ドライバーの敵

この時期、朝から道路は混雑気味。ただでさえ荷物が増えその日の配送を消化できるかどうかという瀬戸際なのに、車も仕事も全然前に進みません。が、そんな事情は会社や荷主、受取人には通用しません。

今週・来週はドライバーのストレスはピークとなることでしょう。

そんなストレスだらけのドライバーを察知するがごとく、今月は各地で交通事故防止運動が展開されています。今週はホントにパトカー・白バイがあちらこちらに出没しており、捕まっていた車もよく見かけました。焦る気持ちをグッと抑えて安全運転安全運転! それがまたドライバーのストレスとなるんですな ^^;

 

ドライバーの敵・味方というのは何だろう?

要はストレスと感じるものが敵であり、自分に利をもたらすものは味方。まあ当たり前か。そんな中でも全国共通してドライバーが敵と感じているのは「警察」と言えるでしょう。私も何度かお世話になりましたし(憎) 視界に白バイやパトカーが映ると自然に血圧が上がったり動機が激しくなったり・・・  きっとドライバーのDNAには警察=敵と刷り込まれていて、運転中の心筋梗塞とか脳卒中とか動脈瘤破裂とかは皆、「敵」を発見してDNAが騒ぎ出し、ストレス度が一気に上がるからではないかと思ったりして。

運転中以外でも、納品のために路駐してちょっと車を離れている時にも、何故か「敵」は臭い(違反行為)を嗅ぎつけてやってくる。別に警察が悪い事をしているわけではなく、単に腹立たしいだけ(笑) 相手をそう考えてしまうのは「敵」というのは自分の心の中で創り上げられる産物なのかも知れません。警察も時と場合によっては味方にもなり得るわけですから。でも滅多に味方と思ったことはありませんが。

 

私は今は会社員ではないので、マルチワークしていても各職場においてストレスというのはほぼ感じない。上司もなければ同僚もいないので人間関係のストレスもない。敵もいなければ味方もいないというのは気楽でもあり刺激もない。ところが一緒に仕事をしている運送会社の会社員トラックドライバーを観察していると、結構仲間同士でも確執があり、露骨にいがみ合っている関係が見受けられる。

まあ大人しく相手の言うことを聞くような方々ではありませんから(笑)、自分と違う考え方の人間は「敵」としてピリピリしているのがよくわかる。表面的には職場の同僚として接しているようで、決して心許していない。そういう本音が繁忙期になると正体を現す。時には胸ぐら掴みあって言い争いしてたりしますから。

 

20年以上営業畑で過ごしてきた私から見ると、職業上のドライバーというのは対人機会が少ないなぁと感じるし、もともとコミュニケーションが面倒でこの世界に入ってくる人も多いみたいだし、自分とタイプの違う人間との関わり方が慣れていないのも、人間関係でのストレスを生みやすい原因かも知れません。現場とホワイトカラーとの対立なんかは、運送業だけでなくガテン系の業界全てにおいてよく聞く問題のようですから。

売上げ重視で数字を作るために中身構わず取ってくる仕事は、現場からしてみれば納期は厳しいは賃金に反映されないはで、そこに対立は生まれやすい。現場が軽視されていると感じるのもわかる。その敵意の延長上にはクライアントの姿もある。運送業におけるクライアントの多くは荷主ということになりますが、この業界はどこを向いて仕事をしているかというと、会社的には荷主を神様として絶対服従し、ドライバーは納品先に対して一生懸命という図式となる。会社と現場では接している相手が違うということもあるが、向いている方向が真逆に仕事しているから組織の中での意思疎通ができていないのが大きな問題と感じる。

 

警察を敵とするのはわかりやすいが、ドライバーの本当の敵というのは「心の葛藤」というストレスなのだと思う。物を運ぶ仕事なので体力や時間という問題は第三者にもわかりやすいが、実際にはドライバーそれぞれが違ったストレスを抱えて仕事をしているし、そんなことは他の職業・仕事の世界でも当たり前なのかもしれませんが、法を順守すると仕事が成り立たないという業界で実際に作業をしてみれば、その異常な世界においてはドライバーの周囲は敵だらけである。法を犯さなければ生活が成り立たないという良心と現実の板挟みに加え、時間と体力との闘い、事故と隣り合わせの労働環境。この賃金水準でそこまでしてやる価値があるのだろうか?

ストレスは人生をも狂わせる。ドライバーの皆様、くれぐれもご自愛くださいませ。

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