崩壊寸前のヤマト運輸、また失策か?
どこで歯車が狂ったのだろうか?
悪手が続く運送業界の雄、ヤマト運輸の迷走がなかなか止まらない。
良かれ(?)と思って出す策がことごとく空回りし、現場は振り回されるだけ。
社会情勢に関わらず売上の数字ばかりを追うだけで現場を思いやらず、思い付きで労働力を増減し運賃も上げ下げを繰り返す。
まさに「骨折り損のくたびれ儲け」を地で行く暴走運送会社に、市場は正直に反応し株価は綺麗な右肩下がりを続けている。
株主にとってはたまらないだろうなぁ。
子供でもわかりそうな「やってはいけないこと」を次々と打ち出してくる。
この会社にはまともなコンサルタントはいないのか?
現場も「これはおかしいだろ?」と思っていながら従い続けるのもどうなのだろう。
おかしな船長と一緒に船が沈むのを待つぐらいなら、そこから逃げ出すことは恥ずかしいことではない。
職場放棄と人生を放棄するのとどちらがマシか。
ヤマト運輸が世間を騒がせ始めた頃からの主な問題をざっとまとめてみた。
年月 | 内容 | 詳細 |
---|---|---|
2013年 | 残業代未払い問題の長期間放置 | 従業員の過剰労働を把握しながら、改善を怠った結果、未払い残業代問題が表面化し、多額の支払いと信頼失墜に繋がった。 |
2017年 | 労働力不足を軽視し配達件数を過大に設定 | 配送需要の増加に対応するリソースを適切に拡充せず、過剰なノルマが課されたことで従業員の負担が増加。 |
2018年 | 配達コスト増加を理由にした送料値上げの不透明性 | 値上げが顧客に理解されず、不満が広がり市場シェアの一部を競合に奪われた。 |
2023年 | 日本郵政グループとの協業 | 「クロネコDM便」を「クロネコゆうメール」に、「ネコポス」を「クロネコゆうパケット」に変えヤマトは集荷のみ行い、配達業務を日本郵便に委託する仕組み。予想通り日本郵政の現場は大混乱。 |
2023年 | 個人事業主・クロネコメイト等3万人規模の契約終了 | 以前から問題視されていた労働者を軽んじる企業体質は変わらず。結果、現場の人手不足は加速し社員にも退職が相次ぐ。 |
これ以降も2024年問題に絡んで運送業界ではいろいろな問題が炙り出されている。
特に労働時間の上限が明確になったことで、法を順守すれば仕事が回らないという変なビジネスモデルが横行している運送会社の廃業・倒産が増えている。
ヤマト運輸も現場には無茶な指示がまかり通っていることがSNS等で晒され、過去に未払い残業金問題で叩かれているのに一向に労働環境が改善されていないことが問題となっている。
今年(2024年)1月には協力会社に対して長時間の荷待ちや契約にない業務をさせたこと、運賃を不当に据え置いたこと、過積載の運行の指示、そのほか無理な運行依頼など複数にわたる法令違反につながる行為があったとして国土交通省はヤマト運輸など2社に対し、貨物自動車運送事業法に基づく「勧告」をした。
下請けいじめがいまだに業界を代表する大企業によって行われていることが嘆かわしい。
自社の労働者に対してだけでなく、協力会社に対しても立場を利用した悪質なハラスメント行為。
ヤマト運輸だけではないが襟を正そうとしない企業体質は経営者に問題があるからなのか?
まさにやりたい放題に振舞っているヤマト運輸が今度は「Yahoo!ストア向け フルフィルメントサービス」の終了を突然発表した。
「Yahoo!ストア向け フルフィルメントサービス」というのは、AmazonのFBA(フルフィルメント by Amazon)とよく似たサービス。
FBAは、Amazonの販売事業者様が商品の配送をAmazonに委託できるようにするサービスのこと。
ヤマト運輸も真似してヤマト運輸の物流拠点に事業者様の商品を保管し、入庫以後の各作業をヤマト運輸が代行する「在庫型倉庫」サービスを展開していたが、思い付きで始めたサービスもたった4年半ほどで「やっぱりやーめた」となった。
たぶんYahoo!ストアの事業者に対して執拗にサービスを勧めて来たと思われるが、サービスを信用して利用始めた途端に終了のお知らせとか喰らったらそりゃぁ事業者は怒るわな。
しかも商品を預かる際の送料は事業者負担で、サービス終了後のヤマト側からの商品返却の際の送料は着払いらしい。
サービス以降に倉庫に商品が残っていた場合は保管料が発生するとか、釣った魚にゃ餌はやらねぇみたいな扱いにヤマト運輸の企業体質の神髄を見た気がしますね。
ホントに労働者や協力者に対する扱いが酷すぎますね。
勝手に始めて勝手にやめる。
このシステムを構築するのにいくらかかった?いくら赤字になった?
現場を疲労させても経営側は誰も責任を取らない。しかし相変わらず「荷物取ってこい」の一点張り。
ちゃんと収入は下がり続けているらしいし、かといって労働が楽になるわけでもない。
よくもまあこんな会社・こんな現場で働き続けるよなぁ。
電通の過労自殺事件で過酷な労働が明らかになって以来、「ブラック企業」という言葉が一般的に使われるようになった。
そもそも「ブラック企業」の定義とは何なのか?
厚生労働省の見解によると、定義はしていないが一般的な特徴として
- 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
- 賃金不払残業や、いじめ・嫌がらせ等のパワーハラスメントが横行する等、企業全体のコンプライアンス意識が低い
- 労働者に対し過度の選別を行う
などがあげられている。
過度の選別とは大量雇用大量解雇みたいな一方的な方針ということか。
運賃の値上げ・値下げも頻繁に行われることなども過度の選別に含まれるのだろうか?
定義的にはヤマト運輸はまさに「ブラック企業」と言えそうですね。
こんなブレにブレまくっているヤマト運輸からこんなチラシが来たよ。
改めてヤマト運輸のサービスの基本的なものが掲載されている。初心に戻ろうというのか。
単なる値引きはやめて条件付き割引サービスに移行しようとしているようだが、まあ方向性としては少しマシな感じにはなりそうだが果たして数十円程度のお得でわざわざ余計に荷物を出そうとするだろうか?
クロネコメンバー割 10%
クロネコメンバー割BIG 15% BIGって何だ?
にゃんPay 12% にゃんPayも知らんぞ?
頻繁に荷物出す人なら有難いサービスになるかも知れないが、低迷ヤマトの打開策となるか注目ですな。
個人的にはヤマト運輸の会社は好きではないが、ドライバーさん達には好感しかない。
先週は久々のパソコン購入でどの配送業者になるか不安でした。商品的にコンビニ受け取りができないし置き配も無理。
希望の時間帯内でヤマトのドライバーが早めに届けてくれて有難かった。
態度の悪そうなバイトのドライバーでなくてホントに良かった。
「お前に言われたくねぇよ!」と怒られそう。(/ω\)⇐元軽貨物ドライバー
ヤマト運輸がおかしくなり始めた一つの要因として、Amazon Japanの副社長で物流部門のナンバー2だった鹿妻明弘氏を専務執行役員として招聘したことも取り沙汰されている。
日本の物流を乗っ取ろうかという大企業から送り込まれた刺客みたいなドラマチックな人事。
ヤマトはAmazonの内部を良く知る者を利用するのか、それとも利用されるのか。
先述の「フルフィルメントサービスの終了」だって、この元Amazon Japan副社長だった新役員が「AmazonのFBAのサービスは素晴らしいからヤマトも真似した方がいいよ」と入れ知恵したかもしれないし、「古臭い体質の日本企業で外資仕込みの二番煎じのサービスは機能しない」とわかったら責任取るのが嫌でこっそりやめとこうとなったのかもしれない。
日本のトップ企業がよそ者に振り回され衰退していく・・・
つい先日の「フナイ電機」の二の舞を想像してしまうのは私だけだろうか?
ボロボロになりつつある巨艦ヤマトはどこへ向かうのか。
イスカンダルか、はたまた海底深く眠らせてしまうのか。
まずは今年度の最終決算を見てのお楽しみとしたい。