宅配の数字を検証する

総理大臣在職日数歴代最長を迎えたばかりの安倍総理が辞意を表明いたしました。

直接的な理由は持病である潰瘍性大腸炎の悪化。
前回の第一次安倍内閣の辞任時も、参院選での自民党大敗後に同じ持病の悪化ということだったので、やはり病気というのはストレスとは深い関係があるのでしょうね。

 

コロナ問題で世界的に経済が混乱している中、果たして総理大臣の突然の辞意表明は我が国にどのような影響を及ぼすのでしょうか?

経済的混乱を最小限に抑えるためにわざわざ正式会見を金曜日の17時としていたのに、東京株式市場の取引時間中に「首相辞任」のニュースがフライング気味に駆け巡ると、日経平均株価は一時600円を超える下げ幅となったり為替も大きく円高に動いています。

11月にはアメリカの大統領選挙もあり、経済への影響は当分の間は予断を許しません。
秋以降のコロナの第3波の懸念やオリンピックの開催の可否、新総理の人選等々、これまで政治に関心がなかった者でも否が応でも注目しなければならない難問が山積みです。

働き口がなかなかみつからないという仕事難民やフリーター・老若男女がすぐに始められる仕事として最近注目されてきた軽貨物運送業ですが、「面白そうだ~」「稼げそうだ~」という軽いノリで始めるのはチョット待った!

YouTubeでも軽貨物系の動画が数えきれないぐらい配信されていますが、撮影上の問題からか仕事として本当に大変な部分がカットされており、動画上はドライブ映像に語りをかぶせていたり楽そうな仕事に見えるシーンが多いのですが、実際はいろいろ大変なんですよ。

YouTubeに触発されて軽ドライバーデビューする人も多いが、すぐに辞めていく人も相当います。

 

そんなミスマッチを無くすためにも、軽貨物で稼げるかどうかの一つの判断基準の話をいたします。

 

軽貨物の仕事で一番稼げると言われる宅配仕事の場合を例にとりましょう。
単純に1個170円の単価制で1日平均120個配完、月24日稼働すると月収は489,600円になります。
この例は数ヵ月配達していれば達成できるようになるかなり現実的な数字だと思います。

月収489,600円!というと、どう感じますでしょうか?

「おっ?宅配ってそんなに稼げるの?」
「週5~6日朝から晩まで配達し通しでそれだけなの?」

いろいろ感じることはあると思います。

実際は489,600円というのは見た目の売上数字であり、ここから所属先によってはいろいろ手数料取られたりガソリン・駐車場代等いろいろと経費がかかりますし、社会保険料まで入れたら実際に手元に残るのは3割ぐらい引いた数字という感じでしょうか。

まあ中高年の場合、会社員の給料でもそんな感じですかね。
でも会社員は毎月仕事の成否にかかわらず同じ額が振り込まれてくる。
軽貨物ドライバーは上記の金額はあくまでも平均的な数字であり、月収差が10万円以上になることも珍しくはない。

軽貨物の求人広告などを見ると「月収50万円以上も可能!」と景気の良い謳い文句があちこちで見受けられますが、嘘ではありませんがこの数字を生活が成り立つ根拠としてはいけません。

120個の荷物を配完するには140個以上の配達が必要になります(不在率15%として)。
例えば1個5分のペースで配達していった場合、140個だと700分かかります。
11時間40分もの間、トイレにも行かず休憩無しとして?
現実的な働き方でしょうか?

 

大体荷物を1回で140個持ち出すとすると、何kgあると思います?
1個平均で3kgあったら過積載、道交法違反です。
それより容量的に車に140個も入らないかもしれませんね。

となると最低1回は積み込みに戻らなければいけません。
そこで何分のロスが生まれるか?
そのロスが700分に加わるとどうなる?トイレや食事の時間を入れたら?

1日15時間働くのが苦にならないというのであれば140個の配送や再配達も可能でしょう。
ただ労働時間はドライバー側の都合であり配達先にとっては大迷惑な場合もある。

もし朝の6時半ごろに配達に来たら?深夜23時過ぎとかに配達に来たら?
受け取る側の都合でその時間が指定されてきたらOK・・・ とはいかないですよね。

労働基準法の一部改正でこれまで適用のグレーゾーンだった委託契約の非正規労働者にも労働時間の網がかかることになりました。
なのでこれまで労働時間関係なく1日180個も200個も配達していたドライバーも、週の労働時間の上限が厳しくなりメチャクチャ稼げる状況ではなくなってきています。

上級者は1個3分で配達して200個で600分。それも休憩や積み戻り無しで10時間ぶっ続けで配達する?
これでも週に4日しか働けないということ。
というか200個一度に積み込むとすると荷物平均が2Kgなら過積載。
労働法と道交法の問題をシビアに適用したら、宅配で1日200個配送というのは・・・
わかりますね?

この辺の法律を一番理解しているのは日本の運送会社よりAmazonです。
だからAmazonの配送員の労働時間も週の上限は厳しく管理されています。

1日200個配達できる猛者だって毎日確実に数をこなせるわけではない。
あの「ごーしんさん」だってタワマンが点在するエリアとか渋滞ばかりのエリアだったらまず無理。

宅配で稼ぐにはエリアという要素が非常に重要になる。
そして売上げと同時に経費を少なくすることの重要さも認識しておきましょう。
自宅近くに積込み所があって配達エリアも近所なら売上げ変わらずガソリン代を節約できるというメリットは大きい。そして時間という一番大事にしなければならない要素も生み出すことができる。

宅配で1日200個配達とか月収60万とか目指すのもいいけれど、働き方はしっかり考えた方がいいです。
走れば走るほど車は消耗し、修理・買い替えのサイクルも短くなる。
稼げるかもしれないが経費の多さもバカになりません。

お金・時間・生きがい・・・

貴方にとってトータルの満足はどこにあるのか?

軽貨物はそこに近づける手段ではあるけれど、自分が配達マシーンのごとく数を追う働き方はどこかで綻びがきます。
低単価で高回転させられている軽貨物というビジネスモデルに気付くか気付かないか。

軽ドライバーは事業主なのに結局は相手に上手く利用されている仕事が多いです。

「自分」という労働力の価値をいかに高めていくか?を考えないと。

 

請負先にいかに貢献しても単価が上がったりボーナスが貰えるわけではない。
軽貨物という働き方の美味しいところだけ頂き、決して依存せず収入手段を複数持つ。

そういう考え方で12年やってきたら割と心地よい働き方が見つかりました。

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