労働と収入

企業によるコンプライアンス意識が高まったとは到底思えないが、労働者の労働時間に対する意識は確実に変わってきている。

労働者が「おかしいことはおかしい」と声を上げられるようになってきたことは、これまでの雇用関係の優劣による支配からの脱却をも意味する。

 

運送業が長時間労働の代表みたいに思われているのは、業務の特徴としてある程度やむを得ない部分がある。内勤者はともかくドライバーにおいては時間で管理するのが非常に難しい。日々の業務進行が渋滞や相手先での荷積み荷降ろしという不確定要素に大きく左右されるため、毎日定時終了というわけにはいかないのです。いや、定時を決めることも難しい。便宜上の就業時間はあるが労働時間をそこに合わせようというところにそもそもの無理がある。労働基準法云々が噛み合わないのです。

これまで問題とされていたのはドライバーが仕事として拘束されている時間が長い中で、荷待ち状態等の時間を労働時間とカウントしていないことが平然と行われていたこと。
一般社会人が労働時間の中において、自分の仕事を完遂するのに待機(順番待ち)が生じた時、できる我慢の限界ってどれぐらいですか?1時間黙って待てますか?もしその時間は労働時間として扱われなかったらどうですか?

トラックドライバーは相手先で2~3時間待たされるなんてことは全然不思議ではない。中には半日以上も車内で待機していることもよくある話。相手先の敷地内で待機しているような状況ではアイドリングも許されず喫煙も不可。そして終いには待機している時間は休憩時間同様に「労働していない」とされて賃金(残業代)の対象外とか。
全てをひっくるめて出社から退社まで15時間だったとしても、実際は10時間勤務(残業2時間だけ)みたいなことが当たり前としてあった。トラックドライバーが長時間労働・低賃金と言われる一つのパターンです。

しかしここにきて国も働き方改革を奨励している手前、運送業界のそうした悪習を見過ごすわけにはいかなくなり、運送会社への指導も当然ですがドライバーに負担を与えている元凶の一つである荷主側の対応にもだいぶ踏み込んできた感じがあります。

 

ただ、本来なら労働時間を短縮することは喜ばしいことなのですが、トラックドライバーの賃金体系って労働時間に依存している場合が多く、長時間労働を歓迎しているような人もいます。それをいいことに会社は従業員を酷使する。従業員の弱みが悪習を助長していたとも言えますけど・・・
まあ残業代が少なくなって生活に困るという残業代依存のサラリーマンは結構いるようなので、日本人はホントは長時間労働が好きな人種なんでしょうな。

でもね、長い時間働かないと収入が作れないって悲しいことですよ。
本質的にはアルバイトと大して違いはない。この問題に背を向けている限りは働き方改革も中途半端で終わるような気がします。労働時間を短くすることが大義みたいに騒いでますけど、それで満足できませんよね?無駄な労働時間を削減するのは当然として、そこに収入UPを絡めてこその改革にしないと。

 

残業代に頼らず収入を上げていくってどうします?
そんなことができるならとっくにやってるよ!という声が聞こえてきそうですが、本当にやってましたかねぇ?
会社員ってお給料信仰が強いですから、その収入が生活の全てとして根付き過ぎではないでしょうか?毎月金額に変動が無いことに胡坐をかいてしまって、収入を増やす方法は残業以外に考えられなくなってしまっているのでは?

 

終身雇用制度の終了と引き換え条件のように副業が容認される環境になってきました。長時間労働が大好きな国民気質のはずですから(笑)、本業の労働時間が短くなる辛さを別の労働時間で穴埋めできるなんてなんて素敵なことでしょう!それで収入を確実に増やせるのですから、本業だけで収入を増やすことよりも容易いのでは?

もう本業とか副業とかの垣根を取っ払って考えた方が良い。自分ができることのMAXを追い求め、複業が可能であればどっからでも収入を引っ張り出せる状態を作っておくと、終身雇用が保証されない会社一本に依存している状況よりはよっぽど「安定」できるのではないだろうか。

普通に労働収入に頼っている限りは労働時間と収入はほぼ比例するでしょう。しかし面白いもので世の中には収入と労働時間が比例しないような働き方がある。いや、収入=働く という概念に囚われていると見えてこない収入の作り方もある。それを見つけることが出来れば、単なる労働者という世界から大きく変わることができる。

転職が特別なことではなく、副業も自由に出来るようになってきた時代の流れに乗って、給料という呪縛から解放されるチャンスが訪れたのだと。給料に依存せず生活できるようになれば、無理してその会社に留まっている必要はなくなります。学卒時以来の久しぶりの職業選択の自由が再び貴方のもとに!(笑)

 

今一度、自分の労働の中身・労働時間と収入を見つめ直してみてはいかがでしょうか?
どこかに改善できる余地があるかも知れません。
その改善の余地が明確であった時、どうしますか?
変化を恐れるか、変化を受け入れるか。

貴方の未来を変えられるのは貴方だけです。

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