不安定を安定に
運送仕事に従事する者にとっての一つの問題として、仕事量と収入の不安定さがあげられましょう。
俗に言う繁忙期と閑散期の荷量の違いが収入にも影響する。正社員ドライバーであれば月の収入はさほど変わらずに済むでしょうが、そういう賃金体系の場合はもともと給料額は低めに設定されているはず。
同じ仕事をしていても配達エリアによって荷量の違いはあるし、日によっても運・不運はある。宅配等では荷量以外でも配達先の不在の多少が収入に大きく影響する。仕事量・時間・収入・満足度は人によって大きく異なるのです。独立して完全出来高制にて仕事をするなら、毎月の仕事量と収入は大きく変動するものだと覚悟しておきたい。サラリーマン生活にどっぷり浸かっていた者が独立してぶつかる壁だと思います。
転職を躊躇する要因の一つが収入の変化への不安でしょう。社員⇒社員の転職であれば給料はある程度見込みがつくので、あとは仕事・職場への適性がどうなのかとなりますが、これはどんな仕事なのかは事前に調べているはずですから、社畜宣言した以上はお給料のため相手のルールに耐えるしかない。
完全出来高制の仕事、特に運送業の場合は荷量についてはドライバーレベルでは予測はつかない。繁忙期の12月であっても、驚くほど荷量の少ない日もあったりするし、閑散期でも繁忙期以上の荷量の日もある。こればかりは社員も委託もコントロールできない。なので仕事終了後のプライベートな予定を組みにくいということも敬遠されている遠因なのかも知れません。
軽運送業は末端の仕事ということで、どうも会社員ドライバーとフリーのドライバーの扱い方・考え方が一緒に論じられている風潮がありますが、大きな違いは自分で仕事を選べるか否かということを自覚していただきたい。目の前に出された料理を好き嫌い空腹満腹に関わらず平らげなければいけないのが社員、その時の状況によって好みと適量でチョイスできるのがフリー。なのに我慢・無理して労働対価の低い仕事に振り回され生活をないがしろにしている方も多い。なんのために社員を辞め独立したのか?
「オマエ生意気だな」「仕事をなめてる」とかいろいろ言われそうですが、そもそもフリーの立場はリスクと引き換えに自由にできるわけですから、もしフリーでも収入が保障されているならもちろん仕事に文句は言えません。何の保障もない立場ですからキチンと仕事・労働対価を精査して収入を高めていく方向に努力するのは当然です。単に忙しいだけで割に合わない仕事に振り回されているなら、軽運送業で長く食っていくのは難しいかもしれません。
精査・選択することで仕事量は減るかもしれません。が、稼げない労働時間の長い仕事に振り回されるのと、短時間で労働対価の高い仕事をするのでは結局は収入の可能性は後者にあるように思います。労働時間が少なければ、空いた時間を副業に使うことができる。例えば配達単価150円の仕事を1日12時間働いて100個配れたとすれば日収は15000円。そこから残りの時間でまだ働けますか?
一方で、5時間ほどで1万円になる仕事を選択すれば、1日はまだまだ長く使える。時給1000円の副業でも、総収入では労働対価の低い仕事に1日費やすより確実だし増やせる余地が十分にある。私の考え方はもちろん後者であり、現在も運送仕事の収入に左右されずに安定した収入を確保しております。
完全出来高制は仕事量が減れば時間が生まれます。ここをどう考え活かすかがポイント。空いた時間をフレキシブルに使って違う収入を創り出すことがフリーの立場の安定に繋がります。労働対価の低い仕事に縛られ副業すら出来ないことになれば、長時間できる仕事が安定と勘違いして低空飛行を続ける人生になってしまうかもしれません。
不安定だからこそできることを考え、安定に繋げていきましょう。近未来的軽ドライバーは自分で働き方を創っていける可能性をもっと自覚し活用していかなければ。