働き方の戦略と戦術 中高年はどう加齢と向き合っていくか?

目に見えて荷量が増えつつある11月の中旬です。

今年もこれからドライバーにとって大変な繁忙期を迎えます。
毎年同じように人手が足りず、人員の不足分を補うべく会社に貢献しても給料が上がらないということを続けていて、自分は確実に幸せに向かっていると感じているドライバーはどれぐらいいるのだろうか?

 

どのメディアを見ても運送業界が好待遇・好景気であるという記事は見たことが無い。
いや、ネット通販が好調で荷量は右肩上がりなことを好景気と呼ぶ他人事のような記事はある。
しかし本質がわかっていない。現場を知らない上っ面だけを切り取った報道に過ぎない。

 

業界トップのヤマト運輸の大赤字・人手不足が暗示するように、この業界・この仕事に就いていて良いのだろうか?と訝しがっているドライバーは多いでしょう。
もしトヨタ自動車が同様な状況に陥っていたら、自動車産業に関わっている者は不安になるに違いない。

上がらない賃金、減らない労働時間、使えない有給、と無い無いづくしが何年も続いているのに、そこに打つ手はないのか?
しかも今後は労働法の規制が厳格になっていく。これまで法を無視した長時間労働で無理やり賃金の体裁を整えてきた運送会社もいよいよ化けの皮が剥がれる時がくる。

従業員は賃金が上がらないどころではない。法の規制強化により労働時間は減っていく傾向になる反面、今の運送業のビジネスモデルではそれと比例するように賃金も減っていくのは誰にでもわかる。
それでも今の仕事にしがみついて生きていきたいなら後は自己責任。
「十数年会社に奉仕してきたのに収入はどんどん減っていきます。日本終わってますよね?」なんて嘆いてみても、誰が同情するであろうか?

若いうちはまだ脱出するチャンスは多くあるので、多少の失敗は今後の人生の糧とすれば良い。
しかし年齢を重ねるごとに選択肢はどんどん狭まっていく。
どの産業も人手不足が叫ばれているのに最近は30代半ばでも転職は厳しい。転職の決断を迫られる年齢はどんどん早まっている。

一方で会社に残るという決断をしたにもかかわらず、45歳リストラという事実が大企業を中心に増えてきています。さすがに45歳で会社から追い出されたら準備をしてこなかった者に選択肢はほとんど無い。
ブラック企業はそういう選択肢の無い者を蟻地獄のように待ち受け劣悪な環境・待遇で使い倒す。

なんでブラックで働くの?と普通の人は理解に苦しみますけど、追い込まれ選択肢を持たない人間はとりあえず収入になることをしなければ生きて行けない。

ブラック企業で働くことを生きて行くことと勘違いしてしまうのが恐ろしい。

 

どんな会社で働いていようが、今の時代は一寸先は闇である。ちょっと前までは高収入でエリート扱いされていた銀行員でさえ、今は最もリストラに怯える職種になっています。

良い会社に入れば後は定年まで穏やかな川の流れのように過ごせる時代は終わりました。
穏やかだった川も今はその面影さえなくなってしまった。
今年日本列島各地で直面した大雨や台風での河川の氾濫。普段は穏やかな仮面の裏にあるもう一つの川の姿を私達は見てしまいましたよね?
激流・濁流・逆流・・・  今は働くことがこのような環境の中で行われているのです。

防波堤(会社)が市民の生活を守れることにも限界があることを知りました。
その防波堤もあちこちにヒビが入り決壊寸前であることをいち早く察知した者は生き残れる。
防波堤は絶対と信じて疑わない者は運が良ければそのまま人生を全うできるかもしれません。
私達は防波堤を信じるか危険を感じてそこから離れるか。そういう選択を迫られている立場の人が多いのです。

 

加齢は仕方のないこと。人もモノも形あるものはいつかは衰えやがて無くなる運命。
しかし衰え方にもいろいろあります。野ざらしにしてただ朽ちていくのを待つのかメンテナンスを施し延命を図っていくのか。マンションの長期修繕計画などは後者の姿としてわかりやすいですね。

会社に残るにしろ他の生き方を探すにしろ、加齢とともに選択肢は狭まっていきます。中には素晴らしいキャリアを重ねることで選択肢がどんどん広がる方もいらっしゃいますが、あくまでも有能な方のごく一部に限られます。

 

では特別な能力のない中高年は自分の身を守るために何をすれば良いのでしょうか?

会社員の立場では今の環境から出ていくことを普段から真剣に考える事は難しいでしょうね。
すでに自営業やフリーランスの方は割と危機意識を持っているのでいろいろなシミュレーションを考えた事はあると思います。

同じ年齢でもこのように行動する上でのスタートラインが違っています。
そのギャップを埋めるためにも現在の年齢と将来像はしっかり把握しておくことです。
最終的に自分はどうなっていたいのか?死ぬまで働きたいのか早期リタイアしたいのか、将来像がハッキリしてくればそこから現在の年齢までを逆算して、中長期的な戦略を立てることができます。

戦略は早く立てれば立てるほど有利になるのは言うまでもありません。選択肢が多いから。
その戦略の中において今現在の自分に何ができるのか?その戦術を常に考える習慣を身に付けたい。
すぐに実行しないまでも常に戦術をシミュレーションすることで、有事の際にすぐに行動に移せます。

戦術も年齢によってできることできないことがあります。
20代から30代への心身の変化と、40代から50代への心身の変化は全く違います。これは実際に経験した立場で強くアドバイスできる部分です。20代30代の時に普通に出来たことが50代になると嘘のように思うようにいかなくなります。
あのイチロー氏でさえ目標の50歳現役のはるか手前で断念したように。

 

長く働いていくのであれば一つの職場・働き方に固執し居続けるより、年齢・その時の自分のコンディションに応じて働き方を変えるというのも一つの方法。
転職・どこかに雇用されることが働くことの全てになってはますます選択肢は少なくなる。
中高年が煙たがられる中途採用より、自由に活動できるフリーランスが正解であったりする。
いろいろな可能性・選択肢を持てるような自分を創っていくことで人生が開かれることもある。

自分にとっての危機とは何か?
それはいつ訪れそうか?
訪れてしまった時では遅いと考え、先手先手を打って加齢と闘っていきましょう!
ジリ貧の人生を黙って待っているのは悲しすぎます。

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