なぜ軽運送業はやめとけと言われるのか?
軽運送業って稼げる仕事ってイメージはありますか?
私が軽運送業を始めた10年以上前の世界観においては、軽運送業というのは稼げないというのが定説とされていました。
今ではあまり見かけなくなりましたが、以前は軽運送業を始めるのに車を購入させられたり、豊富な案件があることを匂わすだけで会費だけ搾取するような悪徳業者がいくつもあって、いいように食い散らかされるイメージが蔓延しており、ネット上ではそういう体験談やら噂・都市伝説の類で溢れかえっておりました。
こういう状況においては、軽運送業に興味を持ったり開業しようと思って検索したりしても、悪い話しか出て来ませんので諦めてしまった方も多かったのだろうと思われます。私が開業しようとした時でも周囲の人達に「やめとけ」と言われた事を今でも鮮明に覚えております。
軽運送業を経験した者もした事がない者もこぞって反対する仕事ってある意味凄いな(笑)
どうして皆が「稼げないよ・やめとけ」と言いたくなるのか。
まず収入の仕組みが完全出来高制であることが原因の一つ。不動産の世界にもよくある「フルコミッション」と呼ばれる報酬制ですが、会社員のように仕事してもしなくてもお給料が貰える立場からすると、働いても収入ゼロという可能性は考えられない・有り得ないという感覚なのでしょう。しかも概ね 低単価×配達個数 というイメージで見られる仕事ですから、そこそこの収入を作るのに長時間労働が必要になるのは明らか(一般的な宅配の場合。本当は仕事内容によって報酬もいろいろあるのですけどね)。
次に、元請けに中間搾取されるビジネスというイメージ。会社員の給料だってある意味中間搾取されているようなものですが、元請けという搾取する悪玉キャラがハッキリしている分、その下で請けている者が損する気持ちになるのは本当です。荷主から元請けに入る金額とか知ってしまうと働いているのがバカバカしくなるのは仕方がないかも(だから最初は皆、元請けになることを目指すのですけど)。
そして経費の問題。ガソリン価格が乱高下するのは一般市民にも痛手となるのですから、ガソリンで仕事するのは利益出ないだろうと容易に想像できてしまう。ガソリン以外にも車両維持費やら事業用保険やらで普通の会社員には無い経費を考えると稼げるイメージにはなりませんよね。50万売り上げてもガソリン代やらの経費と年金保険料引いたら手元に25万とかだったら、長時間労働の結果がこれでは悲しすぎます。
そして体調を崩したり車が故障した時は仕事できないでしょ?=その日は収入ゼロ。しかも代行者を自分で探せとか無茶なルールを押し付けられることもある。代行者を用意できるぐらいなら元請けになれますぜ。
●そもそもの請負金額が安い
●中間搾取される
●経費がかかる
●休みにくい
こういう問題点に工夫できない・向き合えない人は辞めていきます。
辞めていく人が多いから世間の評価はまた厳しいものになる。
最近は軽運送業にもいろいろな働き方が出てきており、YouTubeでも軽ドライバーさんが面白い働き方を多数発信してくれているので、私も参考にさせてもらっています。これまでの常識だったどこかの元請けの下について、その仕事だけ朝から晩までという働き方ではなく、いろいろな事業者に登録し常に仕事情報をキャッチしながら隙間時間を埋めていくようなスタイルが出来るようになってきている。軽運送の仕事だけでもあらゆる角度・切り口から報酬を得ることが出来る時代になっているのです。
こうなると、仕事がないとか元請けが悪いとかというような言い訳は通用しなくなる。一つの元請けにしがみついているような働き方は会社員と同じ。1日の中で2つ3つと選んだ仕事をこなしそこで2~3万円を売上げ、さらに待機時間・休憩時間に動画編集したりブログ書いたりして時間を無駄にせず別収入を生み出している軽ドライバーさんは、立派な近未来的軽ドライバーの姿と言えるでしょう。
こういう個性的に働き方を創っている軽ドライバーが増えてくると世間の評価も変わってきます。「何か面白そうやな」「そういう稼ぎ方ができるんかい!」と興味も湧くし日収2~3万稼げればもはや稼げない仕事とは言えないでしょう。
YouTubeで軽運送業を発信している彼らは仕事を選択しています。しかも毎日。割に合わない仕事は請けないで条件の良い仕事をチョイスして売り上げを作っています。その部分においては私と似ている。私も割に合わない部分を削ぎ落として今の複業となっている。100個以上の荷物を朝から晩まで必死に配達しそれでも2万に届かないような働き方を見れば「やめとけ」と言いたくもなる。同じ軽運送でも自分の納得いく仕事だけして2~3万稼げる働き方は相当面白い世界だと思いますけどねぇ。