようというような若者に出会うことはなかなかないですね。まあ最近では学生のうちに自動車免許を取得する方が減ってきているという話もよく耳にしますから。

 

しかし、中高年の場合そこそこに人生経験が豊富な事がマイナスに働くこともあります。どうしても積み上げてきた経験・主観が強いため、損得勘定先行で短期的展望をしてしまうから。

まあ年齢的なこともあって悠長にやっていられないというのはわかりますし、判断・決断力が早いのは独立したら大事なことです。ただすぐに挫折する多いパターンは、最初に提示されている条件、例えば宅配の場合なら配達個数単価として考えると、求人情報の収入例で単価150円だとして1日120個配達 = 日当18,000円。月25日稼働なら月収450,000円以上も可能・・・なんていう誘い文句を鵜呑みにして、最初から月収450,000円が基準になってホクホクしながら始めてしまう人。

初心者が1日120個配達するというのは、ほぼ無理です。まず地図とにらめっこする時間は想像以上にかかりますし、荷量の約2割は不在というデータ(私個人の経験感覚でも2割ぐらいという感じはしました)があるので、目標には大きく届かない日が続き、当然収入もそれなりの日が続く・・・  これじゃやってられねぇや! と廃業していく方々を何人も見てきました。

また、運送業特有の長い労働時間が疲労蓄積となり、慣れる前に心と体を蝕んでくることも挫折の原因になる方もいます。

1個配達するのにどれぐらい時間を要すると思いますか?

初心者ですと地図で確認する時間が結構多くなりますので、狭いエリアを回るとしても1件5分ぐらいにはなりますでしょう。120個配達完了するには2割の不在として150個配達に回る必要があるとすると、単純計算で 5分 × 150 = 750分 となります。この時間には休憩とか積み直しに戻る時間とか含んでませんので、実際はもっと増えます。

750分 = 12時間半ですよ? 朝6時半頃に集積所に行って伝票確認・ルート組立・積込開始して8時頃に出発して、150個を1回で積み切れたとしても飲まず食わずで全部回れば20時半頃にはなる。休憩とか積み直しに戻ったりすれば22時を大きく過ぎる感じ。渋滞とか悪天候が重なると終わりが見えません。

こんな日が続けば、期待が大きい分そりゃ挫折しますわな。まだ薄給でも前の会社にいた方がマシだったとか(笑)。トラックドライバーなんかもっと重労働でも軽の委託よりずっと薄給の方ばかりですよ。会社員というのは実に割が合わない というか運送業の末端ドライバーに対する扱いがおかしい。

 

でもですよ、上記のような状況も経験を積むことによって改善されていくんです。最初は丸1日費やして70件ぐらいしか消化できなかったものが、道を覚え配達順の効率がUPし、配達先の不在時間がわかってきたり(宅配の場合リピート客が結構多いので不在がちの時間を確認しておくといいですよ)すると、夕方までに120件位は消化できるようになるんです。そうなってくると宅配の仕事が稼げる部類になってくるのですが、残念ながらその域に達する前に諦め去っていく人が多い。

石の上にも三年 とか 桃栗三年柿八年(舟和の和菓子は八十年^^; この昭和のCM知ってる人は凄いぞ)とか有名な諺がありますが、苦労した先を見れないのは山に登れず絶景が見れないのと同じ。

宅配の場合を例にあげましたけど、他の仕事でも同じです。目先の数字は続けていくことで変わっていくんです。

稼げないから終わりではない。諦めたら終わりなんだ!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です