団栗の背比べ
軽運送業は普通自動車免許があれば老若男女、誰でもできる仕事です。
しかしそのハードルの低さからか、取り立てて目標もなく志低く日々流している人も数多くいる世界だと感じています。
まだまだ若いのに、体力あるのに、稼がなきゃいけない切羽詰まった理由があるのに、自分の可能性を広げようとしない。実にもったいない。
まあ仕事的にはやる事は用意されていて、指示通りに荷物を運んで届けてくるだけという単純作業ですからなかなか工夫を見い出せないのも事実。せいぜい配達順や走行コースを考えいかに時間短縮できるかというぐらい。しかしせっかく時間を短縮できたからといって、その生み出した時間を有効に活用できているかというとどうでしょう?
しかしそれはひと昔前までの軽運送業のポピュラーな姿。
今はかなり柔軟な働き方ができる時代になっています。この10年間でかなり様変わりしてきたなと感じています。一つの元請けや企業の下で忠誠を誓うような働き方から、複数の請負先を持ちリアルタイムに発生してくる案件から現在の状況に応じて仕事を選択し、労働対価の良い仕事をこなしていく。
このスタイルは宅配や商業貨物のような最初に1日の仕事量有りきとは違って、エリアの狭いスポット・チャーターという働き方。以前ならスポット・チャーター仕事は待機時間が長いとか仕事にありつけるか不透明というデメリットな部分が大きかったが、ネット社会の発展により複数の依頼主の情報をどこでも得られるため、待機時間に近場で発生した別の案件の配送に使うといった、更にニッチな働き方を追求できたりする。
まだこういう働き方をしている者はさほど多くないため、案件は選択できるほど潤沢にある。宅配や商業貨物と違って割に合わないと思った仕事はスルーしておけばよいし、最近はウーバーイーツのような車を使わなくても出来る運送仕事形態も出て来たため、参入ハードルは更に低くなっている。
こうなってくると情報弱者はますます取り残されていく。若者たちは次々と発生している配送案件から条件の良いものを選択し無駄の少ない働き方を可能にしていく。当然労働対価も既存の働き方をしているドライバーより数段良い。早朝から夜遅くまで必死に働いても、日中だけ条件の良い仕事だけ請け負える要領の良い働き方にはかなわない時代が来てしまっているのです。もしかしたらそんなことも知らずに旧態依然の働き方をしているドライバーさんも大勢いるのでしょうね。そういう人はAIとか自動運転とかで運送の世界が変わる姿も全くイメージできずに他人事なのでしょう。
昨日のブログでひと昔前はネット上に軽運送業を否定するような情報が氾濫していたと書きました。その原因は軽運送業に満足・稼げている人はいちいちネットに書き込みなどしてこないということ。
上手くいかなかった人やドライバー職を底辺の仕事と見下している人が書き込んでくるのですから、そこに成功例を見ることは困難。
しかし現在は様々な働き方が紹介されている。情報を操り稼げる者が積極的にOUTPUTしてくれている。昔とは違い、今は成功している者・稼いでいる者が前向きな情報を提供してくれている。さすがにこういう状況になると愚痴嫌味を書いてくるような人は恥ずかしい。自分の工夫不足・努力不足をわざわざ何かの責任に転嫁している姿は哀れに映る。
ドライバー歴30年の者が、ドライバー歴初年の20代30代に収入で大きく見劣りしてしまう現実をどう考えるか。
ドライバー職に限らずこれまでは経験が大きくものを言ってきた仕事も、情報と既成概念に囚われない働き方に移り変わっていく。これまでは団栗の背比べで切磋琢磨・競い合っていたものが、いきなり出現した経験の浅い者に駆逐されていくような世界がもうすぐそこまで来ている。
大企業による大量の早期退職募集が後を絶たないが、もう大量に人員を切っても会社はやっていける仕組みが出来つつある。時代の進歩が平凡な能力の者を必要としなくなっている怖い世界に気付き、自分が生き残っていく術を見つけていかないと。30代40代はこのままでは人生を逃げきれないと思います。
周囲の人と背比べしている場合ではない。運命の時はいきなり現れる。