2026年10月1日よりインボイス増税2.5倍へ

しまったぁ!2割特例が永遠に続くもんだと勘違いしてたぁ!
2024年度の確定申告受付が始まっています。
個人事業主の軽貨物ドライバーさんはもう提出されましたでしょうか?それともまだ悪戦苦闘中?
事業としては経理的にはシンプルな方の軽貨物運送業ですが、急かされてインボイス(課税事業者)に登録したばっかりに様々な負担(税額、経理事務など)を背負う羽目に陥っている方は多いと思います。
「仕事を失いたくない」「荷主・請負先と良好な関係でいたい」等で泣く泣くインボイス登録した人には、「経過措置」という当初3年間の2割特例に「まぁ消費税の2割ならいいか」と深く考えずにスタートしてしまったケースもあるでしょう。
しかし経過措置はあくまでも獲物を油断させおびき寄せるための撒き餌です。
その撒き餌の第一弾が終わる来年の10月よりその恐ろしい本性を見せ始めます。
それが2割特例が5割特例(?)へと増税となる。

こんなの大丈夫!と思ってると、泥沼から抜け出せなくなる
その増税額、約2.5倍へとなることは知ってますよね?
例えば経費等を考えずに単純に年間の売上300万のインボイス個人事業主なら、2割特例の経過措置の間は6万円の税負担。
月に均せば5,000円です。まぁこれぐらいなら・・・と思う人、多いかな?
ところが3年間の経過措置が終わる2026年10月1日からは、次の3年間はインボイスは5割負担になる。
上記個人事業主が売上が変わらなければ、税は本来(10%)の5割負担となり15万円を納税することに。
月に均せば12,500円。そろそろバカバカしくなってきますよねぇ。
その税負担は2.5倍に膨らみます!500円のタバコが1,250円になるようなもんです。
もちろんまた3年間が過ぎれば経過措置は終了し問答無用。消費税として年間30万円を徴収されることに。
ちょっと稼げば事業税、稼げなくてもインボイスが個人事業主に重くのしかかる。

なんでインボイスなんか登録しちまったんだろう。
インボイス制度の経過措置税率変更が軽貨物運送業の個人事業主に与える影響
2023年10月から導入されたインボイス制度は、消費税の適正な課税を目指すための仕組みです。
この制度により取引ごとに発行される請求書に消費税額が明示され、その証拠となる適格請求書が必要となります。
これにより、消費税の不正な控除や納税漏れを防止することが狙いです。
インボイス制度の導入に伴い急激な税負担を減らし、制度への移行を円滑に進めるため6年間の経過措置が設けられています。
この経過措置には、80%控除と50%控除の2つの段階が設定されています。
制度の開始から3年間は従来どおりの請求書に基づいて仕入税額の80%が控除され、次の3年間は50%の控除が可能となります。
では、軽貨物運送業を営んでいる個人事業主にどのような影響があるのでしょうか。
具体的な例を挙げて説明してみましょう。

最初は優しく誘導し、後戻りできなくして一気に襲いかかる
具体例:月の売上が30万円の軽貨物運送業者の場合
設定として、月の売上が30万円で、そこにインボイスが発生する個人事業主を考えます。
新しい経過措置税率を用いて、どのような影響があるかを見ていきましょう。
- 売上に対する消費税の計算
- 月の売上:30万円
- 消費税率:10%
- 消費税額:30万円 × 10% = 3万円
- 経過措置適用前の控除額
- 経過措置適用前は、消費税額の100%が控除されます。
- 控除額:3万円
- 経過措置適用後の控除額
- 経過措置の適用により、最初の3年間は消費税額の80%が控除されます。
- 控除額:3万円 × 80% = 2万4千円
- 次の3年間は消費税額の50%が控除されます。
- 控除額:3万円 × 50% = 1万5千円
- 経過措置適用後の納税額
- 最初の3年間の納税額:3万円 – 2万4千円 = 6千円
- 次の3年間の納税額:3万円 – 1万5千円 = 1万5千円 2.5倍に増えます。

働く割にお金が手元に残らなくなったらそれは破綻の前兆です
経過措置税率変更の影響
経過措置税率の変更により、軽貨物運送業を営んでいる個人事業主は以下のような影響を受けることになります。
- 税負担の増加
- 経過措置適用前は、消費税額の100%が控除されていたため、納税額は0円でした。
しかし、経過措置適用後は、最初の3年間で6千円、次の3年間で1万5千円の納税が必要となります。
これにより、税負担が増加します。
3年後には税負担が2.5倍へと増えますが、それでもその仕事・事業主として続けて行く自信がありますか?
- 経過措置適用前は、消費税額の100%が控除されていたため、納税額は0円でした。
- キャッシュフローの影響
- 税負担の増加により、キャッシュフローに影響が出る可能性があります。
特に売上が安定しない個人事業主にとっては、納税額の増加が経営に与える影響は大きいです。
ガソリンやオイル、パーツ類の価格高騰は、売上に関係なくキャッシュフローを揺さぶってきます。
- 税負担の増加により、キャッシュフローに影響が出る可能性があります。
- 経費の見直し
- 経過措置適用後の税負担を軽減するためには、経費の見直しが必要です。
例えば、経費の中に含まれる消費税額を適切に管理し、控除対象となる経費を最大限に活用することが重要です。
車や仕事にかかる保険などももう一度吟味してみてはいかがでしょうか。
- 経過措置適用後の税負担を軽減するためには、経費の見直しが必要です。
- 価格交渉の必要性
- 経過措置適用後の税負担を軽減するためには、取引先との価格交渉が必要です。
例えば、消費税額の一部を取引先に負担してもらうよう交渉することが考えられます。
運送業、特に末端の軽貨物ドライバーはスキルアップが報酬に反映されないのが問題だと思うのです。
もし自分のキャリアや配送スキルに自信があるのなら、請負先を代えてみるのもありです。 - ドライバー不足、質の低下が問題視されている今、自分こそが魅力的な商材であることをアピールできるのであれば、積極的に営業をかけるべきです。
それこそが事業主としてあるべき姿。相手に好き放題されていいように使われているだけなら、事業主を名乗る資格などない。
それは仕事にありつけた単なる下っ端の作業員として安堵しているだけで、価格交渉もへったくれもない。
- 経過措置適用後の税負担を軽減するためには、取引先との価格交渉が必要です。

全ては目先の取引にこだわりインボイス登録した貴方の責任!
まとめ
インボイスは始まったばかりですが、制度の経過措置税率変更は想像していた以上に経営に響いてくるでしょう。
私は軽貨物ドライバー時代にはインボイス登録を迫ってきた本業の配送仕事は辞め、免税のままでいいよと言っていただいた企業の配送仕事だけ残しました。
あいにくその企業が移転してしまい、自分の体調不安もあって昨年自主廃業となりましたが、インボイスに顔を突っ込まずに済んだことは良かったと思っています。
軽貨物運送業を営んでいる個人事業主は税負担の増加やキャッシュフローの影響を受けることになります。
ガソリン高騰・高止まりの終わりが見えず、オイルやバッテリー・タイヤ・各種パーツなども価格は右肩上がりが続くでしょう。
売上が伸びないまま経費が利益を圧迫し、更にインボイスによる税負担も間違いなく増えていく。
この状況を考えれば、この先どう行動すべきか自ずと決まってくるでしょう。

撤退が最善の策になる事もある。辞め時だな、よし次行こう!
インボイスに対処するために
●一つは経費の見直しや取引先との価格交渉、もしくは取引先チェンジ。
もし今の事業を続けたいなら物価高騰や増税分を上回る収益を必ず確保する方法があること。
それが出来ない・叶わないのであれば、そのビジネスはもはやビジネスではない。
続ける価値はないと思いましょう。
●二つ目は潔く廃業・転業・転職すること。
売上増が見込めず経費や税ばかりがズルズルと増えていくのに、自分が変わることを恐れて動けない・動かない。
これが一番悲劇を生む。貴方の決断・判断が家族をも巻き込んでしまう。
「車がもったいない」「せっかくはじめたのに」・・・
いやいや、投資の世界の損切りと同じでキズの浅いうちに断ち切ること。
次のステージに早く移った方がよい。
●倒産件数が過去最高多い等のニュースが報じられていますが、業態を変えられなかったり経営者のさじ加減の誤りだったりが多いようです。
時代に合った職やビジネスというのはあると思います。
自分の事業が果たしてこの先どう時代に対応していけるのか。
インボイスの経過措置期間中なら、まだキズは浅くて済む。
税額だけでなく、経理の複雑さも含めて今後増税が進んで行くことをどう捉えるか。
真の経営者なのか、なんちゃって経営者なのか、そのうちハッキリするでしょう。
さて、貴方はどっちかな?