上流を見よ!
今日は「確定申告」の提出締切。
確定申告は自営業やフリーランスのような雇われない働き方をしている者にとっては、いわゆる通信簿みたいなもの。この1年の努力・結果が申告書に凝縮されている。毎年変化があることですから、何となく見過ごしてしまわずに変化の原因を知っておきたい。
売上げは多いに超したことはないが、ただ多ければ良いということでもない。その中身が自身の努力による賜物なのか、偶然なのか。そして毎年右肩上がりを続けているのか否か。単なる見せかけ上の売上げ数字が良くても、実際に利益がどの位あるかも大事。具体的に1年間を数字として俯瞰できるわけですから、ただ提出してホッとしているだけでなく、毎年の分析に役立てて先へ繋げていかないと勿体無い。
多くの軽ドライバーは個人事業主であり、一応は雇われない働き方をしているとは言え、実情は物流の末端に位置する支配された労働者の一つという見方もできる。
理想論でいくら働き方の自由をアピールしても、そのままでは大河の下流の世界で暮らしているだけですから、そこに見えている景色(収入や労働環境)しか視界に入らない生活・働き方をしていると、自ずと可能性も縮こまって感じられてしまう。
もっと自分が携わっている流れの上流を見てほしい。上流というのは言葉のイメージ的には「上流階級」「上流社会」というような縁のない華やかな世界を想像してしまいますが、そうではなく働いていく上で現在各自が置かれているポジションから、自分より立場の強い側へ辿っていくこと。
軽ドライバー ➡ 元請け ➡ 運送会社 ➡ 荷主 ➡ 業界
という感じ。自分より上流側では一体どうなっているのかを把握することで、そのポジションの将来性・安定性・可能性を見い出すことが出来てくる。
例えば荷主や運送会社から元請けには一体いくらで仕事が下りてきているのかを知ることで、自分の労働対価が妥当と言えるのか、もっと報酬を上げさせる余地があるのかの可能性も見えてくる。元請けからの言い値で当然のように働かされていては面白くない。もし元請けが配達単価1個500円で請けているとしたら、その下にぶら下がっている軽ドライバーが1個150円で働かされている状況を「仕方ない、そんなもんでしょ」という風に割り切れるのでしょうか?
その元請けの上流の運送会社は荷主からいくらで請けているのか知りたいですね。荷主から1個1000円で取って来た仕事を運送会社は元請けに500円でやらせているとしたら・・・
ますます最下流の軽ドライバーは面白くないですよね。実際汗水流して長時間働かされているドライバーに入ってくるお金は、中間搾取しているだけのような運送会社や荷主に8割以上持っていかれているのですから。
上の金額は例えですが(いい加減な数字でもないですよ)、運送の世界ではこういう多層構造により末端にいくほどバカを見るようなピラミッドが出来上がっていることを知っておきたい。まあこれは普通の会社内でも社長を頂点としたピラミッドのような構造は珍しくないですけど。
上流と下流の位置関係だけで恩恵が全然違っていることをきちんと把握しておくべきです。上流・下流の関係がわかりやすいというと、例えば流しそうめん。イマドキの若者は知ってますかね?
流しそうめんの上流にいれば麺が豊富に流れてくるのでいくらでもすくって食べることができる。一方で下流の方では上流がすくいそこねたバラバラになった麺の欠片みたいなものしか流れてこないので面白くない。しかし上流で何が起きているのかを知らなければ、「流しそうめんはそういうものだ」とか「今日はついていないなぁ」で終えてしまうかも知れない。
今の軽運送業の世界がまさにそんな感じがする。軽ドライバーは意識低く始めればポジションは下流ですから、まともな麺(仕事)は流れて来ない。また、軽運送業を酷評する人間が見ているのも流しそうめんの下流の景色ですから、酷評自体はあながち間違っているとは言えない。しかし意識をもっと上流の方へ向けていけば麺(仕事)ももっとまともになってくるし、何をすれば良いかがわかってくる。下流で不平不満ばかり言っている者は目の前の事しか見えていない。
そう言えば回転寿司なんかも上流・下流で恩恵が違ったりしますね(笑)良いネタは皆上流の席の者が速攻取ってしまう。下流に流れてくるのは何周回ってんだ?というようなパサパサのネタや人気のないネタばかり。
上流の席を知っている者が回転寿司を制す!
軽運送業は単純な仕事ですけど複雑な構造の最下流にあるという事を肝に命じて取り組んでいただき、上流にあるものを知る事で単なる末端労働者とならない働き方を考えることが出来るんです。元請との条件が1個いくらみたいな景色しかみないで仕事をしていれば、いつまでも下流でそうめんの欠片を拾う働き方で終わってしまいます。