人手不足を逆手に取る
どの業界も人手不足が騒がれておりますが、中でも深刻なのが物流の根幹を担うドライバー職。
実際に現場に立ってみてこれほどまでに高年齢層に偏っている職種もなかなか無い。現役が引退していく数年後はどうなってしまうのか。消費者にもその影響は計り知れないことになる。
こんな話を耳にすると、軽ドライバーという世界も怪しく感じてしまう人は多いでしょう。興味を持っている人の数に比べて実際に開業してくる人の数が少なすぎるのが現状。会社員を安定、独立・個人事業主を不安定と考える人が多数ですから、まあ仕方がないか。
トラックドライバーの厳しい環境というのは YouTube でも多数紹介されていますし、わざわざ会社員を辞めてまでやろうと思う人はほぼいないでしょう。それでも何とか応募してくる者がいるのはどういう理由か?
軽運送業も含めてドライバー職というのは、正社員だろうと非正規だろうと始めるのは容易。最低限のスキルは普通自動車免許というハードルの低さ。もちろん大型や特殊免許が必要な仕事もあるが、後で取得することを前提にとりあえず採用されることも珍しくない。他の業種だと専門的な資格は取得していることが採用前提になるが、とにかく人が来ない職種であり何とか人材を囲み込んでおきたいという止むに止まれぬ事情を抱えているのは、同じく人手不足の介護の求人にも言えている。最近は無資格・未経験でも採用されるケースが多いようです。
昨日も少々触れましたが、トラックドライバーの「質」の問題。格別やりたいわけでもなく他に仕事がない・採用されないというネガティブな理由で仕方なくドライバー職を選択してくる人が多い。ドライバーという仕事に誇りを持って関わっている人が少なくなって来ているのが「質」を落としている大きな原因ではないだろうか?まあ待遇・労働環境が悪いところへ意識低い人が流れてくれば悪循環は止まらない。「質」の向上には社会全体が安心して働ける仕組みと環境が必要ではないだろうか?
労働意欲の低下が蔓延って生産性が落ちてくれば日本経済の死活問題になる。
同じドライバー職でも軽ドライバーがまだ救われると思うのは、自分の力で待遇や環境を切り開けるから。社員トラックドライバーは時間も収入もルールも会社にガチガチに縛られるのでどうにもならないが、フリーの軽ドライバーは仕事をチョイスできる強みがある。稼ぎたければそういう仕事をすれば良いし、時間に縛られたくなければそれなりの仕事・働き方はいくらでもある。副業だって自由だし、自分が望む働き方が実現できる可能性という意味では理想的な職だと思います。
ただしそんな軽ドライバーでも会社員と同じように時間に拘束され収入が硬直化した働き方を余儀なくされている人もいる。それを安定と感じ、何の不満もなければそれも一つの軽ドライバーの成功例だし、下手な転職をするよりよっぽど恵まれているはず。トラックドライバーだって世間から見れば過酷な環境かも知れないが、本人には1日の大部分を他人と関わることなく働ける仕事は天職と思っておられる方もいるでしょう。第三者から見た感想と当事者の感じる温度差はあるようでない?
人手不足は働く側にとっては諸刃の剣。
求人側の足元を見て労働者有利な条件を導き出したり選択肢が増えるメリットがある。一方で現場にいる者にとっては賃金変わらず何人分もの作業を強いられたりしてブラックな労働環境が生まれている。同じような仕事でも会社や職場が違うだけで全然違う待遇になる危険性を孕んでいる。
フリーの立場であるからこそ、そこの見極めをしっかりできるかどうかでその後の快適さが変わって来る。どうせなら人手不足を逆手にとるようなことを考えて行きたいですね。せっかくフリーの立場なのだからそういうことを活かさないと。
働き方改革を実現していく上で、選択という運命のボールは自分の手の中にある。そのボールをどこへ投げるのか。人手不足の現在においてはそのボールを受け取ろうとしてくれている人がいる。自分の意志で投げる方向を決めることができることを忘れてはいけない。そして投げる相手を間違ってはいけない。