安定 = 安く定める
正社員 = 安定 と、よく揶揄されておりますが、安定という字は「安く定める」と書く。何だか言い得て妙ではありませんか。
安く使えるから会社も利用すると考えると納得。経営者の立場になれば、よほど魅力がなければ高いものを使いたいとは思わないでしょう。
ということは「安く使われている」間は会社における立場は安定している(笑) これが高給取りになってくると会社としては扱い辛い存在になるのか?リストラの対象になりやすいのか?
そんな事はない!と断言も出来ませんが、まあ確かに安く使われているなぁと思っていらっしゃる会社員の方は多いのではないでしょうか。何をもってして安く感じているのかはわかりませんが、右肩上がりの昔と違って先行き不透明な現代では、会社を存続させ従業員の雇用を守るためには利益を人件費に薄くシェアし、内部留保を厚くしておきたいのは当然。会社も従業員も安定していたいなら安く定められていることを受け入れないといけない のか?
社員に許されているのは文句を言うことぐらい(会社によっては言論の自由さえ統制されているところもあるようだが)。雇用されているということは相手のルールに従うことですから、泣こうが叫ぼうがお金も時間も自由に出来ない。独立して自分のルールでできる立場と大きく違う点であることはこれまでにもお伝えしてきました。
安定と自由を天秤にかけると、皆様はどちらが重くなるでしょうか?
重くなった方に人生を進めて行けるかというとなかなかそうもいかない。願わくばどちらも手に入れたい。そこは正社員も派遣もアルバイトも自営業も同じ思い。であれば今の労働環境をできる限り改善していきましょうよというのが、皆が働き方改革と呼ぶ自己推進キャンペーンの正体です。ただキャンペーンは声だけあげても意味がなく、具体的に行動を起こして結果が伴って初めて成功となるわけで、いかに皆が本気で取り組むかにかかっている。労働側が必死こいても経営側に協力姿勢がなければ討ち死にするだけ。そこは外堀を埋めるようにジワジワと本丸を攻めていかないと。
運送業界もその流れは起き始めています。ドライバーと会社側で訴訟問題が頻発してますが、ほぼ確実にドライバーが勝訴する結果となる。いかにこれまで会社側がいいように従業員を使っていたか。あのヤマトでさえ未払い賃金の清算や労働時間の改善に追い込まれたわけですから。まだまだこれは序の口、全国何千とある運送会社は同様の問題を抱えており、ドライバーがきちんと勉強し弁護士引き連れて訴訟を起こしたら日本の物流は大炎上するでしょう。安定という言葉に幻惑され有耶無耶にされてきた労働対価を取り戻すべきであり、それで会社が潰れるぐらいならビジネスモデルがおかしいことが証明される。
どの業種・会社においても、労働者をきちんと評価し賃金を支払えないなら、搾取の仕方がおかしいのかもともとのビジネスモデルがおかしいのかのどちらかです。ビジネスモデルとして成り立たないのなら廃業すべきであり、従業員にブラックな働き方をさせてまで会社の延命を図ってはいけない。ドライバーに違法行為をさせてまで売上げに固執する運送会社は、国の査察が入ればやっていけなくなるでしょう。しかしこれは運送会社も悪いが、正規の運賃を認めない荷主や高い高速料金、渋滞による時間喪失、日本の物流構造自体が機能していないことも大きい。運送の世界においてはドライバーの立場は安く定まってもいないし、安全に定まってもいない。
安く定められいいように使われることを幸せと感じられるなら、それがその人の安定です。羨ましいです。反面、正社員でありながら安定を感じられないという人は問題意識を持たないといけないと思う。安く定められることに不満があるのなら、その不満はどこに起因しているのか?改善できるのか? もしそれが改善不可能であるならば、もはやその働き方は安定ではない。安定を求めて正社員を希望したことと矛盾が生じていることになりますが、それでも正社員を続けますか?