介護タクシーを利用してみた

少子高齢化に歯止めがかからない日本社会。
介護福祉施設の建設はあちこちで行われているが、それでも需要に供給が追い付いていない。
施設名の入った介護車両も1日中せわしなく走り回っており、見かけない日がないぐらいですね。
そんな福祉車両の一つに、介護タクシーがあります。

 

実は先週、私の母が特別養護老人ホームに入所するはずだったのですが、入所前々日に発熱し急遽入所が延期となり血液検査をすることになってしまいました。
そこで一昨日の金曜日に、本業・複業の配送仕事を終えた後に母を病院に連れて行きました。

昨年まではまだ母も自力で歩行できるぐらいの体力はあったのですが、ここ数カ月で急速に衰えが進み車椅子生活に。
今月初めにPCR検査のために病院に連れて行った時は私の仕事車両(軽1BOX)に乗せて行ったのですが、車椅子の人を車両に乗せ換えるというのは想像以上に大変でした。
ましてや軽1BOXのようなステップが高い車両なら尚更大変です。

さすがに今回もまた無理やり軽1BOXに乗せ換えるというのは母の負担も大きいし、介護慣れしていない者が無理な作業をすれば余計な事故にもなりかねないと危惧しておりました。
介護の仕事というのは見た目以上に本当に重労働なんです。
他人の命・健康を預かるような責任の重い仕事なのに労働対価は低すぎます。

それでも従事されている方はプロフェッショナルですから、素人が無理するより安心してお任せできる部分はお願いした方が良いと強く思う今日この頃です。

そこで今回初めて介護タクシーを利用してみました。
もともと車を所有していない方にとっては介護の際は大変有難いサービスですし、車椅子でも自立して生活している方が御自身の移動手段として使う場合も便利です。

 

気になる料金ですが、もちろん会社によっても違うし個人でやられている方の料金とも違うと思います。
大よその目安としては、実際の運賃に予約配車等の基本利用料として2,000円程度が加わるという感じ。
これに出発地点までの配車のための距離運賃が加算されます。

今回の私の場合は、出発地⇔目的地の計5~6㎞ほどの単純往復契約で総額7,000円でした。

これを高いと見るか妥当と見るか。

車両を使うプロの仕事として考えればべらぼうに高いわけでもないが、介護の仕事を理解していない・使い慣れしていない者から見れば抵抗はあるでしょうなぁ。
でも親の介護というのは地味にお金と時間を奪われていくことを覚悟しておきましょう。

実際介護タクシーを利用してみると、母の負担が全くなく移動できたことは有難かった。
何度も利用するとなると金額が重くのしかかるが、年に数回程度の利用ならお年寄りと付添者の負担を考えると利用する価値はあると思います。

出発地と目的地が同じで往復する場合、病院のように待機時間が発生するようなケースでは企業に所属する介護タクシーは現地待機はしないようです。

もちろん待機料等のそれなりのオプションを支払えば可能かもしれませんが、結構この業界忙しいようで時間のロスを極力少なくして車を回さないと需要に対応できないのだとか。
いちいち呼ぶのが面倒臭いと思うなら個人介護タクシーなら待機の相談はしやすそうです。
個人は確実にお客さん取りたいですからね。

 

今回もやはり、行きと帰りの車両・ドライバーが違いました。
約1時間病院に滞在していましたが、検査を終えてからTELして10分ほどで迎えに来てくれました。

ちなみに今回利用した会社の福祉車両はトヨタのシェンタ。
車椅子と付添者1名が乗車できるように2列目3列目を介護バージョンにしてあるもの。折り畳みスロープと電動ウィンチで非力な介護ドライバーでも無理なく車内に車椅子ごと乗せることができます。

行きも帰りもそれぞれのドライバーさんに介護タクシーという仕事・働き方について聞いてみました。
働き方には「会社に社員として属する」「契約社員・パートとして働く」「個人で独立する」という、大きく3つに分けられるようです。

今は福祉車両も進歩して普通の車椅子だけでなく、リクライニングできる車椅子やストレッチャーに対応する車両もあるのだとか。
軽自動車の1BOXタイプでも各社から車椅子+付添者1名が乗車できる車両は普通に販売されていますし、中古車市場でもよく目にします。

割と程度の良さそうな中古で80万前後で流通してます。
もちろんリクライニングやストレッチャー対応となるとキャラバンクラスのサイズになってきますが、値段も中古で150万を超えるような額になります。

独立開業はほぼ個人タクシーと同じような感じになるのかな?
基本は要2種免許で軽なら黒ナンバー。ただし2種免許不要で普通ナンバー(白・黄)でできるやり方もある。
ここでは詳細は長くなるので省きますが、興味のある方は検索して研究してみてください。

収入については詳細は聞けませんでしたが、介護系の仕事なので会社に属したり契約下では安いみたい。
ただし車両は会社で用意してくれるしメンテも燃料代も全て会社負担というメリットはある。

個人でやるとなると報酬は全部自分のものになるから固定客を掴めれば働き方としては面白そうだが、車両を自分で用意しなければならず経費の負担を軽くペイできる売上ができないと・・・
この辺は個人タクシーと同じ悩みでしょうか。

個人タクシーの場合は協同組合があり横の繋がりも期待できますけど、個人介護タクシーはどうなのかな?
ヘルパー等の介護系の資格も取得しなければならないケースもありそうですし、軽貨物と違って思い立ってすぐに開業というわけにはいかなそう。

帰りに利用したドライバーさんは現在70歳で介護タクシー歴8年と言っていました。
「この業界、50代60代で入ってくる方多いですよ」 と。
需要は確実に伸びていてエリアによってドライバーが不足気味なのだと。だから待機は基本的にお断りしてドライバーを効率よく回す必要がある。

確かに老人ホームは次々と新設されているし、介護する側も運転に不安を覚える高齢者という現実もある。
今後確実に伸びる余地がある業界なのは間違いない。

決して他人事ではない日本の老々介護問題。
自分だって介護される側になるのは時間の問題です。

軽貨物ドライバーを経験した者にとっては自分自身が体力的にキツくなってきたら、軽の福祉車両という働き方は割とスムースに移行できるような気もいたします。

年金に少しだけ収入があれば良いという軽ドライバーなら、自分の親の介護にも役立つかもしれない介護タクシーという働き方は、一つの選択肢になり得るのではないだろうか?

親の介護に追われ出したここ数ヵ月は、老後を強く意識する時間を過ごしておりますだ。

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