アマゾンの本性が見えて来た

物凄い勢いでドライバー登録数を増やしているアマゾンフレックスの求人。トラックドライバーも職替えするなど、どれだけ好条件なのでしょうか?

しかし登録ドライバーが増えたことにより、いよいよアマゾンの本性が見えてきました。甘っちょろいドライバーには牙をむき始めてきたようです。

 

とにかく高齢化と人手不足が深刻な運送業界において、若者から中高年・高齢者に至るまでの広い層による一つの企業のドライバー登録数の増加はもはや尋常ではありません。トラックドライバーですら軽運送業に鞍替えするという事態は日本の物流関係に大きな影響を及ぼすかも知れません。今現在は東京・横浜/川崎・愛知と首都圏のみに限られておりますが、来月はどこに拠点が出来るかというのも既存ドライバーの話題となっている。毎月のように拠点が増えている現状から考えると全国を網羅するのもそう遠くないのではないか。

今までの宅配仕事と中身はそう変わらないのに、なぜこんな人気求人になっているのか?

まず求人条件のキモである報酬に関しては現在のところ時給換算で税込み2,000円という感じ。基本は2時間単位で応募が可能なようですが(実際は5.5時間のような端数付の仕事もあるようです)、既に宅配で稼いでいるドライバーからしてみれば格別好条件には思えないのではないのでは?一般的なアルバイトレベル待遇しか知らない人にとっては美味しく見えるのでしょうけれど。

そしてキャンペーンの内容もニンジンの一つですね。登録後1勤務するとアマゾンギフト券が25,000円分もらえるとか、週48時間勤務を4週すると現金で100,000円もらえるとか。日本の運送会社もダラダラ求人広告にお金を使っていないでインパクトある企画をやれば関心は持ってもらえるのではないか?それでもこれまでのイメージ通りの労働環境では人は集まらないでしょうけど。

 

私が思うにアマゾンフレックスに応募が殺到するのは、日本の運送仕事の長時間労働という悪いイメージを取り除いた働き方を提示したのが一番大きいと思う。とにかく「残業なし」「不在でも再配達なし」「仕事のキャンセル可能」「日替わりで好きな時間でできる」という、拘束される部分を極力排除することで一気に魅力的な仕事のイメージを創出している。単純作業で一般的なバイトの倍の賃金を提示されたらそりゃあ感心持ちますよね。面接もなく登録するだけ。アプリで仕事をピックアップできちゃう簡易さもイマドキの働き方にマッチしているのでしょう。

拘束されず労働時間を選べる なんてトラックドライバーから見たら夢のような働き方なのではないか?(笑)それで収入もうんと増やせてしかも支払いは毎週!支払いサイトが長い傾向にある既存のドライバーの心が動いて当たり前。ドライバー職の人が環境を変えるまたとないチャンスなのかも知れません。

 

ところが良いことばかりは続かないようです。
登録ドライバーが急増してきたことで、アマゾン側もドライバー個々の特性のチェックを始めたようです。配送数や稼働日数といった貢献度は外資系らしく重視する。頻繁にキャンセルが行われていたり配送レベルが一向に上がってこないドライバーの登録アカウントの(一時的?)削除が行われているようです。まあ当然と言えば当然ですよね。配送に予約いれときながら「雨降ったからやらない」みたいなキャンセルが続けば人としての質を疑われます。

一定の労働力の囲い込みが達成すると、今度は労働力のふるい分けが始まるのです。人が集まることで主導権はアマゾン側に移る。質においてピリピリしているのはデリバリープロバイダー制度が上手く機能しなかったことにも起因する。闇雲にドライバー数集めさせてやってみた結果がドライバーの品質低下に繋がり、遅配・誤配・未配とトラブル続出でアマゾン自体の評判に影響が出てしまった。もう中途半端な品質の運送会社には任せておけず、アマゾンが直に管理・コントロールできる環境を構築していこうという流れが始まっている。

運送業界の問題として中抜きが多く存在する多層構造があげられます。末端労働者・ドライバーが受け取れる報酬は上流の数分の1程度。重労働でこれでは能力ある人が集まらないのは当然。アマゾンはそこに気付いているので報酬を厚めにして質の良いドライバーと直で取引をしようとしている。ただ募集の最初の段階では玉石混交、しばらく様子を見た上で質の良いドライバーを残していくことをしていく。その一つがアマゾンの求める質に足りないドライバーのアカウント削除なのでしょう。

ただ決して厳しい面だけではなく、例えば雨の日の配送や荷量が増えるような土日限定で報酬を少し高くするような試みも行われている。ドライバーとアマゾンの良好な関係を築こうと常にタイムリーなことを考えてはくれているので、その辺はドライバーをこき使うだけの日本の運送会社や荷主とは違った部分・差別化は出来ているのかなと。

 

仕事に対する姿勢や貢献度を見られているという緊張感をどう受け止めるか。
これまでは表面的な好条件で簡単に求人に人が集まりましたけど、一転、厳しい部分を見せて来た外資系の本性にどこまでフリーランスが喰らいついていくのか。またアマゾンフレックスがそれだけの価値がある働き方なのか。
これからどうなっていくのか目が離せません。

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