軽貨物運送業からの転職は困難極まる?
今が暑さのピークなのか?それともまだまだ気温は上がり続けるのか?
まるでAmazon宅配のノルマ数のような、不安と絶望の日々が私たちを苦しめています。
終わり・ピークがわからないというのは本当に辛い。
どこまで頑張れば良いのか見当がつかない恐怖。特にこんな酷暑の中では命の危険すら伴うわけで、やらされる指示に従うしかないのか、自分の健康・命を優先するのか、個人事業主としては全てが自己責任ということを肝に銘じるべし。
宅配のノルマに潰されて人生を終えるとか、いくら200個250個を配完できるスキルがあったって何の意味もないではないか。
逆につまらんプライドやスキルが自分の人生を終わらせる原因になるかもしれん。
配達数や稼ぎを誇示するのではなく、誰のためでもなく自分のために安定して長く続けられるビジネスモデルを構築するべきだと思うのです。
やらされる側の宅配仕事で生涯配完数が平均250個とかありえないし、瞬間的に達成して成功者となったと勘違いしたら痛すぎる。
あらゆるサイクルが短くなっている時代に今の状況がずっと続くと思っていたら、脳内お花畑もいいところ。
今の働き方がずっと続かないならどうする?
今のAmazonの仕組みでは配達能力の高い者には配達数の期待値も高くなる。
割り当てられる配達数はどんどん増やされるため稼げる可能性も増えていくが、問題は能力に対する評価が「単価」に反映されていないこと。
働かせ指数ばかり高くなるが、実際は都合よく使われていることがよくわかる。
そこを勘違いしてYouTubeで配達数を誇示したり売上数字だけを聞かされても、奴隷労働の中で自慢合戦しているようにしか感じないのです。
まあこういう捻くれたこと言うと、単なるジジイの僻みと捉える人も多いとは思いますが。
50代前半ぐらいまでは私は割と暑さに強いタイプと自負していましたし、単に体力勝負ということであれば同年代といい勝負できたと感じていましたが、50代後半からの急激な体力の落ち込みは想定外でした。
残念ながら人間はそういう変化が突然訪れたりする。病気もそうだし事故やケガもそう。
特に運転仕事はいろいろなリスクが他の仕事よりも高いし、それが離職に繋がる率も高い。
そういう経験や知識が身に付くにつれ、配達仕事の危うさについていろいろと考えることになっていったのです。
さすがに60代も中盤にさしかかれば肉体労働の先は見えている。
無理すればまだ続けられないことはない。しかし無理することは自分にとって最善策なのだろうか?
ギリギリまで無理していった先に何があるのか?
60歳前後なら転職の選択肢はまだマッチ棒ぐらいにはあったが、65歳過ぎたら転職の選択肢は爪楊枝の先ぐらいに細くなる。
それは自分を60代だと仮定して転職情報を見てみればよい。50代の転職情報と比べても圧倒的に情報は細くなるのがわかる。
軽貨物をやっていたことが転職で不利になるポイント
個人事業主として軽貨物ドライバーを10年20年やったとしましょう。
それなりに配達スキルは身に付くし、人間関係による煩わしさの少なさに居心地の良さを感じているからこそ長続きしているとも言えましょう。
しかし軽貨物のスキルって同業外の転職においてはほとんど役に立たないと言えるかも。
体力・腕力に相当自信があるなら別ですが、1時間に250個配達できるというスキルは「ふ~ん」という感じで軽く流される。
それどころか組織で働く仕事に応募した時に、個人事業主・フリーで長くやっていたことが逆に災いとなることも。
運よく面接まで行けたとしても、要は組織下で働くことに向かない人なのではないか?という不信感が面接担当者に芽生えていたりする。
まあ面接でコミュニケーション力は素っ裸にされるでしょうから、単に配達スキルがあるからといって採用ポイントが上がることは無い。
そして軽貨物で50万60万という稼ぎをコンスタントにしていたならば、大抵の転職先では収入は大きく減ることになり「絶対給料が安いとか文句言いそう」という目で見られることも。
これらは運転仕事とは別の業種に転職しようとした場合の1例です。
運転職での移行の場合は「道に詳しい」「運転慣れしている」「無事故無違反歴」というのはポイントが高いし、「コミュニケーション力」や「提案力」が高ければ「営業職」や「役員送迎」など、想像していた以上に活躍の幅を広げることも可能。
「1日250個配れます」などという過去の栄光を前面に押し出すと、先方の考えとの相違が浮き彫りになったりするので、自分の武器は何が望まれているのかを冷静に考え対処するべきです。
軽貨物の仕事を始めたばかりの人、それまでの仕事と比べて利点を大きく感じている人などは、数年先がどうなっているかなどと考える余裕はまだないと思われます。
私は宅配仕事を専門でやったことはありません。
しかし商業貨物の仕事の中にはたまに個人宅への宅配もあったので、ある程度のメリット・デメリットはわかります。
不在・再配達のストレスと生産性の無さには本当に辟易したものです。
逆に宅配をメリットと感じたのは荷物の軽さと一度に大量に積み込めることかな。
商業貨物の仕事は配達件数こそ1日20~30件ほどですが、1件当たりの重さとサイズが軽車両ではなかなか手ごわい。
1日に6回戦やったこともあるぐらい効率は悪い。なにせ一人では運べない機械みたいな荷物を運ばされた(当然積み込みは手伝ってもらい、納品先で先方の人に荷降ろしを手伝ってもらう)。
フォークリフトで軽車両に積み込みするなんて見た事ありますか?
最初の頃は「こんなのトラックでやれよぉ!」なんて愚痴ったことも多々あった。
その後、納品先のクレーム(荷降ろしを手伝わせるな!)や効率の悪さが問題になって多くはトラックが配達することになりずいぶん楽にはなったが、それでも1件で30㎏~40kg程度の荷物は毎日のようにあった。
軽いが数多く配達し不在のリスクを抱える宅配、件数少なく再配達は無いが1回で運べる数も少なく重い商業貨物。
宅配は長時間労働になりやすいが稼げる可能性があり、商業貨物は夕方には終われるが収入は限定的。
どちらにもメリット・デメリットはあるが、皆が宅配に殺到しているのは自分の時間を犠牲にしてでも稼ぎたいことの現れだろうか?
まあ求人情報に商業貨物が少ないということもあるだろうけど・・・
引退した今振り返ってみれば、軽貨物の仕事は短期的なメリットはいろいろあるが、将来に向けて長く続けるメリットはどうかと聞かれれば、正直ごく一部の人だけが享受できる仕事かなという感じ。
長く働ける仕事ではないと感じる部分は
- 仕事や法のルールがコロコロ変わる
- 燃料費やメンテの費用が高騰を続ける
- 報酬単価はスキルが上がっても変わらない
- ビジネス構造の最下層で中間搾取され足元を見られる
- 転職に有利になるスキルがほぼない
- 商売道具である車両を買い替える必要が出てくる
- 必ず「健康」「体力」という壁にぶち当たる
- 事故リスクが他の仕事に比べて非常に高い
つまり普通は長く働けば働くほど経験値や能力は向上し自分の糧となるが、軽貨物の場合は将来に向けて財産として残るものが少ない。
その状況では高齢になればなるほど転職のハードルが高くなる。
もし将来に見切りをつけるならなるべく早く、職を変えるという選択肢を持っておいた方がよい。
ただでさえ高齢者の転職は困難なのに、時代は単純労働はAIや機械に置き換わり肉体労働しかしてこなかった者には容赦ない。
軽貨物でYouTubeという新しいスタイルももう飽和状態だし再生回数も伸びていない。
実際軽貨物もYouTubeも速攻で退却している者も増えてきた。
軽貨物からその先へどうワークシフトしていくのか?
先を考えずに安易に軽貨物を始めた大量の失職難民が市場へ流れ出てくるのだろうか?
小説としての蜘蛛の糸に群がる人々の光景が、じきに現実のものとなる。
貧乏クジを引くのは誰だ?