忙しさの違い

昭和の時代から働いていた人間としての個人的感想ですが、昭和の時代の忙しさと平成の時代の忙しさには何か本質的な違いがあるような気がいたします。

人間が人間らしく忙しくしていた時代と、技術革新によるスピード感に人間が追い込まれている忙しさとでも言いましょうか、主役が変わったように感じるのです。

 

きっとこれからの時代も人間が置いていかれるような忙しさの感覚に拍車がかかっていくのでしょう。「人余り・人員整理」と「人手不足」という矛盾を抱えながら、果たして人類は正しい方向に歩みを進めているのだろうか?AIの判断を唯一無二と仰ぎ人間の存在感を希薄なものとする社会に幸せを感じる事ができるであろうか?

 

子供の頃に読んだSF小説等には未来の世界がよく描かれていたのですが、その世界観には今私たちが直面しているような慌ただしい社会ではなくもっと文明が発達し理路整然とした社会をイメージさせてくれていました。人は生活のために働くというのではなく、一人一人がきちんと役割を持って暮らしているものだと思っていたのです。宇宙人が攻撃してくるとかそういう部分はまた別ですよ(笑)

50年以上前に書かれていたSF小説による未来像と現在とでは、ある部分は似て来ているような、それでいてやっぱり全然違うような、この表現し難い微妙なニュアンスは実際にいろいろとSF小説を読んでみればわかっていただけると思います。人工的な創造物の進化・発展に比べて、人類の生活の豊かさみたいなものは小説に描かれているような進化はしていないのではないか?と。

ハードな部分にソフトがついていけてない。わかりやすく言うならゲーム機本体がどんどん進化し新製品が次々と生まれているのに、肝心のゲームソフトがなかなか出てこない。ゲーム機本体の持つ機能を満たす面白さのソフトがないままに本体ばかりが進化していく構図。そんな社会になってしまっているような感じがしませんか?

確かにいろいろと便利な時代にはなって来ているとは思いますよ。ただ便利さばかりが強調されてしまって、肝心の便利さを皆が共有できるような感じではない。便利の数だけその裏で苦しむ人が生まれているような仕組みはいかがなものか?最近のコンビニの在り方などを見て、皆がその事に気付き出したのではなかろうか?

 

冒頭で「忙しさ」について触れましたけど、一体何のために忙しくしているのか?誰のために忙しくさせられているのか?を理解・納得して働いている人がどれくらいいるのだろうか。コンピューターが弾き出したスケジュール・納期に人間が無理やり合わせて動かされていけば心身ともに無理が出るに決まっている。機械が出来る100%の仕事と人間が出来る100%の仕事は違うのです。そこがわかっていないから働かされている方は理不尽に感じたりストレスが溜まったりしていくのでしょう。携帯電話やパソコンなど無かったアナログ的な昭和の時代の忙しさは、人間の出来る100%の範囲で収まっていたと思う。仕事がキツくてもどこかに人間味があって救われる部分があったし達成感もあった。人間が評価してくれる事が嬉しかった。

しかしイマドキの仕事は人間の能力よりデジタルのスピード感が標準であり、そこに到達できない者は人員整理の対象になる。企業の規模が大きくなるほど競争に晒される。良い会社に入れたから幸せと思える時代では無くなっている。
「競争は当たり前だし能力の足りてない者が去る運命なのは当然だろ?」と言う人もいるでしょう。別にその意見が間違っているとは思わないが、そんなピリピリした環境で働くことを小市民な私は幸せと思わない。

20代の頃は4日間家に帰れなかったぐらいの忙しさも経験したし、終電で帰れずホテル代とタクシー代で月に20万ぐらいかかった時もあった(もちろん経費扱いです)。今思えば労働時間的には過労死レベルだったしよくそんな仕事してたなと。当時は携帯電話もパソコンも無いので、書類をデータで送るとか出来ませんからバイク便が重宝していたのです。時間が読めない時にはデザイナーから印刷原稿(版下)を受け取って深夜の都内を自転車で走って製版所に持ち込むとかしてたので家に帰れないわけです。アナログ時代の昔は今とは作業効率が全然違うから終電に間に合わないわけで、そんな働き方をしてきた私がイマドキの忙しさは受け入れられないと強く思うのですから、単に労働時間以上におかしいと感じている部分があるわけです。

 

どんなに忙しくても、その忙しさの全体像を納得して自分の糧となるのであればたぶん受け入れられると思います。しかし「何のため?」「誰のため?」とゴールがハッキリしていない仕事を上司や時間に追われてやらされている忙しさは、ストレスの最たる原因になるでしょうねぇ。

皆様の今抱えている忙しさは「何のため?」「誰のため?」

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