オリンピックのオフィシャル契約。中止や延期になったらどうなるの?

刻一刻と近づく東京2020の開会式。

未だ終焉の気配すら感じられない新型コロナウイルスの問題は、世界各国人類共通の難題になってしまいました。
運悪くこの時期での開催国になってしまった日本。
残された解決策はあるのでしょうか?

 

オリンピックの開催が危ぶまれたことは実は今回が初めてではありません。
夏季・冬季の大会においては様々な事情でギリギリまで揉めたことがあります。

途上国での開催などではスタジアム等の設備・建築の遅れがみられました。
本当に直前まで突貫工事が続いており、よく事故なく無事に終えたものだと思う大会もあれば、冬季大会では競技会場に雪が降らないというリスクに晒された大会もありました。

それ以外にも政情不安や政治的な問題で、開催国の空港でテロがあったり参加ボイコットが実際に起きた大会もありました。
大会の規模が拡大するにつれて、純粋に「スポーツの祭典」と呼ぶには無理があるイベントになりつつありますね。

ご存知のように現在のオリンピックは利権と金にまみれた祭典などと不名誉なイメージが付きまといます。
競技の開始時間が開催国に決定権がなく、変な時間に行われているなぁと感じたことはありませんか?

裏で巨大な権力が動き大会運営が牛耳られている。もはやアスリートファーストの精神はなく、開催時期も開催国でのベストな季節などは無視され猛暑の中でやらされるとか、一体誰のための大会・祭典なのか?

 

しかし世界有数の商業機会であるがゆえ、その利権にあやかろうという企業は多数ある。
その広告効果は人気ドラマのCM枠などとは桁違い。訴求対象は全世界に及ぶためオフィシャルスポンサーに名を連ねているのもワールドワイドな誰もが知る企業ばかり。そして1業種1社に限られていることもブランド価値を高めています。

日本では「協賛」という言葉の方がわかりやすいですが、運営資金をバックアップする代わりに大会のロゴやエンブレムを使うことができたり、会場での広告活動ができるという契約になります。

 

オリンピックの場合、オフィシャル契約には4パターンあります。

1.ワールドワイドパートナー

TOPパートナーとも呼ばれ、IOC(国際オリンピック委員会)との契約となります。
基本は10年契約となり、ちなみにトヨタ自動車は2,000億円で契約したと言われています。
それだけの金額を投下しても企業メリットがあるということでしょうか。

契約はとてつもない額になりますが、契約期間内の大会が夏季・冬季合わせていくつかあるので1大会あたりの金額としてはもう少し薄まります。大会の無い年度もパートナーとしての活動が出来ることがメリットでしょう。
契約は原則1業種1社に限られています。

ちなみに3年ほど前、あのマクドナルドが契約期間中にもかかわらずワールドワイドパートナー契約を解除しました。
何度も契約更新してきた大企業でも、ちょっと経営不安等があるとやはり負担が重くなるのでしょうか?
まあ一般的に企業が経費削減で最初に手をつけるのが広告費と言われていますから。

現在のワールドワイドパートナーは次の企業となります。

コカ・コーラ、GE、インテル、P&G、VISA、オメガ、ダウ・ケミカル、
トヨタ自動車、ブリジストン、パナソニック、アリババ、サムソン電子、アトス

2.ゴールドパートナー

こちらはJOC(日本オリンピック委員会)との契約となります。Tier1とも呼ばれます。
実は今回の東京2020大会は1業種1社の制度を解除しています。同業種から複数契約が可能になりました。

1大会で開催国内限定でのスポンサー契約になり、契約料は年間約25億円と言われています。
期間限定になりますが、活動内容は多岐に渡ります。

現在のゴールドパートナーは次の通り。有名な日本企業で構成されていますね。

アサヒビール、、LIXIL、ENEOS、東京海上日動火災、日本生命、野村、明治、
NEC、富士通、キャノン、みずほ銀行、三井住友銀行、三井不動産、アシックス

3.オフィシャルパートナー

こちらもJOC(日本オリンピック委員会)との契約となります。Tier2とも呼ばれます。

1大会で開催国内での活動はゴールドパートナーと同じですが、活動内容がもう少し絞られてきます。
契約料は年間20億円程度と言うことですが、それでも結構な金額ですね。

現在のオフィシャルパートナーは33社。皆なんとなくオリンピックに関連してますね。

味の素、アース製薬、久光製薬、キッコーマン、日清食品、セコム、ALSOK、
ANA、JAL、成田国際空港、日本空港ビルディング、エアウィーヴ、東京メトロ、
日本郵便、ヤマト、大和ハウス工業、TOTO、リクルート、大日本印刷、凸版印刷、
読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、日経新聞、三菱電機、シスコ、JRA、東京ガス、
EF、JTB、近畿日本ツーリスト、クラブツーリズム、東武トップツアーズ

4.オフィシャルサポーター

オフィシャル契約の中では最も契約料が低いかわりに活動にも制限が多くなります。
tier3とも呼ばれ中には聞き慣れない企業もありますが、ヤフーやGoogleなどワールドワイドパートナーでもおかしくないような企業も地味にオフィシャルサポーター契約をしています。

契約料は年数億円程度と思われます。多くは今回限りの契約のはずです。

 

様々な広告や街中でオフィシャル活動している企業名を見る機会もあると思いますが、オフィシャルランクの存在を知るとまた見る目も変わってきますよね。

「クロネコヤマトすげぇ~!世界のトヨタと同じじゃん!オリンピックのオフィシャルスポンサーじゃん!」って同格と思ってはいけません。契約料では1年で10倍ほどの開きがありますから。
ステータスとしては2ランク下だし(笑)

特にヤマトの場合はオフィシャル契約後に赤字決算になってしまったと思う(いや赤字の原因の一つがオフィシャル契約じゃね?)ので、社員は複雑でしょうね。
社長は後悔してるかな?

 

オフィシャルのランクと企業の意図・戦略・成長性を含めて株購入の参考にする人もいるでしょう。

企業にとっては今回のウィルス騒動でオリンピックに投資する思わぬリスクを感じたと思います。
もし開催が延期になったら契約料もその分余計に生ずるのでしょうか?
中止になったら全額払い戻しになるのでしょうか?

すでに広告活動を始めているため残念ながら全額払い戻しにはならないみたいですね。
ワールドワイドパートナーの場合は払い戻しもないのではないか?(延期となって大会が期間から外れるような場合は何らかの特例があるでしょうが)
IOCにとってはどこまで行ってもオリンピックは商材ですから揉めるでしょうねぇ。

 

まあオフィシャル契約してしまった企業もとことんオフィシャルの権利を使い尽くし、少しでも広告効果を考えないと

いつもならいつの間にか始まってあっと言う間に終わってしまうオリンピック。
今回はいろいろこじれていることで仕組みや裏側の世界を学ぶことができますな(笑)

巨額なお金を誰が支え誰の懐が潤うのか。
究極のビジネスモデルということはわかりましたね。

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