ドライバーの再現性

再現性が高ければ効率は向上、収入も時間も余裕 のはず?

今年も物流・運送業界では年間の中での大繁忙期を迎えようとしています。
物流・運送の世界だけではなく多くの業界が忙しくなる時期なのですが、まあ何故かと言えば一般的に1年の区切りを12月としているからでしょう。
例えば年の区切りを6月にしていたなら、繁忙期は5月~6月となっていたかもしれません。
日本では年度末という形で3月末を期限にした事業年度サイクルがありますが、これは国によっていろいろと違ってくるようです。

事業年度は大体は行政や学校などで昔から用いられているサイクルで、卒業・入学が3月と4月になっていることを不思議に思わない人も多いですね。
事業年度の考え方が身近に感じられるのは、毎年2月3月頃に道路工事が急に増えること。
気付かれました?

行政では年間予算というものが毎年決められるのですが、与えられた予算をその年度内で消化できないと翌年度の予算を削られる可能性が高くなる。
つまり「使いきれない予算を与えちゃったから次年度は減らすよ!」ということ。

これ、私達のお小遣いで考えてみるとそのヤバさがよくわかる。
「今月使い切れていないんだからこんなにいらないよね?来月からは2割減らしとくね!」という感じ。

ヤバい、今週中に使い切らないと!

実際余裕があるお小遣いだったとしても減らされたくはないですよねぇ。
だとしたら満額使い切るように欲しくもない物を購入するなど調整して、「これぐらいは無いと困る」とアピールしますよね?(笑)
年度末になると道路工事が増えるのは、なんとか予算を消化して次年度の予算編成にアピールするための駆け込み対策の一環なんです。

工事の内容をよく考察すると「それって今必要?」みたいなものが多い。
「地震に強い水道管に変えています」とか、あれ?去年もここで同じことやっていなかったっけ?
実は去年も同じ場所で「地震に強いガス管に変えています」なんてことやっていたりする。
同じ場所の道路ほじくり返すならいっぺんにやれよ!と庶民感覚なら思うのが普通では?

カレンダー上の1年間と事業年度上の1年間という2つのサイクルが存在するためにややこしいこともありますが、まあサイクルごとに見事に行事や慣習というのは再現性があると言えましょう。
逆に言えば再現性があることによって楽することが出来る部分も多い。
毎年〇〇月のイベントはこの場所を抑えておけばいいよね、これを用意すればいいよね。といった具合。

これが年毎に開催月が変わったりするだけでもう大変。
四季のある日本では服装や旬なものも開催のタイミングで考えなければいけなくなる。
毎度使い回していた小道具が次回は使えなかったり、人員確保が難しくなったり、その都度準備・考え直すというのは面倒ですよねぇ。
だからシステムという形に落とし込むのが効率的なんです。無味乾燥になったとしても。
運動会は10月ね!道路工事は2月3月ね!みたいに。

次のハロウィンは春になるかも?ってなったら・・・

再現性というワードがよく使われるようになったのは、効率重視の社会になってきたから。
再利用やSDGsというのも似たようなコンセプトになりそうですね。
無駄を省いて一貫性を持つ。面白味はないですがエコ意識と時間を創造するには必要な考え方でしょうか。

これはドライバーという職業にはかなり当てはまる。
常に時間に追われている仕事では、いかに無駄を省き業務を遂行するかが求められる。

例えば同じ目的地に行くのでも毎回ルートを変えてみたり出発時間を変えてみたりなんてことは出来ないでしょう。
行楽目的のドライブであればたまには行ったことのないルートを通ってみようとか、夜間は空いているからとか創意工夫の余地は多々ありますけど、仕事・看板を背負っているドライバーは工夫はすれど創意の入り込む余地がない。
極端な再現性の中で生きている。前回と同じ時間に同じ場所へ運べ!と。

ドライバー職の中でも時間の余裕があればそこに創意の部分が生まれてくる。営業してみるとか別のルートを走ってみるとか。
しかし残念ながら社員ドライバーは喫煙時間が長くなったり無駄話したりと、再現性は広がらない方向に流れる者は多い。
社員とフリーの違いがこういう時間の使い方に如実に表れたりします。

軽貨物の車種の自由化!雪国ではオフロード車で再現性UP?

宅配ドライバーは同じエリアで固定されれば再現性は高くなるでしょう。
道を覚えるしリピート先なら不在時間も覚えるし効率の良い配達順も身につくし。
しかし何故かエリア固定せず、ちょこちょこ配達エリアを変えられたりする。ドライバー不足も影響しているのかもしれません。

不慣れなエリアでは毎回地図とにらめっこしたり配達先の事情も車を停められる場所もわからないなんて、非効率的この上ない。
Amazonのセンターに出向いて請ける仕事にはそこで初めて当日の配達エリアを知るというパターンが多いと聞く。
私はジャンルは違いますがエリア固定で法人相手なので不在・再配達は極端に少なく再現性が極めて高い環境にいることに改めて感謝したいですな。
ドライバーには再現性高く仕事をして欲しいと切に願う。

自分の再現性を反映できる仕事・働き方って何?

さて、仕事の上での再現性の大事さはご理解いただけたと思うのですが、もう一つ大事なこと。
それは現在の仕事を辞めた時、次のステージでの再現性がどうなっていくかということ。

実際、ドライバーを辞めた人の次の働き場はやはりドライバーという人は非常に多い。
これ経験上不動産の仕事にも言えることで、やはりスキルをある程度身につけると「次の仕事も同じ職で」と考えるのは普通なのでしょう。
ただその場合に再現性が活かせる環境かどうかというのは見落としがち。
何かドライバーの転職って根本的に「再現性をどう活かせるか」という部分が欠如しているように感じます。

前職より待遇が良いという求人の額面上が重視されがちで、移ってみたはいいけれど「思ってたのとは違う!」と文句を言うのは何故だろう?
それは貴方の再現性が発揮できない環境だから。
自分がやりたいこと・できることと転職先の中身は求人の内容からは読み取れない。
ドライバーのノウハウは理解できているつもりでも、再現性の部分での差は結構居心地に大きく影響する。

単に給料が前職より良さそうとか労働時間が短そうということではなく、自分が気持ちよく仕事できるかどうかというのは実際に働いてみないとわからない。
求人や面接では絶対に労働者にマイナスなことなんて教えてくれません。
前職はカーナビ頼りに走れていたものが転職先ではカーナビなし。しかも納品先も他県やら毎回違う場所に行かされるとなったら当分の間はストレスはあるでしょう。

ノルマのために自分の再現性を高めるのはちと違う

ドライバーの退職・転職が相次ぐのは、次々と襲い掛かる自分の再現性を妨げる障害に耐えられないから。
自分の思い描く理想のドライバー像は雇用されることを望むならまず叶わない。
自分の理想は捨て、相手のルール下で創意なき再現性を淡々と進めていくだけ。
どこに転職しても明確な自分の再現性がわかっていなければ、ノルマと割に合わない賃金に押しつぶされることを繰り返す。

ノルマって自分の再現性を超えたところで働かされることと定義すればわかりやすいかな?

貴方の再現性とは何ですか?
もしかしたら今とは全く違う仕事・働き方をしたらそれが活かされるのではないか?

自分の再現性の創意工夫を高めることが、近未来的軽ドライバーへの道筋の一つなのだと思うのです。

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