便利と不便は紙一重

先日のdocomoの通信障害、多数の加入者・利用者を抱えるキャリアとしての責任の重大さを改めて感じさせる出来事でした。
と同時にいかにスマホに依存している現代人の危うさを露呈した、とも言えましょう。

「サイバーテロは規模の大きな企業や組織だけの問題」と、どこか他人事でいる私達一般庶民も、今回の通信障害はサイバーテロに匹敵する問題と考えてもおかしくない。
実は身近に潜む非常に恐ろしい生活障害になり得るのだと、それなりの対策は考えておいた方が良いのかも知れませんね。

依存する危険というのはこのブログでも何度か触れてきました。
収入手段を一つしか持たないことは、リストラや契約解除といった自分自身ではどうにも避けられない事態に対して非常に危うい状態。

会社員であってもフリーランスであっても、結局は雇用側や請負先に立場を支配されている。
労働者を支配している会社や組織だって、株主や出資者の管理下に置かれているようなもの。
いくら業績が良かろうが、社長の首が安泰というわけではない。

縦社会・多層構造の日本においては、大抵の労働者は最下層・末端に位置することを認識すべき。
ちょっと成績が良かろうが頑張っていようが、結局は誰かの手のひらの上で転がされているんです。
相手の気が変われば弱者は簡単に吹き飛ぶ。労働力の交代要員などいくらでもいるというのが残念ながら上位に位置する者のドライな考え方。
上位の者だって自分の身を守るためには手段は選んでいる場合ではない。非情に徹しないと自らの立場が危うくなる。

今回の通信障害では昔では考えられなかったような問題も出てきましたね。
私達軽ドライバーにも一部関係しているのが、スマホアプリ等を駆使するような仕事上での問題。

最近は宅配の仕事も端末を使うし、再配達や配達先・置き場所変更の指示も端末やスマホ・携帯で受けていたりする。
お客様 ⇔ ドライバー ⇔ 会社 という伝達手段を失うことは今の運送仕事においては大きな問題となる。
これはお客様側にも言えること。

特にフードデリバリーなどは注文も配送も完全にスマホに依存した働き方。
ニュースではウーバーイーツの配達員が配達先が途中でわからなくなった、とかオーダーが受注できず「クエスト」が達成できなかった等の収入に直結する被害が報告されている。

他でもマッチングアプリによる仕事はほぼほぼ影響を受けたでしょう。
Wi-Fiに頼らず場所を問わずLTEでノマド的に仕事をされている方もいたでしょうし、スマホ上で株やFX等のリアルタイムな投資をされている方もチャンス喪失という痛手を被ったかもしれません。

通信障害は何もキャリア側に原因がある場合とは限りません。
異常気象が多発する昨今、自然災害による様々なトラブルは想定しておくべきでしょう。

 

私は幸い(?)にも通信に依存しないアナログ的な配送をしています。本業も複業も。
いずれも配達エリアが固定されており、配達先もほぼ会社・工場・店舗なので、いちいちスマホを使って地図等を確認することもない。
ゼンリンの住宅地図があるので、詳細を確認する時にはアプリの地図など使うより便利だし速い。
配達エリアが固定されていると頭の中に地図が落とし込まれているので効率は非常に良いのです。

一応荷物と伝票の照合や配達完了報告等は端末を使用していますが、逆に不便さを感じます。
10年以上前の端末など使わなかった時代に比べると、作業が増え労働時間に影響はある。

実際は誤配を防いだり会社側でドライバー全員の配送状況を把握できるので重宝すべきシステムなのですが、古くからドライバーやっている方々にとっては面倒に感じていることもあるのでは?

何故通信障害が起きるとこうも人々は不便を感じるのでしょうか?

それはもう通信という見えない存在が私達の生活の中に深く入り込んでいるから。
みずほ銀行の度々起こるシステム障害も同様でしょう。

銀行を利用するのは月の中でも数回程度。
しかし携帯電話やスマホ・タブレット・パソコンと言った通信のイメージそのままの機器のみならず、最近ではテレビや冷蔵庫・クーラー等の生活家電にも通信が使われるようになってきた。
これらは毎日使うので通信障害は影響が大きい。

 

IoT(Internet of Thing)と呼ばれ、これまでインターネットとは無関係だったジャンルのモノにインターネットの技術を利用し遠隔操作が出来るようになった。
単に一般家庭の便利さを追求するだけでなく、遠隔医療や無人走行等のインフラ的利用においても期待されています。

それゆえにあまりにも依存しすぎると、今回のような通信障害が起きれば一気に問題が噴出する。
技術的に未熟な部分と利用する側のリスク管理不足をどう是正していくか?
これが災害時に起きていたらと思うとゾッとしますよね。

カード決済が出来なくなった、インスタが上げれなくなった、オンライン授業が受講できない・・・
いろいろな被害が報告されていますけど、これらはまだ可愛いほう。

救急車・消防車が呼べない、目の前で犯罪が起きている、というような緊急性が高い時にいかに代替え手段を確保するか。
技術の進歩・発展は大いに結構ですが、それで全てが完璧・便利になるかというとちょっと違うような・・・

昔ならご近所さんの付き合いは濃厚で(それを嫌悪する人もいるでしょうけど)、インターネットなど無くても情報の共有はあった。
誰かが病で倒れても誰かが助けてくれたりしていました。
郵便受けに新聞が数日分溜まっていればすぐに気にしてくれていたりします。

しかし今は逆に個人で何でも出来てしまう世の中。近所付き合いなどほとんど無い・必要としないのが当たり前。
それでも通信が発達しているのに誰にも気付かれずに孤独死してしまう人も多いようです。
便利な世の中と思うか不便と思うか。

普段便利だと思っているところに落とし穴がある。
フードデリバリーが便利と思っていたのが通信障害が起きただけで注文もできないし配達員も収入を失う。
現金を持ち歩かないのが便利?突然カードや電子決済が使えなくなったら?

有事の際に自分にはどんなバックアップが用意されているか考えたことがありますか?
地震やコロナが有事と思っていたら甘い甘い。
普段利用している手段が使えなくなったら、それは貴方にとっての「有事」です。

今の仕事を突然失っても食っていける状態を作っておく。
突然病気になっても生活を保っていける方法を考えておく。
誰かの手助けが無くても、危機管理は必ず自分を救うのです。

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