コンビニの限界
東京労働局が発表した2017年度の調査結果では、コンビニフランチャイズ店舗の95.5%で労働関係法令違反があったということです。
都内の労働基準監督署が、「定期監督」した269事業所中、257事業所で違反があったというもので、労働者の通報を受けての「申告監督」は含まれていない。
大阪のセブンイレブンの店舗が、本部の指示に反して24時間営業を中止したことが最近話題となっていますが、そこで明らかにされたのが本部とFC店との過酷な契約内容。
ただただ本部の利益至上主義の犠牲者とも思えるFC契約を結んでしまったオーナー。いかなる理由があろうと24時間営業を徹底させられ、反すれば違約金を請求されたり否応なく契約解除となったりと、オーナービジネスを夢見て甘い話に乗って開業してしまった結末には、「どっちかの夜は昼間」という歌詞のような、まさに日本社会の便利の裏側にある闇の部分を考えさせられます。
こういう問題な部分をハッキリ見せられた今では、コンビニ本部がFCを犠牲にして吸い上げた利益で潤っているビジネスモデルが、いかに現場をおろそかにしているかがわかります。恵方巻のノルマや廃棄の問題でも注目を集めているのに、どうしてこう上から圧力をかけたがるのだろうか。FCの説明会等では旨い話で一生懸命サポートを約束してくれるみたいですけど・・・
私にも求人サイトを通じてコンビニ数社から「FCになりませんか?」というオファーがありました。私自身独立志向を強く感じさせるレジュメを求人サイトに提出しているので、フリーのドライバーやオーナービジネス系のオファーが毎週のように届くのですが、コンビニだけはやりたくないなぁ。
オーナーと言うと聞こえは良いが、結局はのれんを借りた雇われみたいな立場でしかないのですから、自分で好きにできるわけではない。1ヵ月の労働が400時間近いオーナーもいるなんて、そんなものはもはやオーナーでも何でもない。ただ時間とロイヤリティを搾取されるだけの末端労働者です。
以前はコンビニのバイトというと、学生が最初に「働いてお金を得る」という経験をする場みたいな、誰もが出来そうな仕事であったように思う。ところが最近のコンビニの現場では品出し陳列清掃の基本業務から、公共料金等の収納代行、チケット発券、宅急便受付・店頭渡し、惣菜調理、酒・たばこ購入者の年齢確認・・・ やることが多過ぎ! 深夜は防犯上の問題もあるし。
若い人はそれなりに吸収力も速いし機械操作も出来るからまだ対応できるかも知れないが、もはや中高年が繁忙店舗に入るのは無謀ではないか。実際レジにて右往左往している中高年アルバイトのような方をよく見かけますが、よくこの仕事に応募したなぁと感心する反面、人手不足も深刻なんだろうなぁと思ってしまいます。下手に学生時代に面白くないバイトを経験してしまうと、その職種は完全に就活対象ではなくなることが往々にしてある。今のコンビニ店員の働き方を見ていると、実際にバイトなど経験しなくても、この仕事をやりたいとかずっと続けようとは思わないでしょう。賃金も少しづつ上がってきてはいるようですが、労働対価としては満足度は低いでしょう。特に他のバイトを経験したことのある人にとっては。
本部もいい加減に利益至上主義を辞めて企業や働き方のイメージアップ戦略を図っていかないと、労働力の確保もFCオーナーの確保もどんどん難しくなるでしょうに。ドミナント戦略だって業界の将来より自社のシェアを増やし、既存のオーナーのことなど考えていないやり方だし。もし自分の住む街が評判の悪いコンビニ系列だけでいっぱいになって選択肢が無くなったら嫌だなぁ。
コンビニは宅急便の受け渡し場所として運送業界からは熱い視線を送られているのですが、バックヤードのキャパの問題や人手不足での時間短縮の動きが流動的で、なかなか本格的に話が進んで行きません。個人的には宅配の不在再配達問題を軽減することができる一番有力な方法がコンビニ受取だと思っているので、コンビニ店員さんの負担軽減とは矛盾してしまいますけど、もっとコンビニでの働き方にひと工夫出来ないものかと本部にモノ申したい。本当に社会のインフラを目指しているなら、ここで進化を止めてはいけない!