ラーメン店廃業急増に見る軽貨物運送業の未来

庶民の味・味方だったラーメンも、手の届かない所へ・・・?
ラーメン店の休業・廃業の流れが止まらない。
昨年1年間で倒産、休業、廃業したラーメン店はデータ調査開始の2009年以降最多なのだと。
飲食の商売は厳しいとよく聞くが、確かに配送仕事をしていても20~30席程度の小規模出店している飲み屋やラーメン店は1年と経たずにシャッターを閉めているのをよく見かけます。
大手チェーン系に比べてやはり体力・持久勝負になると、個人事業規模では一つ歯車が狂うと修正が効かなくなるのだろうか?
外食関連の危機はコロナの影響が大きかった。
潮が引くように街中でも人の流れが減り、飲食店自体も営業自粛・時短を強いられ売上どころではなくなる。
一応様々な業種に「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金・協力金」や超低金利での「特別貸付」等の救済措置が行われ、何とか延命していた商売もありましたが、売上が回復しないまま貸付返済が始まったりして万事休したお店も多かったようです。
中には普通に商売しているより支援金・給付金貰った方が儲かるような者もいて、車買ったり豪遊するケースが報じられていましたよね。
協力金バブルなんて言われてましたっけ。
まあいくら無担保・超低金利で借金してその場を凌いでもいつかは返済しなければならないので、きっとこうなるであろうことはある程度予測はできていたこと。
例えば「新型コロナ感染症特別貸付」においては融資後4年目からは基準金利での返済となる。その期限を迎え返済の目途が立たずにやむなく廃業や倒産するケースがバタバタと出てきているし、今後もこの流れは続きそう。

いつでもどこでもお手軽に・・・のイメージが商売を苦しめる
私もコロナ禍においてはジムのインストラクターをやっていた時に施設が数か月閉館になり、その間休業給付金を頂いていたことがありました。
在籍していれば出勤しなくても通常の6割の賃金が支払われていたので、バイトにとっては美味しいと言えば美味しいがその仕事が生活に直結している者にとっては収入が6割になるのは死活問題。
例えば月給30万円のサラリーマンがコロナで休業させられたらいきなり月収が18万円になるようなもの。
何もせずに毎月18万貰えるというのは、最近の平均的な厚生年金受給月額より少し多いぐらいか。
ちょっとだけ自分の老後の世界を味わった人もいるのでは?
ではコロナ禍の時に軽貨物ドライバーには何か支援措置がありましたか?
世間では外出するな、三密になるなと大騒ぎしている中で、休むことなく稼働していたと思います。
在宅者が増えて不在持ち戻りが減ったというメリットがあったかもしれませんが、配達時にいきなり除菌スプレーをかけられたなんていうひどい仕打ちがあったことも報じられていました。
当時はコロナ感染での重篤化が恐れられ、人々が非常に神経質になっていた時。
どこの誰が接触したかわからない荷物を受け取る方だって怖いのはわかる。
ドライバーの手袋は清潔・キレイとはとても言えないし、荷物自体に「菌」が付着している可能性は低いとは言えないし。
それなのに宅配を頼んでおきながらドライバーを不潔呼ばわりする不条理。
ただコロナ禍でも仕事が存続していたのは有難いとも言えましょう。
もし荷主や請負先が休業してしまったら物流は止まり当然軽貨物ドライバーは仕事が無くなります。
じゃあ家でじっとしているから休業手当くださいって言ったって、雇用されているわけではないので取引先からは何の支援も無し。
事業主として手順を踏んで国や行政に協力金・支援金・給付金を申請するしかない。
ではその時に協力金・支援金・給付金の基準になる数字は何になる?
個人の軽貨物の場合は(特に宅配の場合)日々の売上も違うし毎月の売上も違うため、申請する金額を決めるのは難しい。
その問題を回避するために一応業種ごとに支援金・給付金の額はある程度決められているようなので、それに従うしかないのでしょう。
これは飲食においても同じ。
だが本当に必要な金額が支援してもらえない方もいれば、ズルして協力金貰いながらコソコソ商売していた者もいた。
飲食店への協力金が一律1日6万円とかってどう思います?今さらですが。
軽貨物で休業協力金が6万円だったら喜んで休みます!(^^)!
いや3万円でもずっと休みでいい!ガソリン使わねーし。

家で即席で自由にトッピングしても300円で食べれちゃう!
その協力金の話を聞いた時は飲食業が羨ましく思われたかもしれません。
しかし浮っついていられたのもほんの数年だけ。
借りたお金の返済に加えて物価は高騰するし水道光熱費や人件費も軒並み高騰。
ラーメン店においては食材と水道光熱費はガチな経費。そこに人件費までケチれないとなると後は販売価格に転嫁するしかないが、ラーメンという大衆食をおいそれと値上げするのもなかなか難しいと考える店主も多い。
「ラーメン1,000円の壁」という潜在的なハードルが世の中にはあるようで、確かにラーメン1杯が1,000円を超えてくると食事の選択肢が他に移っていく気がする。
「ファミレスのランチにドリンクバー付けてもお釣りがくる」「牛丼なら2杯いける」・・・
販売価格を上げるハードルに阻まれ、コスト上昇も吸収できず、少し余裕のあるうちに自主的に店を畳む事業主もでてきている。
ラーメンにいかに付加価値を付けられるか。ブランド化できるか。
もし自分が飲食を経営していて同じ立場だったらどう行動しただろうか?

ドライバー職に人気のラーメンも1,000円払うならこっちでいい?
売り物が「ラーメン」という大衆イメージから抜けきれなければ商売としてこれからは難しそうです。
その商品を構成するための食材と加工するための水道光熱費、そして円滑なサービスを提供するための人件費。それらが上昇を続けることを吸収できない価格設定。
これ、軽貨物という仕事にも似ている部分があります。
ガソリン価格の急騰はたくさん走れば稼げるという妄想を現実に引き戻した。
タイヤ価格も高騰しオイルやバッテリー等の消費材の価格も上昇している。
保険料も上がるし作業服や作業靴などもやってみて初めて気付く負担かもしれない。
そして何より経費が目に見えて増えてきているのに、報酬や配達単価は上がっているだろうか?
経費ばかりが増えていくのに売上に転嫁できない・されていない。
まだ軽貨物始めたばかりの人ならこの深刻な意味がよく理解できないかもしれません。
配達数を増やすことばかりに囚われて、自腹低賃金で働かされていることに気が回らない。
しかし何回か確定申告して自分の商売の仕組みや問題点が見えてくると、いろいろ疑問が湧いてくると思うのです。
「このまま報酬上がらず経費ばかりが増えていったら?おまけに配達数は能力の限界だし売上の伸びしろが無い・・・」

見積は形だけ?商売によっては最初から値段は決まっている
ラーメンという商品を値上げできない理由の一つが、大衆イメージにあると言いました。
配達仕事の報酬・単価が上がらないのも、仕事としてのイメージにあるのではないか?
末端の弱者に見られるドライバー。誰がやっても結果が決まっているならそりゃあ運賃も上がらない。
1杯1,000円以下のラーメン。配送単価150円の宅配ドライバー。
客を100人増やすのではなく、配達数を100増やすのでもない。
薄利多売の延長では根本的な解決策にはならないと思うのです。
1杯、1個でしっかり利益が出せることが商売を強固なものにする。
じゃあ単価を上げるためにはどうします?
自分の商品やサービスにいかに価値を付けてお金を払ってもらえるか。
毎日当たり前の繰り返しのような働き方をしていませんか?
自分の価値を可視化できないと相手に伝わりません。
では相手に見える価値とは?
どの商売にもそこにヒントが隠されています。
ただし思い込まれているイメージと同じ価値では、払ってもらえる金額は相手に決定権があるということ。
その決定権を自分側にするのがこれからの働き方。
請け負う という言葉。なんか嫌ですよね。